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センバツ有観客で開催へ! コロナ吹き飛ばす希望の光に

森本栄浩毎日放送アナウンサー
センバツ開会式は簡素化されるが、有観客開催はファンにとって朗報だ(筆者撮影)

 第93回センバツ(3月19日開幕)の運営委員会が先日開かれ、その概要が明らかになった。有観客での開催をめざすことになり、丸1年、待たされたファンにとってはこの上ない朗報と言える。

「神宮枠」は21世紀枠増で

 昨年は、春夏の甲子園をはじめ、全国や地区の大会が軒並み中止となった。新チームになっても影響は及び、最初の全国大会である神宮大会も開かれなかった。宙に浮いていた「神宮枠」の行方は、21世紀枠を3校から4校に増やすことで決着した。4校になるのは8年ぶりで、候補9校(連合チーム含む)中、4校に春の便りが届く。候補校のプロフィールは12月11日の記事を参照いただきたい。

選考会、抽選会はオンライン

 そして、具体的な運営方法だが、大会前からコロナ対策で多くが異例の形を取る。

毎年、選考会では多くの選考委員が集まって出場校が次々と発表される。今回はオンラインの予定で、大きく様変わりしそうだ(昨年の選考会から=筆者撮影)
毎年、選考会では多くの選考委員が集まって出場校が次々と発表される。今回はオンラインの予定で、大きく様変わりしそうだ(昨年の選考会から=筆者撮影)

 まず、1月29日の選考会はオンライン開催となる。21世紀枠のプレゼンテーションをどうするか、なども含め、詳細は後日、発表されるが、選考委員も人数を絞るようである。また、3月12日に予定されていた抽選会は、2月23日に前倒しして行われる。こちらも詳細は未定だがオンラインになる模様で、主将たちが一堂に会するチャンスはなさそうだ。さらに、大会前の甲子園練習も行わず、開会式の簡素化も発表された。花火の演出など華やかさが見どころのセンバツ開会式(タイトル写真)も、チームや人数を限定しての質素なものになりそうだ。

有観客開催も入場料大幅値上げ

 最も気になる「甲子園で生観戦ができるかどうか」については、全席指定で(外野も含め)有観客での開催をめざすことが発表された。当日券に並ぶ人の混雑を避けることを目的に、すべて前売りとなる。ただ、甲子園のある兵庫は2月初旬まで緊急事態宣言下にあり、上限を設定するかなど、予断を許さない。また、入場料も大幅に値上げされる。内野席は一律1400円の値上げで、プロ野球並みとまでは言わないが、最高額のネット裏は3900円。ファンにとって朗報に違いないが、これでは野球少年の小遣いで賄えるはずもない。センバツに限り無料だった外野も700円で、すべてはコロナ対策のため。コロナが終息したら元に戻してほしいものである。

応援方法はこれから

 アルプス席は一般には解放せず、今大会は学校関係者のみが入場できる。ただし、吹奏楽は感染につながりやすいとされ、応援をどこまで踏み込んで実施できるかは、今後のコロナの推移次第で、専門家の意見を仰ぐことになる。学校関係者は、準備すべきかどうか、直前までやきもきさせられるだろう。

万全対策で臆せず開催を

 先日の運営委員会では、具体的内容を小出しにした印象がある。従来との変更点があまりに多く、詰め切れなかったことのほかに、世論の動向をみたいという意識があるのでは、と察する。昨年、夏の甲子園を中止にした際、当初は「中止は当然。なぜ野球だけが特別扱い?」という逆風にさらされたが、8月、コロナが小康状態になると「やれたのではないか」と世間の風向きが変わった。感染リスクの高い冬の各種高校スポーツが、全国規模の大会をやれたのだから、対策を万全にすれば臆することはない

センバツが希望の光となるか

 年末年始、高校スポーツは一様に盛り上がった。バスケット、バレーボールのインドア(屋内)競技は、不幸にして棄権する(させられる)チームが出たが、サッカー、ラグビーはコロナに負けることなく予定試合を完遂できた。これらの競技と比べれば、野球ははるかに密を避けやすい。甲子園の阪神戦でも2万を超えるファンを入れた実績がある。人の命、健康に勝るものはないが、やはり感動は選手たちと同じ空間で共有したいもの。センバツが、コロナを吹き飛ばす希望の光となってくれることを願うばかりだ。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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