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センバツ開催へ大きな一歩!  全国10地区大会終わる

森本栄浩毎日放送アナウンサー
センバツの前提となる全国地区大会が終了した。球児たちに春は訪れるか(筆者撮影)

 15日の東京大会決勝を最後に、全国の10地区大会が終了した。センバツ選考の前提となる「資料」が揃ったことで、選出作業に支障はない。ただ、昨今の感染者の増加や季節的な傾向を考えると、コロナ禍が3月に終息しているとはとても思えない。応援団も加わっての通常開催は、もはや望むべくもないのか。

話題多かった地区大会

 秋の地区大会では九州で小規模校の大崎(長崎)が優勝したり、東北では柴田(宮城)が準優勝するなど、甲子園未経験の公立校が躍進した。近畿では、智弁学園(奈良)や大阪桐蔭などの強豪がしのぎを削って熱戦が続き、東海は中京大中京(愛知)と県岐阜商が2年連続決勝で対決するなど、ハイレベルの戦いが繰り広げられた。いわゆる「抱き合わせ枠」のある関東・東京と中国・四国は比較対象のチームの見当がつけにくく、予断を許さない。選考会は例年以上に波乱含みとなりそうだが、とりあえず28校を決める材料は整った。そしてもう一つ。神宮大会が中止になったことで、1枠が宙に浮いている。これについては今後、議論されるようだ。

どうなる「神宮枠」

 ここで筆者の意見を述べる。神宮枠は、自校にとってメリットがないため、これを契機に撤廃し、センバツ優勝校の地区に、翌年の1枠を与えてはどうか。今年のセンバツは中止になったため、直近で言えば昨春の優勝校は東邦(愛知)なので、東海を増枠にする。今回は結果が出てしまっているから仕方ないが、これが恒久的になるなら、後輩たちが恩恵にあずかれる可能性が出てくる。神宮枠がセンバツに導入(75回大会)されて以降、神宮の優勝校は、翌春のセンバツで優勝できていない。不思議な現象ではあるが、神宮優勝校にとっては、ジンクスとして常について回る。神宮大会は、今まで通り秋の王者を決める大会として続ければよいと考える。

激戦近畿の21世紀枠

 そして、21世紀枠が3校。各府県の候補校決定のニュースを見かけるようになった。筆者の地元の近畿は激戦だ。近畿大会に進んだ山田(大阪)と東播磨(兵庫)の評判がいい。両校とも1回戦で敗れたが、山田は直近の甲子園王者の履正社を大阪大会で破っているし、東播磨の洗練された攻守は、甲子園でも十分に通用する。また、ネット配信で見た具志川商(沖縄)も印象的だった。強豪の福岡大大濠に真っ向勝負を挑む姿に目を奪われた。12月11日に地区候補の9校が発表される予定で、今から楽しみにしている。

甲子園は球児たちを迎えてくれるか

 地区大会が無事に終了したことで、93回センバツは、開催に向け大きな一歩を踏み出した。各地区の総括と出場校予想は、神宮枠の扱いが決まってから別の機会に設けるとして、今は、3月19日に甲子園が球児たちを迎えてくれること祈るのみである。プロ野球はドーム球場でも2万を超えるファンを入場させている。応援団を入れての通常開催や大規模な開会式(タイトル写真は19年3月23日撮影)は困難だとしても、一人でも多くの人に、甲子園の高校野球を実感してもらいたいと切に願っている。

 

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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