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大阪桐蔭豪華5投手リレー! センバツ懸け好投手・達の天理と対決!

森本栄浩毎日放送アナウンサー
大阪桐蔭が5投手の継投で勝利。次の天理戦に勝てばセンバツは確実だ(筆者撮影)

 2週目に入った近畿大会は、いよいよ大阪桐蔭が登場。長田(兵庫)に対し、5投手をつなぐ盤石のリレーで零封した。1回戦最後の登場となった天理(奈良)は、乙訓(京都)の粘りに苦戦を強いられたが、エース・達孝太(2年)が13三振を奪う力投で辛くも勝った。この結果、昨秋の近畿決勝カードが、早くも準々決勝で実現する。

154キロ右腕の関戸が復調

 大阪桐蔭はエース左腕の松浦慶斗(2年)が先発。立ち上がりに2本の内野安打でピンチを招いたが、何とか切り抜けた。すると打線が初回から爆発。2四球に4安打で5点を奪うと、2回にも4番・池田陵真(2年=主将)の適時二塁打などで3点を追加し、序盤で大量リードを奪った。西谷浩一監督(51)は、3回から早くも継投に出る。まず右腕の竹中勇登(2年)が2回を1安打無失点に抑えると、3番手には最速154キロ右腕の関戸康介(2年=タイトル写真)を起用。1四球はあったが、無難に1回を無安打でまとめた。大阪大会後半は足のけがで登板がなく心配されたが、西谷監督は、「ちょっとボールが暴れてはいたが、十分に投げられる」とホッとした表情だった。先週の練習試合から長いイニングを投げられるようになったそうで、松浦と並ぶ両輪が近畿大会中に復調したことは大きい。

5人の継投で完封リレー完成

 大阪桐蔭はその後も186センチの期待の左腕・川井泰志(1年)と右腕の西川音羽(とわ=2年)がマウンドに上がり、5人で7回を計3安打に零封。長田に8-0でコールド勝ちした。西谷監督は、「明日(準々決勝)があるので、1イニングずつくらいのつもりで投げさせた。それぞれが特長を出してくれた」と満足そうに振り返った。この段階で対戦相手は決まっていなかったが、昨秋に敗れている天理を意識していたことは間違いない。西谷監督は、精神状態も含め、各投手の調子をしっかり見極めた。印象としては、実績のある松浦は別格としても、そのほかの投手がすべてハイレベルで、球の質もきわめて高い。改めて投手層の厚さを見た思いだ。

天理の達は省エネも13奪三振

 対する天理は、エースの達がストライク先行の投球で乙訓打線と相対した。初回に4番・瀬千皓(せ・ちひろ=2年)の適時二塁打で援護を受けたが、その後、打線が乙訓のエース・北見隆侑(2年)の速球を打ちあぐみ、1-0のまま終盤へ。

笑顔で取材に応じる天理の達。「調子が上がっていたし、今日に合わせ、いい投球だった」と満足そう。2年連続の打倒・大阪桐蔭なるか(筆者撮影)
笑顔で取材に応じる天理の達。「調子が上がっていたし、今日に合わせ、いい投球だった」と満足そう。2年連続の打倒・大阪桐蔭なるか(筆者撮影)

 7回、達は四球で初めて回の先頭に出塁を許すと、2死2塁から8番・横山亮太(2年)に同点打を浴びる。終盤に追いつかれ、先攻の天理ピンチかと思われたが、9回2死1塁から、瀬が盗塁に成功。ここで6番・堀内太陽(2年)が前進守備の左中間を破る。これが決勝の適時三塁打となった。達はその裏、乙訓から3三振を奪い、1失点の完投勝利。13奪三振の割には104球と省エネ投球で、こちらも翌日の大一番を意識していたか。「県大会よりもストレートの調子が良く、スライダーでカウントが取れた」と調整も順調なようだ。試合は2-1の辛勝だったが、達の投球は見るたびに良くなっている。

大阪桐蔭の継投がポイントか

 いよいよ、センバツを懸けた大一番が準々決勝で実現する。昨年は決勝で当たり、大方の予想に反して天理が圧勝した。先発した達は、その勝利ですっかり自信をつけ、1年後、さらにたくましくなって再び大敵と激突する。あとの試合で同じ奈良の智弁学園が準決勝進出を決めたため、大阪桐蔭に敗れるとセンバツが微妙になる。達の好投抜きにして2年連続のセンバツはあり得ない。一方、リベンジに燃える大阪桐蔭は、松浦が先発か。初戦は2回28球で、疲労もない。ポイントは、松浦がつかまったあとにどう継投するか。関戸は回復途上で、制球に不安が残る。球は速いが、四球を簡単に出すようだと、試合巧者の天理レベルのチームにはつけ入られるだろう。接戦での小刻みな継投はリスクを伴う。達を攻めてしっかり援護し、リードを保って継投したい。

智弁学園は中軸の活躍で平安破る

 準々決勝のトップを切って、智弁学園龍谷大平安(京都)を破った。初回にエースの西村王雅(2年)が、平安2番の早川瞬(2年)に本塁打を浴びるなど2失点。打線も中盤まで平安先発の石田琉稀(2年)の緩急に惑わされ、追いかける展開が続く。ようやく6回に追いつくと、7回の智弁の好機で平安が継投策に。智弁打線はここにつけ込んだ。6番・三垣飛馬(2年)が勝ち越し打を放つと、8回には中軸のバットが火を噴いた。強打の前川右京(2年)が左翼越えに2点適時二塁打を放って3点差に突き放すと、4番・山下陽輔(2年=主将)が豪快な2ラン。これで試合を決めた。平安は、中盤まで互角に渡り合ったが、智弁の強打線を抑えきれず、3-8で完敗した。

前川3番でつながり良くなる

 注目の強打者・前川は、今大会、3番に座る。

8回裏、平安を5-2と突き放し、ガッツポーズの前川。このあと山下に2ランが飛び出して、一気に試合を決めた(筆者撮影)
8回裏、平安を5-2と突き放し、ガッツポーズの前川。このあと山下に2ランが飛び出して、一気に試合を決めた(筆者撮影)

  小坂将商監督(43)の、「3番なら必ず初回に回る」という方針からだが、本人も意識がかなり変わったと言う。「4番に山下がいるので、つなぐ気持ちで打席に入っている」そうで、この日の2安打はいずれも逆らわずに左方向だった。1、2打席は、ほとんど打てそうな球を投げてもらえず(2四球)イライラしたと思うが、好機でしっかり仕留めるあたりは、さすが1年から中軸を任されているだけのことはある。奈良大会では天理に敗れたが、近畿では予選1位校を連破し、ライバルより一足早くセンバツに当確ランプが灯った。投打の軸がしっかりしていて、全国でもかなり活躍できそうだ。

残る準々決勝もすべて好カード

 残る準々決勝はいずれも好カード。市和歌山智弁和歌山の同県対決は、和歌山大会で市和歌山の2勝。智弁が3連敗するようだと、センバツはかなり厳しくなる。京都国際神戸国際大付(兵庫)の「国際対決」は、府大会で平安に敗れている京都国際にとっては勝利が絶対条件。勝てば8強止まりの平安を上回れる。そして、最後が大阪桐蔭と天理の「大一番」だ。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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