近江のスーパー1年生に異変!  痛恨の逆転負け

得意の継投策に出た近江だが、頼みの山田にアクシデントが発生した(筆者撮影)

 2-1と1点リードの8回。マウンドに向かった近江(滋賀)の1年生エース・山田陽翔(はると=タイトル写真)の様子がおかしい。さかんに足元を気にしている。多賀章仁監督(61)をはじめベンチも異変に気付いていた。その不安は的中する。エースの異変に内野守備陣も動揺したか、それまで鉄壁を誇っていたのが、神戸国際大付の先頭打者の遊ゴロ処理をもたついた(記録は安打)のを皮切りに、一気に崩れた。二直を後逸(安打)したり、併殺を焦った遊撃手がゴロをはじいたりして、ピンチを招き逆転を許す。そして9回。ついに山田は1死から四球を与えたところで無念の降板となった。

中盤までお家芸の継投決まる近江

 この日の近江は、もはやお家芸とも言える継投策が鮮やかに決まっていた。先発に滋賀大会でも登板のなかった技巧派左腕・副島良太(1年)を起用。副島は4回途中まで左打者の多い国際を抑え、右腕の岩佐直哉(2年)にバトンを渡す。5回からはまたも変則左腕の外義来都(1年)が踏ん張り、6回無死1塁の場面で、満を持して山田がマウンドに向かった。しかしこの日の山田は初球からおかしかった。いきなり暴投で三進され、続く2球目も暴投で、わずか2球で追いつかれた。それでも近江は直後に勝ち越し、山田も7回は三者凡退に抑え、流れは完全に近江だった。

8回からふくらはぎつった山田

 「(相手投手との)歩幅が全然合わず、投げにくかった。(マウンドを)掘ろうとしたが硬くて掘れなかった」と登板直後の場面を振り返った山田。バランスが完全に崩れ、初球を地面に叩きつけてしまった。気温も低く、午前中の雨でぬかるんだグラウンドにも苦しめられて、じわじわと体力が奪われていく。7回は何とか抑えたが、8回にはふくらはぎがつり始めたという。逆転を許してもマウンドに上がったのはエースとしてのプライドか。2-5で敗れたあと、ベンチに突っ伏して泣き崩れていた。

「先輩を助けられるように」山田

 スーパー1年生の今夏デビューは鮮烈だった。独自大会の初戦で3年生エースの足がつり、急きょ登板。3回をゼロに抑え、自ら決勝打を放って窮地を救った。最速144キロの速球に曲がりの大きなスライダーと鋭いフォークで1試合10個以上の三振を奪う期待の本格派で、新チームから名門の背番号1を背負う。「もっと下半身を鍛えて体を大きくし、先輩たちを助けられるようなピッチャーになりたい」と涙ながらに話す姿がいじらしい。センバツを懸けたマウンドは運にも見放されたが、山田の挑戦はまだ始まったばかりだ。

快勝の智弁和歌山は市和歌山と再戦

 東海大大阪仰星と対戦した智弁和歌山は、中盤で相手エースを攻略。1番・渡部海(1年)の公式戦初本塁打などで大差をつけた。投げては181センチ右腕の中西聖輝(2年)が7回を4安打10三振と好投し、8-1のコールドで快勝した。準々決勝は、和歌山大会で2度、敗れている小園健太(2年)の市和歌山と。「この前は打たれたが、今度は成長したところを見せたい。智弁の名を背負っているし、負けるわけにはいかない」と中西。中谷仁監督(41)も、「そりゃあ(小園君を)意識するでしょう。中西は負けん気が強い。彼の好投は必須」とエースに期待を寄せた。

京都国際は逆転で近畿大会初勝利

 ともに近畿大会初勝利を狙う和歌山東京都国際は1点を争う好試合に。投手交代機を一気に攻めた京都国際が、終盤に逆転し、4-3で競り勝った。6回途中まで先発左腕の緩急に手を焼いていたが、エース右腕に代わった直後、4番・中川勇斗(2年)の適時打で1点差に詰め寄ると、7回には下位打線で好機をつかみ、2番・植西龍雅(2年)が逆転打を放った。京都国際エース左腕の森下瑠大(1年)は故障から復調し、粘りの投球で反撃を呼び込んだ。小牧憲継監督(37)は、「ずっと終盤勝負だと言ってきたが、よくひっくり返した。継投でくると思っていたので、右投手の対策はしていた」と近畿大会初勝利に笑顔が絶えなかった。次戦の神戸国際大付との「国際対決」に勝てば、初めての甲子園が現実のものになる。

滋賀は3年連続センバツなしか?

 近畿大会は、次の週末が大勝負。1回戦の残り試合に大阪桐蔭天理(奈良)が登場し、そのあと一気に準々決勝4試合が行われる。2校が逆転で惜敗した滋賀勢は3年連続のセンバツなしが濃厚になった。