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明豊、20人全員起用で快勝!   甲子園交流試合2日目

森本栄浩毎日放送アナウンサー
明豊がベンチ入り20人全員を起用し快勝。広島新庄も天理を圧倒した(筆者撮影)

 甲子園交流試合は、特別ルールがいくつかある。その一つがベンチ入りが20人に増えたことである。従来の甲子園は18人だから、今回に限り2人がその恩恵にあずかる。それでもやはり試合には勝ちたい。監督が温情を差し挟む余地はあまりないはずなのだが、明豊(大分)は、20人全員を起用して、試合にも快勝した。

エース完ぺき立ち上がりで勢い

 その「離れ業」をやってのけた明豊の川崎絢平監督(38)は、「全員を使うと言っても、勝ち試合じゃないと意味がない。今回は苦しい時を皆で乗り越えたので、本当はスタンドの選手たち全員で戦いたいと思っていた」と話した。エース左腕の若杉晟汰(3年=主将)が、県岐阜商の初回の攻撃を三者三振に切って取る。「1回が完ぺきで、いけると思った。あれで勢いがついた」と監督も認める絶好のスタートで、序盤に3点をリードする。若杉は堅守にも助けられ、7回を6安打1失点の9奪三振でマウンドを降りた。投手も右腕の楠周弥(3年)から期待の2年生左腕・太田虎次朗へつないで、県岐阜商の反撃を断ち切り、4-2で逃げ切った。点差以上に危なげない勝利で、若杉も、「最後に最高の試合ができた」と胸を張った。甲子園で20人を一度に出場させたチームはもちろん初めてで、これを契機に春夏の甲子園でもベンチ入り20人を定着させてほしいと願っている。

県岐阜商は名門の意地

 県岐阜商は、最後に登板した速球派の森大河(3年)が素晴らしい投球で反撃ムードを演出し、終盤に望みをつないだ。鍛治舎巧監督(69)は、「森を先発させるべきだった。1試合だけなので、全て出し切ろうと思ったが、実戦の勘が戻っていなかった」と、独自大会出場辞退(校内でコロナ感染者が出たため)の影響があったことを認めた。守りが大きく崩れた序盤の内容なら一方的な試合になってもおかしくなかったが、9回には佐々木泰(3年=主将)が、アーチを架け、名門校の意地を見せたのはさすが。鍛治舎監督は、「また帰ってきます」と力強く捲土重来を誓っていた。

広島新庄は左腕リレー決まる

 第一試合では、広島新庄が、秋田駿樹(3年)から秋山恭平(2年)の左腕リレーで秋の近畿王者・天理(奈良)を4-2で破った。秋田は腰の不調で秋の中国大会では秋山にマウンドを譲ったが、大舞台で先輩の貫禄を見せた。天理は、1番の下林源太(3年=主将)と、秋の神宮大会で1試合3本塁打の河西陽路(3年)がともに5打数無安打と、看板の打線が不発で、相手守備の乱れで2点を取るのがやっとだった。この試合では、天理の大型右腕・達孝太(2年)が打者3人から2三振を奪う甲子園デビューを果たした。新チームでの活躍が楽しみだ。

平田は子どもたちに甲子園の良さを伝えて

 第二試合は、創成館(長崎)が、3投手の継投で平田(島根)を3安打に抑え、4-0で完封勝ちした。平田はエースで4番の古川雅也(3年)が、6回まで4安打1失点とよく粘り反撃を待ったが、7、8回に6安打を集められて3点を失った。攻撃では、2回に二死満塁と攻めたが、あと1本が出ずに先制機を逃したのが響き、相手得意の継投策にかわされた。地域の子どもたちに野球の楽しさを教える活動が評価され、21世紀枠でセンバツに選ばれた平田。この貴重な体験を、ぜひ、子どもたちに伝えてもらいたい。「甲子園は素晴らしいところだ」と。

高橋と前川の力勝負に期待

 3日目には、今年の高校生で最も速い球を投げる中京大中京(愛知)の高橋宏斗(3年)が登場。1試合限定だけに、夢の舞台で150キロ超を連発しそうだ。智弁学園(奈良)のスラッガー・前川右京(2年)との力勝負は、交流試合のハイライトになるだろう。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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