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いよいよ甲子園交流試合!  前半戦の見どころは?

森本栄浩毎日放送アナウンサー
10日から始まる甲子園交流試合。前半戦では屈指の力勝負が期待できる(筆者撮影)

 いよいよ、夏の甲子園でセンバツ出場32校による1試合限定の「甲子園交流試合」が行われる。10日からの3日間に7試合。15日からの3日間に9試合が組まれている。各地の独自大会の日程などに配慮して、試合日が設定された。まずは、前半の7試合について見どころや注目選手を紹介する。

開幕戦は投打の大型対決

 開幕戦は、大分商花咲徳栄(埼玉)のカードになった。両校による開幕式もあり、大分商の川瀬堅斗主将(3年)と、徳栄の井上朋也主将(3年)による宣誓で幕が開く。両主将は、チームの中心選手であり、直接対決が勝敗を左右しそうだ。大分商の川瀬は183センチの長身から最速148キロの速球を誇る。徳栄で1年から中軸を打つ井上は、高校通算48本塁打で、井上が打つと打線が勢いづく。川瀬は7月中旬の関西遠征時は足を痛めていて本調子ではなかった。川瀬が万全なら好勝負が期待できる。

地元出身左腕が明徳に挑む

 2戦目は試合巧者の明徳義塾(高知)と鳥取城北の対戦。甲子園のマウンドを経験している明徳の新地智也(3年)は、左腕から低めの変化球を丁寧に投げる実戦派で、バックの堅守がこれを支える。鳥取城北は、秋の大会は打線の奮起で勝ち上がったが、甲子園の地元・伊丹市出身の左腕・阪上陸(3年)に速球派右腕の松村亮汰(3年)ら投手陣も整備された。接戦が予想される。

天理の強打線と新庄の左腕対決

 2日目には、秋の近畿王者・天理(奈良)が第一試合に登場する。相手は好左腕2枚を擁する広島新庄で、天理の伝統の強打線が火を噴くか。1番を打つ下林源太(3年=主将)は、168センチながら昨秋は公式戦5本塁打。中軸の河西陽路(3年)は、神宮大会で1試合3本塁打の離れ業をやってのけた。新庄の秋田駿樹(3年)、秋山恭平(2年)の両左腕はいずれもキレのいい球を投げる。天理の左の強打者をいかに封じるか。

交代機につけ込めるか平田

 第二試合は、多彩な投手陣の創成館(長崎)に、21世紀枠で初のセンバツとなった平田(島根)が挑む。平田のエース・古川雅也(3年)は、低めの制球がカギ。守りから攻撃のリズムを作れるか。小柄な左腕の白水巧(3年)を筆頭に大型左腕や速球派右腕、下手投げなど、多彩な投手陣が伝統になりつつある創成館も、チーム打率2割台ながら守りは堅実。平田は投手の交代機につけ込みたい。

昨春4強の明豊とベテラン監督が対決

 第三試合は、秋の九州大会で優勝した明豊(大分)と県岐阜商の対戦。昨春センバツ4強メンバーを多数、擁する明豊が経験値では上回る。

神宮大会で力投する明豊の若杉。延長で惜敗したが、九州大会から復調し、実力を発揮した。甲子園でも期待される(筆者撮影)
神宮大会で力投する明豊の若杉。延長で惜敗したが、九州大会から復調し、実力を発揮した。甲子園でも期待される(筆者撮影)

 エース・若杉晟汰(3年=主将)は、秋は好不調の波が激しく、打線の援護に助けられた。県岐阜商は、OBでもある鍛治舎巧監督(69)が短期間でチームを強化。多彩な投手陣で、明豊の布施心海(3年)らの強打線に対抗する。若杉の出来がポイントになりそうだ。

最注目の力対決「高橋ー前川」

 3日目は2試合で、まず智弁学園(奈良)と中京大中京(愛知)の力対決が楽しみだ。後半戦にも好カードは多いが、今年の高校生最速右腕、MAX153キロの高橋宏斗(3年=タイトル写真)が、最初で最後の甲子園でどんな投球を見せるか。現チームで唯一、日本一の座(神宮大会優勝)を手にしている中京は、捕手の印出太一(3年=主将)や遊撃の中山礼都(3年)を軸に、センターラインが崩れない。完成度が高かった秋から、どこまでチーム力が向上しているか。智弁は、下級生中心の伸び盛りのチーム。3年生だけで戦った奈良の独自大会とは別チームと考えた方がいい。

来年のドラフト1位候補の智弁学園の前川。金属バットにひびが入るほどのスイングで、規格外の飛距離を誇る(筆者撮影)
来年のドラフト1位候補の智弁学園の前川。金属バットにひびが入るほどのスイングで、規格外の飛距離を誇る(筆者撮影)

 4番の前川右京(2年)は、先輩・岡本和真(巨人)の高校時代を凌ぐ飛距離とも言われ、来年のドラフト1位候補でもある。マウンドを守る左腕・西村王雅(2年)と小畠一心(2年)のコンビも含め、昨夏の甲子園を経験している。特に注目は高橋と前川の対決で、下級生の前川が打ち勝つようなら、来年の高校野球の主役は決まったも同然だ。ただし、高橋は、変化球の精度も極めて高く、単なる速球派ではない。筆者は16試合中、このカードに最も注目している。

新しい伝統の一歩に

 前半戦最後の試合は、甲子園未経験の鹿児島城西加藤学園(静岡)が当たる。神宮枠でセンバツに選ばれた際、加藤瑠美子校長が涙を流し、センバツが中止になりそうな時、「たとえ無観客でも甲子園で試合がしたい」と語った勝又友則主将(3年)の言葉に、加藤学園の甲子園への思いの強さがうかがえる。鹿児島城西は、元プロ選手で、首位打者経験もある佐々木誠監督(54)が率いる。レギュラーに下級生が多く、秋からチームが一変している可能性もある。両校とも全力で戦って、新たな伝統の第一歩としてほしい。

球児たちを全力応援

 筆者は、「センバツLIVE」でのネット配信で実況する。前半戦では、開幕試合と、2日目の第一試合が担当だ。毎日放送では、センバツ前の取材も多くしていて、事前の地上波番組もある。球児たちを全力で応援したい。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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