大阪桐蔭、横浜不在の夏!  ビッグ4も3人消え、甲子園への道険し

甲子園をめざす地方大会も大詰め。大阪桐蔭や横浜が敗れ、波乱は続く(筆者撮影)

 波乱の地方大会は、終盤に入ってさらにヒートアップしている。25日には横浜が、神奈川大会準々決勝で公立の相模原に逆転負け。26日は、近畿で大波乱が起きた。大阪桐蔭が大阪大会準々決勝で、金光大阪にタイブレークの末、逆転サヨナラ負けし、春に続いて甲子園を逃した。さらに龍谷大平安(京都)、天理(奈良)という古豪も決勝に進むことなく、涙をのんだ。また、高校ビッグ4も、大船渡(岩手)の佐々木朗希(3年)が決勝に出場することなく敗退。横浜の及川雅貴(3年)に続き、27日には西純矢(3年)の創志学園(岡山)も敗れ、2年連続の甲子園を逃した。

苦戦予想された今年の大阪桐蔭

 昨年、史上初の2度目の春夏連覇を達成した大阪桐蔭(タイトル写真は昨年の履正社戦)は、秋の大阪大会こそ履正社に次ぐ2位で近畿大会に進んだが、センバツ当落線上の試合内容で8強止まり。結果的には選に漏れ、補欠校に甘んじた。強豪との練習試合でも敗戦が多く、春の大阪大会では5回戦で近大付に完敗した。大阪はシード制を採用しておらず、比較的恵まれた抽選運かと思われたこの夏も、初戦の東淀川には先制を許すなど7-3の辛勝で、ある程度の苦戦は予想されていた。その後は打線が復調して、投手陣の不振をカバーできるかと思われたが、準々決勝の金光大阪戦では、打線が沈黙した。試合は両校譲らず、13回からはタイブレークに突入。14回に2点を奪って勝機をつかんだかに見えたが、頼みのエース・中田惟斗(3年)が踏ん張り切れなかった。

3年生は後輩たちのサポートを

 中田は二つの押し出し四死球で追いつかれると、200球目にスクイズを決められ、サヨナラで万事休す。大阪桐蔭にとっては8年ぶりの春夏甲子園なし。「黄金世代」と呼ばれた根尾昂(中日)、藤原恭大(ロッテ)、柿木蓮(日本ハム)らが築いた偉大な記録を継承する舞台にすら一度も立てなかった。

大阪桐蔭の主砲・西野。昨秋は本塁打を連発し、西谷監督を唸らせた。船曳(後方)とともに、新チームでも活躍が期待される(筆者撮影)
大阪桐蔭の主砲・西野。昨秋は本塁打を連発し、西谷監督を唸らせた。船曳(後方)とともに、新チームでも活躍が期待される(筆者撮影)

 現在の3年生は、先輩たちと比較されて辛かっただろうが、彼らは、後輩たちに夢を託す。卒業するまでは、大阪桐蔭の生徒であり、野球部員である。勝つ喜びと負ける辛さ。目標にされ、追われる立場の苦しさ。そして偉大な先輩たちを直接、知らない1年生には、その練習ぶりや精神面のすごさを、しっかり伝えてほしい。現在の2年生は、昨秋から中軸を任されることが多かった。主砲の西野力矢、船曳烈士はチーム始動当初から3、4番を打っていた。エース候補から野手専念の仲三河優太に吉安遼哉が夏前から頭角を現すなど、試合経験の多い選手が並びそう。あとは、このチームでも課題だった投手陣の整備で、1年生の新戦力がどれだけ加わってくるかだ。3年生がしっかり支えれば、必ずいいスタートが切れる。

西の創志学園も涙

 25日に横浜が敗れたあと、26日は近畿で波乱が相次ぎ、龍谷大平安が準決勝で立命館宇治に完敗。秋、春と敗れていた京都国際へのリベンジチャンスを逃した。原田英彦監督(59)が、「なかなか一体感が出てこない」とこぼしていたが、守備の乱れで主導権を渡し、終盤に突き放された。天理は壮絶な打撃戦の末、大和広陵に9-11で及ばず。ライバル・智弁学園との対戦も夢と消えた。また、センバツ8強の市和歌山も秋の県大会3位の南部に惜敗した。さらに、27日には、創志学園が岡山大会準決勝で倉敷商に完封負けを喫した。西は完投したが、打線が沈黙。これで高校ビッグ4の佐々木、及川に続き、西も最後の夏を甲子園で迎えることはできなかった。

奥川は辛くも決勝へ

 残る奥川恭伸(3年)の星稜は、石川大会準決勝の鵬学園戦で救援登板し、一時は逆転を許すなどピンチに立たされたが、自らの本塁打で追いつき、延長で決勝本塁打を放って、辛くも決勝に進んだ。奥川は今夏、自己最速が158キロまで伸びていて、ビッグ4の期待を一人で背負い、小松大谷との決勝に臨む。

近江は黄金バッテリーで頂点狙う

 近畿のトップを切って、26日には近江が2年連続で滋賀の代表に決まった。光泉の144キロ右腕・吉田力聖(りき=3年)とフェントン・ライアン捕手(3年=主将)の気迫に押される場面もあったが、経験豊富なエース・林優樹(3年)と有馬諒(3年=主将)の「黄金バッテリー」が得点を許さず、お互いゼロ行進。

優勝を決め、抱き合って喜ぶ林-有馬のバッテリーら近江の選手たち。春の近畿大会優勝後、調子を落としていたと言うが、準決勝、決勝完封の林は滋賀大会無失点。U18代表候補の実力を見せつけた(筆者撮影)
優勝を決め、抱き合って喜ぶ林-有馬のバッテリーら近江の選手たち。春の近畿大会優勝後、調子を落としていたと言うが、準決勝、決勝完封の林は滋賀大会無失点。U18代表候補の実力を見せつけた(筆者撮影)

 8回裏に住谷湧也(3年)の内野安打で挙げた1点を守り切って、歓喜の瞬間を迎えた。多賀章仁監督(59)は、「吉田君も素晴らしい投手で、こんないい試合を勝てて、また強くなったと思う。自信を持って甲子園に送り出せる」と涙を流しながら選手たちを称えた。有馬は、「甲子園の借りは甲子園でしか返せない。やっとその舞台に立てる」と安堵の表情を見せれば、林は、「絶対に(甲子園に)戻らないといけないと思っていた。勝って当たり前と思われ、プレッシャーがあった」と、重圧から解放され、しばらく涙が止まらなかった。昨夏準々決勝、金足農(秋田)にサヨナラ2ランスクイズを決められ、悔し涙にくれたバッテリーが、湖国勢初の大旗をつかみにいく。