101回夏の甲子園 地方大会開幕  注目のチーム、選手は!

甲子園をめざす、地方大会がスタート。注目チームは聖地へたどり着けるか(筆者撮影)

 夏の甲子園を懸けた地方大会は、南北・北海道と沖縄からスタート。今週末に、球音は全国へと広がる。梅雨明けが遅れていた沖縄はいきなりの2日連続順延で、出ばなをくじかれた。例年、沖縄は離島勢に配慮した日程を組むが、試合をすることなくそろって帰島。物心両面での負担は計り知れず、恨めしい限りだ。広い北海道は、まず地区で代表校を決める。代表になれば、大会まで調整期間がかなりあるので、ここを突破することが先決になる。南大会は波乱が多く、春の全道大会準優勝の苫小牧工大谷室蘭に敗れ、南北海道大会進出を逃した。同優勝の駒大苫小牧も代表決定戦でサヨナラの辛勝。センバツ出場の札幌第一札幌日大に僅差勝ちして代表切符を手にした。南大会は、昨秋神宮大会王者の札幌大谷が一歩、リードしている。

センバツ王者の東邦はノーシード

 6月29日には、本州のトップを切って愛知大会が開幕。翌30日にはセンバツ王者の東邦が早くも登場するはずだったが、雨にたたられた。東邦はセンバツ直後の春季県大会で初戦敗退。そのため今大会はノーシードで1回戦から登場する羽目になった。順当なら4回戦で元・中京大中京の大藤敏行監督(57)率いる享栄と当たり、ここが最初の関門になる。センバツ優勝投手の石川昂弥(3年=主将)は野手専念も噂されたが、石川の右腕なくして愛知の激戦を勝ち抜くのは至難の業だろう。森田泰弘監督(60)の采配に注目したい。

「怪物・佐々木」の大船渡は苦戦か?

 今年、全国の最注目球児は、大船渡(岩手)の佐々木朗希(3年)で間違いない。4月のU18代表候補合宿で高校史上最速とされる163キロをマーク。このニュースは衝撃的に全国を駆け抜けた。新元号にちなんで「令和の怪物」のニックネームまで頂戴した超大物だ。大船渡は、昭和59(1984)年の春夏に甲子園出場経験はあるが、公立としてのハンディは大きく、秋も強豪私学の前に東北大会進出を阻まれた。春は佐々木を温存して初戦負けし、こちらもノーシード。ただ、試合数が多いわけではなく、強豪とどこで当たるかが問題になる。最初の強敵は、4回戦で当たりそうな盛岡四か。センバツ出場の盛岡大付とは準決勝で、花巻東とは決勝で当たる組み合わせになった。「怪物」と言えども、岩手の2強を倒さないと甲子園にはたどり着けない。厳しい戦いが予想される。

奥川の星稜は春も順当に

 ほかの注目球児は甲子園でおなじみの選手ばかりだ。まずは、実力派右腕・奥川恭伸(3年)擁する星稜(石川)は、春の北信越でも別格の強さで、貫禄の優勝。「サイン盗み疑惑発言」で謹慎した林和成監督(43)も復帰し、チームは一枚岩になっている。準々決勝で対戦が予想される遊学館が最初の強敵で、ライバル・航空石川とは決勝まで当たらない組み合わせ。控え投手陣も層が厚く不安はないが、相変わらず打線はエンジンのかかりが遅い。打線強化が実れば、甲子園でも優勝候補に挙げられるだろう。

西の創志学園は激戦・岡山を勝ち抜けるか?

 昨夏甲子園で16奪三振完封の鮮烈デビューを飾った最速153キロ右腕の西純矢(3年)擁する創志学園は、センバツをあと一歩で逃した。ノーシードで臨む岡山大会は、初戦で岡山南と当たる。玉野光南理大付岡山東商などがひしめく激戦ゾーンに入ったが、控え投手が成長していて、戦力は万全。しかし、岡山は全国でも屈指のハイレベルで、最後まで息が抜けない。春の中国大会優勝の関西や、倉敷工倉敷商なども紙一重で追っている。

トップ左腕・及川は4度目の甲子園なるか

 激戦と言えば、神奈川を避けて通れない。今年も横浜東海大相模の2強を軸に、全国レベルのチームが揃う。当然、好選手も多く、中でも注目は、横浜の最速153キロ左腕・及川雅貴(3年)だ。1年夏に甲子園デビューし、今春センバツでは期待されたが、一気に崩れた。平田徹監督(36)が、「すごく真面目な性格」と評するように、責任感の強さが裏目に出たようだ。ポテンシャルの高さは誰もが認める今世代トップ左腕で、最後の夏に大きく飛躍してもらいたいところだが、自身4度目の甲子園へ、道のりは平坦ではない。最大のライバル・東海大相模とは準決勝で当たる組み合わせになったが、2強の激突が実現するか?横浜の前には、平塚学園三浦学苑、相模の前には慶応が立ちはだかる。一方のゾーンも激戦で、鎌倉学園桐光学園、センバツ出場の桐蔭学園横浜隼人などがしのぎを削る。

苦戦続く大阪桐蔭は3年生の頑張り次第

 この2年、高校野球界の中心にいた大阪桐蔭は苦戦が伝えられる。秋こそ近畿大会8強入りし、センバツには手が届きそうな位置にいたが、惜しくも落選。春以降の練習試合では強豪に敗れることも多く、沈滞ムードが漂う。投手陣は数こそいるが軸が決まらず、下級生の成長もあまり聞こえてこない。直前に、1年生の有望選手を入れることも可能だが、西谷浩一監督(49)がどう決断するか。大阪は3回戦までしか組み合わせが決まっておらず、再抽選の結果が優勝争いを左右する。ライバル・履正社が戦力的にはやや上回るとみられるが、夏は昨年まで桐蔭の11連勝中。例年の直接対決では、3年生が奮起する。「黄金世代」の一級下で苦しい思いをした現3年生の頑張りが、大阪桐蔭の夏の甲子園連覇に夢をつなぐ。

近畿は好チーム多く、熱戦期待

 今年は近畿勢に力のある好チームが多い。中でも兵庫は、明石商中森俊介(2年)ら好投手が多く、ハイレベルな戦いが期待できる。春季大会では8強中6校が公立で、投手が上位進出の原動力になっている。明石商の一番手は揺るぎないが、打力では神戸国際大付が肉薄する。兵庫は春の結果をもとにシード制がしっかりしているが、市尼崎滝川二報徳市西宮が揃う「死のブロック」も生まれた。センバツに出た智弁和歌山市和歌山の一騎打ちムードの和歌山は、この2強と桐蔭海南の古豪勢がシードされた。智弁は1年生の有望選手が早くも戦力になっていて、上積みが期待できる。智弁の1年生と言えば、本家・智弁学園(奈良)の右腕・小畠一心、左腕の西村王雅が近畿大会で結果を残した。2戦目で当たりそうな昨夏代表・奈良大付御所実の勝者が最初の難敵だが、ライバル・天理郡山など、攻撃力のあるチームとは別ゾーンになった。京都は大混戦。センバツに出た龍谷大平安福知山成美はともに厳しい組み合わせ。特に成美は、初戦を突破すれば、好投手のいる京都翔英、その次に昨春甲子園出場の乙訓と当たる可能性がある。16年ぶりに近畿大会を制した近江(滋賀)は、初戦で、ともに昨春のセンバツに出た膳所と当たる。林優樹(3年)-有馬諒(3年=主将)のバッテリーが健在で、戦力的には全国8強だった昨年と遜色ないが、ライバル・滋賀学園なども投手力では引けをとらず、虎視眈々と波乱を狙っている。

富岡西の快挙に期待

 全国のそのほかの注目地区だが、東北では、青森の2強、八戸学院光星青森山田の3回戦激突が濃厚。間隙を縫って、春の東北王者に輝いた聖愛が2度目の甲子園なるか?福島で12年連続出場の戦後最長記録更新中の聖光学院が、春季県大会で2敗しピンチ。どこまで底力を発揮できるか。西東京は、甲子園に出場すれば優勝候補に挙げられそうな日大三を、東海大菅生早稲田実、センバツ出場の国士舘などが包囲する。21世紀枠でセンバツに初出場し、優勝した東邦に1-3と善戦した富岡西(徳島)は、直後の四国大会でも準優勝し、実力を証明した。21世紀枠出場校が、その年の夏も出場したのは、導入1年目の平成13(2001)年の宜野座(沖縄)と平成22(2010)年の山形中央の2例だけで、注目される。