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大阪桐蔭 新チーム快勝発進!  センバツ3連覇へ その戦力は?

森本栄浩毎日放送アナウンサー
大阪桐蔭新チームが秋の初戦をコールド勝ちし、センバツ3連覇へ発進した(筆者撮影)

「センバツ3連覇」「3度目の春夏連覇」

 とてつもなく大きな宿命を背負った大阪桐蔭の新チームが公式戦の初戦を17-0の5回コールドで飾った。夏の優勝から3週間。履正社などのライバルより1か月遅れての始動にもかかわらず、計3本塁打の強打線とこの日投げた速球派3投手は、経験不足を感じさせないたくましさを見せた。

1イニング13点の猛攻

 圧巻だったのは2-0で迎えた3回の攻撃。相手の府立堺工科は部員15人で力の差は明らかだったが、16人攻撃で2本塁打を浴びせ、13点を奪った。出塁した選手がすべて生還する「取り残しなし」の猛攻だった。

第1打席の公式戦初アーチに続き、西野の2打席連続弾は満塁で飛び出した。入学当初は98キロあった体重が、「練習がきつくて」86キロになり、軽やかに?三塁へ向かう(筆者撮影)
第1打席の公式戦初アーチに続き、西野の2打席連続弾は満塁で飛び出した。入学当初は98キロあった体重が、「練習がきつくて」86キロになり、軽やかに?三塁へ向かう(筆者撮影)

 この回、相手失策と2四球で無死満塁とすると、第1打席で公式戦初アーチの3番・西野力矢(1年)が豪快に満塁弾。西野は同じ回に巡ってきた次打席でもあわや3打席連続弾かと思われる中堅への特大犠飛を放つなど7打点の活躍で、2日前に49歳の誕生日を迎えた西谷浩一監督を喜ばせた。「期待のロングヒッターで、このチームでは軸を打たせたい」という指揮官の思いに満額回答したスラッガーは、「思い切り振ったら入ったのでうれしい」と、180センチ86キロの巨体に似合わない小さな声で、控えめに喜びを表現した。

投手陣は今度も継投策か

 投手陣は、先発が背番号「9」の新井雅之(2年)で、4回からは、打撃も期待される山田優太(2年=背番号5)、5回は縄田渉(2年=背番号10)といずれも右腕。

二番手で登板した山田は、昨秋は打撃好調を買われ、公式戦出場も。今チームでは、投手としても西谷監督が期待する(筆者撮影)
二番手で登板した山田は、昨秋は打撃好調を買われ、公式戦出場も。今チームでは、投手としても西谷監督が期待する(筆者撮影)

 試合が5回コールドの17-0で終わったため、3人で1安打完封の継投になった。西谷監督は、「新井は3年生のシート打撃で毎日のように投げていて、経験値は高い。山田は中学時代に投手だったし、しばらくは(投手を)つないでいくことになるかな」と話した。3投手がドラフト指名を受けそうな前チームとは比べるべくもないが、層は厚い。この日は登板がなかったエース番号を背負う中田惟斗(2年)は、前チームのこの時期にはベンチ入りしていたし、栃木出身の仲三河優太(1年)は、将来のエース候補だ。右腕本格派の同じようなタイプがそろい、まだ柱は決まっていない。これから試合経験を積んで、西谷監督の信頼を得ることが先決になる。

中軸が1年で右打者が多い打線

 攻撃陣は、前チームとはスケール、能力ともに大きな開きがある。中軸は3番の西野と4番の船曳烈士が1年の右打者。5番の中野波来(はる=2年・主将)は夏の甲子園でもベンチ入りした右打者で、この日は本塁打も放った。前チームに比べると左の強打者が少ない中、2番を打った右投げ左打ちの宮本涼太(2年)は、中野とともに優勝を経験している数少ないメンバーの一人。この日はいいつなぎ役をしていた。3、4番が若いだけに、5番の中野以降の打者が奮起すれば得点力は上がる。投打とも経験不足は否めないところだが、個々の潜在能力の高さはこれまでのチームと比較しても見劣りしない。前チームが飛びぬけていただけのことだ。

「勝ちたい気持ちはあるはず」と西谷監督

 主将の中野(タイトル写真右端)は、中川卓也・前主将から、右に「主将力」、左に「日本一」としたためられているバッティング手袋を授かった。それとともに、「春の日本一めざして、頑張ってくれ」と激励されたという。西谷監督は、「3年生から『そんなんじゃ勝てないぞ』と毎日のように言われている。2年生たちは、『やっと出番が来た。やってやるぞ』と思っているはずだし、勝ちたい気持ちはあるはず」と、選手たちの胸の内を代弁した。中野は、「まずは大阪を勝ち切って、近畿大会、そしてセンバツにつなげたい」と話すが、夏の北大阪大会で苦戦した金光大阪が同じブロックで、早くも3回戦で当たる可能性がある。最強のライバル・履正社とは決勝まで当たらないが、長く厳しい戦いは、まだ始まったばかりだ。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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