秋田勢103年ぶり決勝!  金足農が大阪桐蔭に挑む

金足農が、秋田勢として103年ぶりの決勝進出。大阪桐蔭に挑む(筆者撮影)

 快進撃は準決勝でも止まらなかった。金足農(秋田)の好投手・吉田輝星(3年)は、9回裏の日大三(西東京)の反撃を振り切って、秋田勢として103年ぶりの決勝進出を果たした。準決勝第2試合は大阪桐蔭(北大阪)が、危なげなく済美(愛媛)を5-2で破った。100回大会の決勝は史上初の2度目の春夏連覇に挑む大阪桐蔭の前に、今大会ナンバーワン投手が立ちはだかる。

吉田は苦しみながら終回に148キロ

 休養日を挟んでも、吉田は近江(滋賀)との準々決勝ほど直球に威力がなく、スライダーとスプリットを駆使して、日大三打線をかわした。2-0と金足農がリードして迎えた8回表、1死満塁でスクイズを仕掛けたが、打者が遠い外角球に反応できず三塁走者が憤死。流れを失いかけた。その裏、やはりと言うべきか、吉田が日大三の上位打線につかまり、4番・大塚晃平(3年)に粘られたあと、適時打を浴びる。しかし、次打者は145キロの速球でファウルを打たせ、スプリットで三振に仕留めた。

最後の打者を仕留めた吉田は喜びを爆発させる。大阪桐蔭を倒して東北、秋田に優勝旗を持ち帰るか(筆者撮影)
最後の打者を仕留めた吉田は喜びを爆発させる。大阪桐蔭を倒して東北、秋田に優勝旗を持ち帰るか(筆者撮影)

続く9回はエンジン全開で1死を奪い、124球目にはこの日最速の148キロをマークする。それでも打ち取った当たりを内野の連係ミスで安打にしてしまい、吉田に疲労の色が濃くなり始める。日大三は続く代打の内野安打で、一打逆転サヨナラの好機を迎えた。球場全体が金足農を後押しし、「吉田!吉田!」のコールが沸き起こる。最後の力を振り絞った吉田は続く二者をフライアウトに抑え、ついに2-1で金足農が決勝進出を果たした。

「打倒!大阪桐蔭で」と吉田

 汗を滴らせてインタビュー台に上がった吉田は、「最後は(連係ミスなど)みんなに焦りがあったが、ここは自分がカバーしようと思った。今まで通りの粘り、チームプレーができた」と振り返った。初戦の鹿児島実から、大垣日大、横浜(南神奈川)、近江、日大三と倒した相手は甲子園の優勝校か準優勝校。つまり決勝の大舞台を経験している名門ばかりだ。それでも吉田はきっぱりと言った。「ずっと、『打倒大阪桐蔭』でやってきたんで。本当なら、1回戦で当たりたかった」。まだ決勝の相手が決まる前から、1年間、目標としてきた相手の名前を口にした

「決勝は最後の壁」と桐蔭・中川主将

 その吉田の願い?がかなったか、第2試合に登場した大阪桐蔭は、済美に先制を許すも中盤に逆転。エースナンバーを背負う柿木蓮(3年)が7安打2失点、10奪三振の力投で、5-2と快勝した。主将の中川卓也(3年)は、「明日(決勝で)、勝つためにずっとやってきた。勝たないと意味がない」と笑顔一つ見せず話せば、柿木も、「決勝をずっと意識してやってきた」と決勝進出は当たり前と言わんばかり。それでも中川は、「毎試合が大きな壁と思ってやっている。明日が最後の大きな壁」と、追われる立場で戦ってきた苦しい胸の内を明かした。

決勝展望 金足農・僅差で終盤勝負に

 さて決勝は、当然、吉田の投球がすべて。本人も言うように、体調万全の1回戦なら抑える自信もあるだろうが、5試合を経て心身の消耗は尋常ではない。日大三戦での奪三振は「7」にとどまり、打たせて取る投球に徹していた。準々決勝以降の2試合は、終盤、1点もやれない場面で辛うじて踏ん張ってきたが、序盤で打たれて緊張の糸が切れないようにしたい。逆に、中盤まで僅差の展開に持ち込めば、攻守にわたって終盤に強い金足農の本領が発揮されるはずだ。

大阪桐蔭は根尾から柿木か

 一方の大阪桐蔭は、柿木が完投できたのは大きい。

大阪桐蔭の先発は根尾か?本人は、「接戦になっても自分たちのペースで試合ができている。そういう練習をしてきた」と自信をみなぎらせた(筆者撮影)
大阪桐蔭の先発は根尾か?本人は、「接戦になっても自分たちのペースで試合ができている。そういう練習をしてきた」と自信をみなぎらせた(筆者撮影)

決勝は根尾昂(3年)の先発か。根尾は、「(決勝で)投げられたらいいな、とは思う。状況に応じてしっかりやっていきたい。投げる準備はできている」と万全を強調。柿木も、「最後は自分がマウンドにいて、みんなで喜びたい」と優勝投手への熱い思いを吐露した。今大会は根尾より柿木の方が好調で、柿木が根尾を救援する可能性も十分。ただし、準決勝での155球完投はかなりこたえるはずで、柿木の早い回での登板は命取りになりかねない。金足農は、根尾をしつこく攻めて、柿木を早い回で登板させる展開に持ち込めれば、打ち合いになっても勝機が出てくる。

初の2度目の春夏連覇か 東北勢初優勝か

 節目の大会は、史上初の2度目の春夏連覇か、東北勢の初優勝か。いずれにしても新しい歴史の1ページが書き加えられる。吉田は言った。「東北の、秋田の思いも背負って絶対に優勝したい」。103年前の第1回大会で秋田中(現秋田高)が延長で京都二中(現鳥羽)に敗れて以来、春夏通して東北勢の甲子園優勝はない。100回大会で新しい歴史の扉を開くのは、吉田しかいない。