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大阪桐蔭死闘制し、連覇へ前進!  センバツ決勝へ!

森本栄浩毎日放送アナウンサー
センバツ決勝は智弁和歌山と大阪桐蔭の決勝に。昨春から4度目の対戦だ(筆者撮影)

準決勝は2試合とも劇的な試合になった。連覇を狙う大阪桐蔭は、三重に大苦戦。タイブレーク突入目前の延長12回2死から藤原恭大(3年)の左中間サヨナラ二塁打で熱戦に終止符を打った。

大阪桐蔭は12回2死からサヨナラ勝ち 

 試合は、大阪桐蔭先発の柿木蓮(3年)が序盤につかまり、2点ビハインドの5回から切り札の根尾昂(3年)を登板させる意外な展開に。根尾は三重打線の勢いを封じ、6回には山田健太(3年)のソロで追い上げる。

三重の定本は10回2死まで7安打3失点の力投。王者・大阪桐蔭を慌てさせた(筆者撮影)
三重の定本は10回2死まで7安打3失点の力投。王者・大阪桐蔭を慌てさせた(筆者撮影)

 しかし三重の力投派・定本拓真(3年=主将)のコーナーを丹念につく投球に決定打を奪えず、1点差で9回を迎えた。先頭の根尾が四球で出塁し、1死から7番・石川瑞貴(3年)も左前に運ぶ。8番・小泉航平(3年)の打席で西谷浩一監督(48)が動き、走者がスタートを切った。「カウントが3ボール1ストライクだったので、何かあるかもと心の準備はできていた」と小泉。詰まりながらも右前にはじき返し、根尾が生還して追いついた。延長に入ってから、試合は淡々と進み、12回裏の桐蔭も2死1塁。ここで4番の藤原が初球を左中間に。三重の中堅手がもたつく間に、青地斗舞(3年)が一気に生還し、劇的なサヨナラ勝ち(タイトル写真)となった。

「次につながる」西谷監督

 藤原は右ヒザの状態が万全でなく、今大会は慣れない4番に入っている。ようやく4番らしい仕事をした。四球で出塁した場面でも、「2回くらい(盗塁に)いった」と足の状態もよくなっているようだ。西谷監督は、「結果的に苦しい試合を勝てたのは大きい。次につながる」と前向きに話し、主将の中川卓也(3年)も、「これまでからリードされている試合に弱かった。逆転できて、成長につながったと思う」と安堵した。これでPL学園(大阪)以来、36年ぶり、史上3校目のセンバツ連覇に王手をかけた。

定本は夏のリベンジ誓う 

 

 それにしても三重は惜しい試合だった。9回は定本が勝ちを意識したか、先頭の根尾を簡単に歩かせたのが痛かった。12回の決勝の走者も失策からで、接戦での後攻チームの精神的優位性がよくわかる。タイブレークの可能性もかなりあったが、桐蔭の根尾は、「タイブレークになってもウチは後攻だから有利と思っていた」と言うように、三重はかなり追い詰められていた。ちなみにタイブレークになっていたら、三重の13回は8番からの攻撃だった。定本は、「ベストを尽くして最後まで投げきろうと思った。夏にリベンジしたい」と引き締まった表情で話した。

智弁はまたも乱戦に 

 第1試合は大乱戦となった。東海大相模(神奈川)が、智弁和歌山先発・池田陽佑(2年)の立ち上がりを攻め、1、2番で早くも1点を先制する。

東海大相模は森下の活躍などで初回から猛攻。主導権を握ったが、智弁和歌山の粘りに屈した(筆者撮影)
東海大相模は森下の活躍などで初回から猛攻。主導権を握ったが、智弁和歌山の粘りに屈した(筆者撮影)

 不振だった森下翔太(3年)も続いて1死満塁とすると、5番・梶山燿平(3年)が右中間を破って、あっという間に4点が入った。「(池田は)3回ぐらいはもって欲しかったが、これでは20点くらい取られる」と高嶋仁監督(71)もたまらずエース平田龍輝(3年)をマウンドへ送った。「(池田が)打たれていたので『あるな』とは思っていた」という平田は、変化球を軸に相模の勢いを止めた。その間に智弁も盛り返し、中盤で一気に逆転。準々決勝同様の打撃戦に持ち込んだ。

智弁エースは180球熱投

 相模もエース・斎藤礼二(3年)を4回途中から投入し、試合は両エースの対決となった。相模が5回に7番・渡辺健士郎(3年)の逆転2ランでまたもリードすると、6回には智弁の守備が大きく乱れる。3つの失策などで5点差をつけられ、相模がまたも主導権を奪った。それでも創成館(長崎)戦で最大5点差を追いついた智弁は、「点差をつけられても誰も諦めていなかった」と話す黒川史陽(2年)の2点適時打などで8回に10-10の同点に追いつく。試合は延長に突入し、智弁にとっては準々決勝の再現となった。10回、途中出場の本多吏樹(3年)が口火を切ると、四球と犠打で1死2、3塁と好機を広げ、5番・冨田泰生(3年)の犠飛で勝ち越し。黒川も適時打で2点差をつけた。平田は1回無死から10回まで180球の熱投だった。「疲れより勝った喜びが大きい。これだけのタマ数で連投したことはないが、決勝も抑えて勝ちたい」と爽やかに話した。

無念の東海大相模監督

 試合の主導権を2度、手放して敗れた東海大相模の門馬敬治監督(48)は、試合後のインタビュー台でしばらく絶句したまま言葉が出てこなかった。「一貫して(智弁の)選手が振り切っていた。追い込まれても、ボール球でも打てる強さがあった。高嶋監督がブレなかった。選手はよくやった。監督の差」と悔しさで顔を真っ赤にしてふり返った。

決勝は昨春から4度目の対決

 さて決勝は、智弁和歌山と大阪桐蔭の昨秋近畿大会決勝カードの再戦となる。このときは柿木が完封し、根尾の本塁打による1-0で大阪桐蔭が勝った。前チームの昨春近畿大会、夏の甲子園でも当たっていて、いずれも大阪桐蔭が勝っている。両校とも下級生のときから出場している選手が多く、甲子園の決勝で当たれるのは本望だろう。ポイントは智弁投手陣の踏ん張りで、準決勝のように大量失点するようだと苦しい。ただ、大阪桐蔭も根尾が8回、99球投げたのは決勝に響く。柿木の先発が予想されるが、早い回に降板するようだと、根尾といえども苦しい投球になるのは間違いない。智弁は離されても終盤まで食らいつけば、ここ2試合の経験が生きるはず。智弁は7~8点の乱打戦に持ち込みたい。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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