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釜石ー小豆島  センバツ好カード続出!

森本栄浩毎日放送アナウンサー
センバツの組み合わせ抽選が行われ、21世紀枠の釜石と小豆島が初戦で対戦する

センバツの組み合わせ抽選が行われ、大会史上2度目となる21世紀枠同士、釜石(岩手)と小豆島(香川)の初戦対決が決まった。また、明徳義塾(高知)と龍谷大平安(京都)や東邦(愛知)と関東一(東京)、秀岳館(熊本)-花咲徳栄(埼玉)、東海大甲府(山梨)-創志学園(岡山)などの好カードが続出した。(学年は4月からの新学年)

福井工大福井と智弁で開幕 ~1日目

福井工大福井と智弁学園(奈良)の強豪同士が開幕を飾る。直近の12年夏も開幕戦で勝っている福井は、投打のバランスがいい。智弁は、一昨年夏に甲子園を経験している村上頌樹(3年)が逞しく成長し心強い。

智弁の村上は最速145キロの本格派。スライダーも抜群で、強打線に力勝負を挑む
智弁の村上は最速145キロの本格派。スライダーも抜群で、強打線に力勝負を挑む

小坂将商監督(38)は、「相手も投手がいいので接戦になるでしょう。秋はミスが多かったので、冬場は守備を中心に鍛えました。でも開幕戦は試練ですね」と困惑した表情だった。第2試合は、試合巧者の常総学院(茨城)と強打の鹿児島実が対戦。お互い昨年の甲子園を経験していて、伯仲の好試合が期待できる。巧みな投球で、昨春8強に貢献した常総の左腕・鈴木昭汰(3年)が、出場全選手中トップの打率.621をマークした綿屋樹(3年=主将)中心の強打・鹿実を抑えられるか。桐生第一(群馬)と滋賀学園も好試合の予感が。打線が看板の滋賀・山口達也監督(44)は、「体は大きくなりましたが、相手の投手はいいので、ロースコアに持ち込みたいですね」と競り合いでの甲子園初勝利をもくろむ。桐生一の左腕・内池翔(3年)が緩急をうまく使って、振りのいい滋賀打線をかわせるか。

明徳ー平安が激突 ~2日目

2日目は、3年ぶりとなる21世紀枠対決で盛り上がる。(ページ写真)釜石の佐々木偉彦監督(32)は、「(小豆島に決まって)ワクワクしています。相手は投手もいいですが、しっかり守って、終盤に1点でも多く取りたい」と意気込む。小豆島の樋本尚也主将(3年)は選手宣誓の大役も担うことになり、「できれば避けたかったですが、決まった以上は感動を届けられるように、選手みんなで(宣誓文を)考えたい」とこちらも意欲満々だった。秋に高松商を破って香川大会を制した小豆島がやや有利だが、センバツならではのさわやかな戦いになることは間違いない。第2試合は1回戦屈指の好カード、明徳義塾と龍谷大平安が激突する。

明徳・山本(左)と平安・市岡、両主将は健闘を誓い合ってがっちり握手を交わす
明徳・山本(左)と平安・市岡、両主将は健闘を誓い合ってがっちり握手を交わす

両者の甲子園での対戦は03年夏の2回戦(平安2-1明徳)以来。平安の原田英彦監督(55)は、「(調整中の)沖縄で、明徳の馬淵さん(史郎監督=60)に会ったんですよ。『こんなところで会ったら当たるんちゃうか』って言われたんですが、本当になってしまいましたね」と苦笑い。鍵を握る左腕の市岡奏馬(3年=主将)については、「課題の制球は良くなっていると思いますが、精神面ではまだまだ浮き沈みがあります」とさらなる成長を願う。野手レベルは互角で、両校エースの出来がポイント。八戸学院光星(青森)と開星(島根)は投手力の勝負か。光星の桜井一樹(3年)と開星・吉川貴大(3年)はともに安定感がある。競り合って、勝負どころでの守備力が勝敗を分けるか。

東邦ー関東一の対決 ~3日目

3日目は、春夏通じて初の甲子園となる明石商(兵庫)が、日南学園(宮崎)に挑む。

明石商の吉高は秋季公式戦0.91の防御率を誇る。初陣を飾れるか
明石商の吉高は秋季公式戦0.91の防御率を誇る。初陣を飾れるか

明石商のエース・吉高壮(3年)は、速球とスプリットのコンビネーションで、狙って三振を奪える本格派。秋は四球から窮地を招くことが多く、打線は残塁が目立った。チームとして試合運びが課題だ。日南は160センチの左腕・森山弦暉(3年=主将)が変化球を低めに集めて、連打を許さない。日南は試合運びがうまいので、明石商は立ち上がりから主導権を握りたい。東邦と関東一も大型チーム同士で熱戦になりそう。東邦は、1年夏から甲子園で投げる藤嶋健人(3年=主将)が打者としても今大会随一。関東一は、昨夏同様、複数投手による継投策で、交代機と調子の見極めが試合展開を左右する。ある程度の失点を覚悟しないといけない関東一は、打撃戦に持ち込めれば面白い。札幌第一(北海道)と木更津総合(千葉)も投手の出来にウエイトがかかる。札幌一の上出拓真(3年=主将)は183センチの大型右腕。神宮大会で関東一を破って自信をつけた。木更津は甲子園おなじみの左腕・早川隆久(3年)が速球に磨きをかけ、上位を狙える戦力だ。上出が、犠打と機動力を絡めた木更津の攻撃をしのげるか。

名門・土佐が大阪桐蔭に挑む ~4日目

4日目の第1試合に優勝候補一番手の大阪桐蔭が登場し、名門・土佐(高知)の挑戦を受ける。

握手を交わす土佐の吉川主将(左)と大阪桐蔭の吉澤主将。土佐は今回も優勝候補が相手
握手を交わす土佐の吉川主将(左)と大阪桐蔭の吉澤主将。土佐は今回も優勝候補が相手

抽選会前日のキャプテントークでも、10校の主将が桐蔭を優勝候補に挙げた。西谷浩一監督(46)は、「冬は個々のレベルアップに費やしました。チーム、組織としてはこれからです」と控えめだが、秋の段階から、甲子園経験者を並べる上位打線は多彩な攻撃を披露した。150キロ左腕の高山優希(3年)は、秋に制球を乱す場面もあったが、大黒柱としての信頼度は増している。土佐の西内一人監督(50)は、「尾崎(玄唱=2年)がビビらずに投げられるかですが、彼の長所は度胸の良さなので、やってくれると思います」と強豪相手に好投を期待する。市和歌山と南陽工(山口)は市和歌山の投手力に注目。赤羽陸、左腕・栗栖(くるす)拓巳(ともに3年)の2枚看板は強力で、秋のチーム打率が.281の南陽工は先手を取りたい。第3試合の秀岳館と花咲徳栄は、秀岳館の強力打線と、今大会屈指の徳栄の左腕・高橋昂也(3年)のハイレベルな対決が見られる。社会人野球監督や解説者としても知られる秀岳館・鍛冶舎巧監督(64)は、「高橋君は、(夏の甲子園と比べると)秋はそんなによくなかったけど、仕上げてくるでしょう」と警戒を緩めない。秀岳館は、故障で新チームのスタートに出遅れたエース・有村大誠(3年)がどこまで復調しているかも気がかりではある。

高松商、長田が登場、気比はラストに ~5、6日目

5日目は、強打の東海大甲府と、速球派右腕の高田萌生(ほうせい=3年)擁する創志学園が対戦。高田は、速球だけでなく、キレのいい変化球が冴えれば打ち崩すのは困難。ただ、秋は調子の波に左右されることが多く、四球から崩れることも。甲府は畳み掛ける攻撃ができるため、走者をためることだけは避けたい。甲府は、夏の甲子園で投げた菊地大輝、松葉行人(ともに3年)の右腕2枚が健在で心強いが、夏に主戦だった菊地が調子を落としているのは不安材料だ。神宮覇者の名門・高松商(香川)は、春初出場のいなべ総合(三重)と。「神宮で大阪桐蔭に勝って自信にはなりましたが、秋のことは忘れたい」と高松商の米麦(よねばく)圭造主将(3年)は、新たなスタートを意識している。いなべは秋に失点が多かった投手陣が踏ん張って、高松商の強打線を抑えたい。海星(長崎)と長田(兵庫)は興味深い。

長田の三宅主将は、抽選前日の主将トークでも、防災教育を進めていると発言した
長田の三宅主将は、抽選前日の主将トークでも、防災教育を進めていると発言した

長田のエース・園田涼輔(3年)は、投球回を大きく上回る三振を奪っていて、投手としての力量は21世紀枠校とは思えない。兵庫ナンバーワンの呼び声もあるほどだ。チーム力は海星に分があるが、地元の大声援は不利でもあり、平常心で戦えるかどうか。試合のポイントは長田の守備だ。そして、6日目第1試合にようやく敦賀気比(福井)が登場。青森山田と対戦する。気比は、大型右腕の山崎颯一郎(3年)に連覇の期待がかかる。ただ、安定感は前エースの平沼翔太(現日本ハム)に及ばない。本人も「平沼さんのように、『誰が見てもエース』と言われるようにならないと」と自覚は十分。山田の堀岡隼人(3年)も大型右腕で、気比打線も油断できない。

強豪分散、終盤に激戦か

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今大会の4強は、大阪桐蔭、常総学院、東邦、敦賀気比とみる。その4校がきれいにバラけた。ただ、どのゾーンにも強敵が待ち受ける。まず、最初の常総が入ったゾーンでは智弁の村上が難敵だ。滋賀学園の打線は今大会でもトップクラスで、秋の近畿大会のように波に乗れば怖い存在になる。東邦のゾーンも激戦で、明徳と平安の勝者が不気味。明石商の吉高も勝ち抜く力はある。大阪桐蔭のゾーンは、関東優勝の木更津総合、秀岳館、花咲徳栄などがいて苦戦を強いられそう。気比のゾーンも神宮王者の高松商、東海大甲府、創志など、力のあるチームが揃った。有力校が実力通り勝ち進めば、準々決勝以降でのハイレベルな激戦が期待できるいい組み合わせになった。全体的に投手レベルが高く、その中で攻守にバランスのいいチームが勝ち進むだろう。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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