10年ぶりに平年値更新 九州では何が変わる?

イメージ画像(写真:GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート)

天気予報で「平年より気温が高い」「平年より梅雨入りが早い」など、平年値と比べた天気の表現を耳にすることも多いかと思います。

平年値とは、その時々の気象(気温、降水量、日照時間等)や天候(冷夏、暖冬、少雨、多雨等)を評価する基準として利用され、その地点の気候を表す値としても用いられます。分かりやすく言うと、天気を見る際の物差しのようなものです。

この平年値が、今日5月19日に10年ぶりに更新されます。新しくなった平年値にはどのような特徴があるのでしょうか。九州各県のデータも含めてお伝えします。

新平年値 直近10年のデータを反映

平年値とは(熊澤里枝予報士の図をもとに筆者作成)
平年値とは(熊澤里枝予報士の図をもとに筆者作成)

平年値は、気温や降水量、さくらの開花日、梅雨入り・梅雨明けなど様々な現象を評価する際に使われて、過去30年間のデータを平均したものです。昨日までは1981年~2010年までの平均値が使われていました。

一方、今日から運用される新しい平年値は、1991~2020年の平均値です。これまで反映されていなかった直近10年の観測値が反映されることになります。

新しい平年値の特徴は、①気温が高くなること②降水量が多くなること③降雪量が少なくなることです。背景には、地球温暖化による長期的な昇温傾向や自然変動の影響、都市化などが関係していると考えられます。

梅雨時は雨多く 夏は暑い

九州の雨量の変化(気象庁のデータをもとに筆者作成)
九州の雨量の変化(気象庁のデータをもとに筆者作成)

具体的に九州各県のデータで見ていきましょう。まず降水量の増加について、梅雨時(6~7月)のデータをもとに比較していきます。

長崎ではほぼ変化がないものの、他の地域は新平年値で降水量の増加が見られ、特に九州南部で150ミリ前後降水量が増える結果となりました。新しく計算に含まれた2011年以降は、災害をもたらすような豪雨が多く発生しています。

例えば、2011年6月は停滞する梅雨前線の影響で、宮崎や鹿児島、熊本の多い所で総降水量が1000ミリを超え、6月の月降水量平年値の2倍を超える雨が降りました。翌年2012年には「平成24年7月九州北部豪雨」が発生し、多い所では期間総雨量が800ミリを超えています。その後も、「平成29年7月九州北部豪雨」や「西日本豪雨」など、毎年のように大規模な豪雨災害が発生しました。こうした近年の雨の降り方が、新平年値のデータにも表れたのではないでしょうか。

九州の夏日・猛暑日日数の変化(気象庁のデータをもとに筆者作成)
九州の夏日・猛暑日日数の変化(気象庁のデータをもとに筆者作成)

また、夏は暑い日が増えています。最高気温が25度以上の夏日はそれぞれ4日前後増加し、最高気温が35度以上の猛暑日も2日前後増えました。今後は極端な暑さにも注意が必要でしょう。

気温の上昇は生物季節観測の平年値にも影響します。さくらの開花日は、全国的に平年より早まる傾向にあり、九州では福岡・長崎・熊本・宮崎でそれぞれ1日早くなりました。

次に平年値が更新される2031年は、さらに気温が上がり、雨の量も増えているかも知れません。平年値の更新は、天候の変化に今一度目を向けるきっかけとなりそうです。