現代版「壁に耳あり、障子に目あり」、ショルダーハックの脅威

ショルダーハック(写真:アフロ)

秋田大の50代の副理事兼課長の男性が勤務時間中にアダルトサイトを閲覧したとして、3月に訓告処分を受けていたことが分かった。閲覧しているところを学生(当時)が撮影し、ツイッターに投稿したため発覚した。

出典:秋田大課長が勤務中にアダルトサイト 「秋田大はクソ」学生の画像投稿で発覚 【SankeiBiz】

もちろん、この事務職員の勤務態度に大きな問題があり、それを理由に処分されるのは当然ですが、いついかなる時にでも覗き見られるだけでなく、写真や映像として記録され、それも公開されてしまうということを意識しなければなりません。公開した学生は、大学内での事務職員の許されない行為として義憤にかられ、正義感から投稿したかもしれません。しかし、この学生の行為も一概に褒められたものではありません。事務職員の了解を得ずに撮影した行為は盗撮に相当し、公開した行為はプライバシーの侵害や名誉毀損にもなり得るのです。

一瞬の義憤に駆られ、正義感から、そして自分が正しいことを強く主張したいがために写真等に記録して、ツイッター等で公開することがあります。たとえば通勤通学途上の電車内で足を広げて座っていたり、座席を荷物等で占有したりしている人を写し、批判する人がいます。しかし、結果的に批判されるのは、写真を公開した本人なのです。ツイッター等でのアカウント(名前)が匿名であったとしても大概の場合、特定されてしまい、いわゆる炎上という状態になります。炎上とは、ある投稿記事がきっかけとなって、その関係した人がネットで批判され、その批判だけでなく、真偽は別にして、関係者へのありとあらゆる誹謗中傷が多数投稿される現象です。今ではほとんどの人が常にカメラを持ち歩いている状態であり、さらにSNS等で簡単に投稿できる状態になっています。我に返って考える間も無く、一瞬で撮影、投稿できてしまうのです。常日頃、写真を撮影し、そしてSNS等で投稿している人は十分注意しなければなりません。一瞬の義憤が冷静さを失い、炎上に至ることになるのです。

そしてこの事務職員のようにいつ秘密が暴かれるかわかりません。正確には、いつ誰が見ているか常に気をつけなければならないということです。すぐに写真に撮られてしまうことを十分想定しなければなりません。たとえばパソコンやスマートフォン(スマホ)の画面を覗き見られるだけではありません。パソコンやスマホには履歴というものが必ず残り、それを見れば何を見ていたのかがわかってしまいます。常に自身が持ち歩くスマホであったとしても、少し目を離した隙に、履歴を見られることは十分にありえます。心配な方は履歴を残さないようにすることが必要です。

さらに気をつけなければならないことは「ショルダーハック」という方法です。それはその言葉が表すとおり、肩越しにパソコンやスマホの画面を覗くことです。電車等で映像や記事を見たり、SNSでメッセージを書いたりする人も少なくありません。スマホをいじっている人は自分の世界に入り込んでいる人がほとんどであり、他人の目を気にすることはありません。さらに、窓を背にして座っているからといって安心できません。夜などはスマホの画面が窓に映って、目の前の人に筒抜けとなっていることもあります。

本記事は、ZAQ連載の拙稿:森井教授のインターネットセキュリティ講座「第80回 壁に耳あり、障子に目あり」を加筆、修正したものである。