台風への対応は沖縄に学べ

上陸時の台風21号(画像提供:ウェザーマップ)

筆者撮影
筆者撮影

沖縄の民宿でのこと。サッシを閉めようとしたら、鍵が二重になっている。そんなに治安が悪そうにも思えないので、理由を尋ねてみると、台風対策とのこと。鍵がひとつだと、台風の暴風でサッシがはずれてしまうのだとか。ひどいときには、見た目にもガラスがたわむのがわかることもあるらしい。勢力が強い台風が襲来する沖縄ならではの仕様だ。

また、家の周りには風で飛ぶような物を置かないのも常識。中途半端な雨戸や鎧戸は、かえって飛散してしまうので危ない。自家を飛散物から守ることも大事だが、そもそも物を飛ばさないようにすることを重視しているのだとか。

筆者撮影
筆者撮影

沖縄の伝統的な家屋、かーらやー(瓦家)にも、台風に耐えるための工夫が見られる。赤瓦の屋根は漆喰で固められて、瓦が飛ばないようになっているし、家の周囲には軒の高さまで積み上げられた、サンゴでできた石垣をめぐらして、台風の強い風が屋根の上を吹き抜けるようになっている。防風林としてフクギも植えられている。

都市部では、コンウリート製の住宅、すらぶやー(スラブ家)も多くなっている。窓には格子がはめられていて、窓ガラスを飛散物から防いでいることが多い。

そして、沖縄の台風に対する防災意識の高さをうかがわせるのが台風襲来時の対応だ。暴風警報が発表されると、誰も出かけない。学校はもちろん、スーパーマーケットも病院も休み。社会生活が全部ストップする。橋はバリケードで通行止めになり、渡ることができなくなる。

最大瞬間風速が50m/sを超えるような暴風が吹き荒れた台風21号。同程度の台風が襲来しても、沖縄では、車がひっくり返るようなことはあっても、あまり目立った被害、特に人的被害はあまり聞かない。これは、慣れの問題というよりも、「暴風警報が出たら誰も出かけない」という徹底した防災意識によるものだと思う。今後は、ハード面の対策もさることながら、沖縄のように、いざというときには社会生活の全面停止も受け入れられるような心構えが必要になってくるだろう。

ハリケーン・フローレンスが襲来しているアメリカでは100万人以上に避難命令が出ている。避難命令が出ても、実際は命令に従わず、避難しない人も多いらしい。ただし、その場合は、何が起きてもすべて自己責任になるそうだ。