低気圧のコースが予想以上の大雪をもたらした

関東地方の平野部では、北部で30cm、南部で15cm。2月14日夕方、雪が積もり始めた段階で発表された予想降雪量だ。昼前から夕方まで、東京の積雪は1cmで変わらず、その後積雪が増えることは予想されていたものの、前週のような記録的な大雪にはなることはないと思われていた。しかし、結果的に積雪は予想を大きく上回り、東京では1週間前と同じ27cm、神奈川県の横浜では先週を10cm以上上回る28cm、埼玉県熊谷の62cm、秩父の98cm、前橋の73cmはいずれも観測史上1位の記録、しかも過去の記録を大幅に上回る、異常積雪となった。

今回大雪をもたらした原因は、先週と同じ南岸低気圧だ。しかし、今回の低気圧は、そのコースが少々変わっていた。これが、予想以上の大雪となった原因のひとつではなかろうか。

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通常、低気圧は、西から東に進む。天気が西から変わると言われるのはそのせいだ。関東地方に大雪をもたらす南岸低気圧も例外ではない。しかし、今回の低気圧は、奄美大島の東海上で発生したあと、そのまま東へは進まず、まるで関東地方を目指すかのように、東進というより北上してきた。低気圧が北東進することは珍しくないし、大陸からの高気圧の張り出しが強いこの時期でも、南岸低気圧がここまで北上してもおかしくない。しかし、普通そういう場合は、南からの強い暖気の流入がそういうコースを辿らせることが多く、降水は雪にならず、雨になることが多い。最近では、2011年2月18日や2009年1月31日に、同じような北上する南岸低気圧で冬の大雨となっている。ところが、今回は低気圧の接近前に、非常に強い寒気に覆われていたために、雨ではなく雪になった。

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加えて、関東地方の内陸部に滞留していた冷気が低気圧によって南部まで引き込まれて、南部でも気温が低い状態が継続したために大雪になった。昨年の成人の日は、南岸低気圧が猛烈に発達したために、この滞留寒気の引き込みが強まり、予想以上の大雪となった。今回の低気圧は、低気圧が関東に向かって北上するコースを通ったために、低気圧が近づくにつれて降水量が増加すると同時に、寒気をどんどん引き込み、雪風ともに激しくなったことが考えられる。もしも、低気圧がただ東進するコースであれば、寒気の引き込みはあっても、降水量は増加せず、これほどの大雪にはならなかっただろう。この滞留寒気の引き込みも予想されていたものの、低気圧の接近による暖気の流入という相反する現象との間で、予測は困難を極めたに違いない。

ただ、夕方、冒頭の情報が発表された時点で、東京ではまだ1~2cmの積雪だったが、すでに横浜ではその数倍の10cm前後の積雪となっていた。横浜が先行するという積雪の状況を見ながら、昨年の大雪を想起した人も少なくないはずだ。すでに低気圧に近い南の方で、積雪がどんどん増えていて収まる気配がなく、その方角から同じ雪雲がやってくるということがわかっているのだから、単純な外挿法による予想であっても、都心や北部の平野部で予想を上回る雪になる可能性があることを、もっと早く警告することができたのではないだろうか。

そういった直前情報を充実させるために、積雪の観測地点をもっと増やすことはできないものだろうか。たしかに、数年に1回しかない大雪のために、税金を使って高価な積雪深計を設置するわけにはいかないと思うが、積雪は物差しひとつで測ることができる。例えば、市町村単位で積雪を定時観測して、そのデータを集約、公開するだけでも、相当効果があると思うのだが。