新型コロナ対策「ドイツに学べ」の教訓とは? 

「ウェークアップ!ぷらす」に出演したドイツ在住の医師(11日、筆者が画面撮影)

ヨーロッパで医療崩壊を免れている国がドイツ

 そう伝えたのは日本テレビ系の読売テレビ「ウェークアップ!ぷらす」(4月11日放送)だ。

 感染者数が10万人を超えたものの死者数は比較的抑え込まれているとして、次のデータを示した。

欧州の主な感染者数と死者数(米ジョンズ・ホプキンス大学調べ きょう午前0時現在

▼スペイン

感染者 15万人7022人

死者   1万5843人

▼イタリア

感染者 14万3626人

死者   1万8279人 

▼フランス

感染者 11万8790人

死者   1万2228人

▼ドイツ

感染者 11万9401人

死者     2607人   

その理由は”病院の受け入れ態勢”にある

 現地で働く日本人医師にインターネットを使ったビデオ通話で聞いている。

(ドイツ・ベルリンにあるブランデンブルク心臓センターの岡本真希医師)

「(感染患者の受け入れに)かなり余裕があると思います。

通常業務が半分以下に減っている状況なので」

 ドイツの病院では、先月前半から緊急ではない手術は延期するなど、病院全体の稼働率を下げ、集中治療室のベッドを常に空けるようにした。

 その損失分3300億円以上をドイツ政府が補償するという。

(ベルリン・ブランデンブルク心臓医療センターの岡本真希医師)

(他国では人工)呼吸器につなげることができずに亡くなる重症患者がいると聞くのですが、

ドイツの場合は最大限の治療を行った上で助からなかった人が亡くなっている

 岡本医師は、感染症専門以外の一般の医療機関の受け入れ態勢を整えることが重要だとしていていた。

 ドイツでは新型コロナ肺炎に対処する医療機関とそれ以外の一般の医療機関との棲み分けがきちんと出来ているようだ。

日本は新型コロナウイルス対策でドイツに学ぶべきではないか

 4月9日のTBS「ひるおび!」でもPCR検査を数多くやることが感染拡大を抑え込むことにつながるとして、韓国の事例を説明した後にドイツの例も出して以下のように説明した。

(恵俊彰キャスター)

「そういったことではPCR検査をやることって意味があるんだなあというのは

ドイツも多いじゃないないですか」

そう言いながら恵キャスターは以下の棒グラフのドイツのところを指さした。

世界の(PCR)検査状況(100万人あたり)

▼オーストラリア   1万2236件

▼イタリア      1万2205件

▼ドイツ        1万1127件

▼韓国           9062件

▼アメリカ        5784件

▼日本            365件 

 新型コロナウイルスの感染拡大をある程度まで抑えることができたドイツや韓国と比べて、日本では検査の数そのものが極端に少ない。

 

(恵俊彰キャスター)

「ドイツの場合、亡くなっている人の数で考えていこうと想うんですが、

これが本当に特徴がありまして」

 と別のフリップを出した。

▼日本(4月8日時点)

患者数 4844人

死者  116人

▼ドイツ(4月9日午前10時時点)

患者数 11万3296人

死者    2349人

▼イタリア

患者数 13万9422人

死者   1万7669人

 フリップの下には致死率が記されてあった。

▼日本

致死率   約2.3%

▼ドイツ

致死率   約2.0%

▼イタリア  

致死率  約12.6%

(恵キャスター)

「致死率で見ていくと日本は2.3%。

1万人を超えている感染者がいるにもかかわらず

致死率で見るとドイツは日本よりも低い。

イタリアは大変なことになっています」

 これを人口あたりのベッド数(病床数)で見ていくと日本はいま医療崩壊が起きているイタリアよりも心もとない。

 ドイツがベッドが多く備えが一番多いことがわかる。

人口10万人あたりのICU集中治療室のベッド数

▼日本

約5床

▼ドイツ

約30床

▼イタリア

約12床

日本でもドイツの医療態勢を見習っていかないと、医療崩壊が起きて大変なことになってしまうという警鐘が鳴らされている。

ドイツに見習うべきは医療態勢だけでなく所得補償もだ

 そういう報道も少しずつ出始めている。日本でもすでに政府が緊急事態宣言を出した後で東京都が娯楽施設や飲食店などに休業協力要請などを出しているがその際の補償については政府が否定的なことや都が支払うを約束したケースも金額が少ないことや手元に入るまで時間がかかることなどが批判されている。

 テレビ東京の「ワールドビジネスサテライト」では4月9日、ドイツやイギリス、フランスなどヨーロッパの国々で「休業」と「補償」がセットになっている現状が現地取材の映像を報道した。

 以下はドイツの例である。

(ナレーション)

「そしてドイツでは個人事業主やフリーランスの人にも素早い対応」

(ドイツ在住・米田健太郎さん)

「すごくびっくりしました。

2日くらいで振り込まれました

(ナレーション)

「ベルリンでダンススクールを運営する米田さんは申請からわずか2日で60万円ほどの緊急助成金を受け取ることができました。

ドイツ政府は飲食店に限らず、従業員5人までの企業や個人事業主に対し、最大106万円程度を緊急で援助します。

この補償金で(米田さんも)当面はしのげると言います」

(ドイツ在住・米田健太郎さん)

「家賃さえ払えればなんとかやっていけるかなあというところです」

 番組ではインターネットを使ったビデオ通話で米田さんにインタビューしている。

 ドイツでは所得補償が迅速に行われていることで個人事業主や非正規雇用で働く人などに不安がそれほど広がっていないという実態を他の番組も報道している。

 このため思い切った営業停止などの政策を打ち出しても店など個人事業主側への経済的な打撃は抑えられているという。

アーティストへの支援にも見習う点がある

 いま日本ではライブハウスやコンサート会場、小劇場、特徴がある小さな映画館などの休業などで文化の拠点だった場所が存亡の危機に追い込まれている。あるいは上演の機会を失ってしまった劇団やミュージシャン、それらのイベントを支えてきた音響マンや照明さんなど、文化活動にかかわった人たちが仕事を失いつつある。そうした実態をテレビのニュース番組や新聞などが報じているが、4月11日のTBS「報道特集」はドイツ政府が新型コロナウイルスで活動できないアーティスト、映画館、出版社、新聞社など、幅広く文化を対象にして500億ユーロ(約6兆円)という大規模な支援が行われていると報じた。

 ドイツの支援の大きさにくわえてドイツの文化大臣の言葉に感銘を受けたという坂本龍一のインタビューを紹介していた。

(坂本龍一)

「アーティストは我々の生命維持に必要不可欠な存在だ、とドイツの文化大臣が言っている。

ドイツ、あるいはヨーロッパにおける文化の位置と日本における文化の存在の違いがはっきり出た」

 日本でも緊急事態宣言が発令されて、東京都知事などが映画館や映画館、ライブハウス、博物館、美術館、生活必需サービス以外の商業施設など業種を選んで「休業要請」が行われている。

 今後、休業補償をどのように進めていくかや医療崩壊を起こさずに感染拡大を抑えこみ、死者を増やさないようにするためには、ドイツ方式をもっと研究する必要があると思う。

 残念なことに2000年頃を境に日本の新聞社やテレビ局、通信社などはドイツの支局を次第に減らしたり、閉鎖したりして、かつては現地に派遣していた特派員がいまや存在しなくなってしまったメディアは少なくない。このため、新型コロナウイルス対策についてドイツの現状を深く報道してほしいものの日本のメディアでの絶対的な報道の量はかなり少ないのが現状だ。

 「ウェークアップ!ぷらす」や「ワールドビジネスサテライト」が行ったように現地で活躍する医師や個人事業主などにネットのビデオ通話をつないで話してもらう形でもいいので、現地ドイツでの新型コロナ対策についてもっとくわしく伝えてほしい。 

 新型コロナウイルスの感染者が全国的に増え続ける日本のいま。

 ドイツに学ぶべきことはたくさんある。