「呪われたオリンピック」という麻生副総理の言葉 ニュース番組はどう伝えたのか

NHK「ニュースウォッチ9」(3月18日放送)での麻生副総理*画面を筆者撮影

3月18日(木)NHK「ニュースウォッチ9」

 新型コロナウィルス感染拡大を受けてIOCが臨時理事会で東京五輪・パラリンピックを“開催は予定どおり”としたのことに対して、IOC の一部委員や選手から疑問の声が上がっていることを伝えた。

(IOC委員のヘイリー・ウィッケンハイザー氏のツイッター=女子アイスホッケーなどカナダ代表として五輪出場)

「今回の危機はオリンピックよりも大きい。IOCが開催に向けて進もうとしていることは人間性の観点から無神経で無責任だ」

(リオデジャネイロ大会の陸上女子棒高跳び金メダリストのギリシアのエカテリニ・ステファニディ選手のツイッター)

「IOCは大会に向けて練習しなければならない私たちや家族、公衆の健康を脅かしたいのか。

あなたたちはまさに今、私たちを危険にさらしている」

 この後で番組は参議院財政金融員会で麻生副総理兼財務大臣は次のように発言したことを伝えている。

(麻生副総理)

「札幌で冬季五輪が開かれることになったのが1940年。それがパーになったんですな。

そしてその次、いつなったか。

(1980年の)モスクワ五輪ですね。あれ半分吹っ飛んだ。

それで今回40年経つと今年です。」

 この後の麻生副総理の言葉は耳を疑うものだった。

「『呪われたオリンピック』

ってね、マスコミの好きそうな言葉でしょう、これ・・・。

だけど現実はそうですよ。」

 このVTRをスタジオで受けたキャスターたちも麻生氏の口から飛び出したコメントに一瞬言葉を失ったような半ば呆れたような表情を浮かべた。

(有馬嘉男キャスター)

「いや、まったくわかんないですね。麻生さんの真意は一体どういうことなのでしょうか」

(桑子真帆キャスター)

「呪われたオリンピックにはしたくないですよね」

 他のニュース番組はどう伝えたのか。

テレビ朝日「報道ステーション」

 参議院の財政金融委員会で国民民主党の古賀之士参院議員が「オリンピックの選手も経験されたお立場も含めてオリンピックの開催についてどのような所見をお持ちでしょうか?」と尋ねたところから映像を放送した。

(麻生副総理)

「1940年、僕が生まれた年ですよ。この時はオリンピックがあるはずだったのよ。

それが(日中戦争で)パーになったんですな。

そして、その次いつなったかといえば、いつです? モスクワ・オリンピックですよね?

あれ半分吹っ飛んだ。

それで今回40年足すと今年です。

“呪われたオリンピック”って」

 「報道ステーション」は主に北海道やヨーロッパ諸国の対応を伝えたため、麻生副総理の発言について特にキャスターたちがコメントすることはなかった。

TBS「NEWS23」

 麻生発言の映像やコメントはなし。

日本テレビ「news.zero」

 麻生発言の映像やコメントはなし。

フジテレビ「FNN Live News α」

 麻生発言の映像やコメントはなし。

テレビ東京「ワールド・ビジネス・サテライト」

 麻生発言の映像やコメントはなし。

 もちろん、それぞれの番組で「伝えるべきだという項目」に時間を割いて伝えるのがテレビのニュース番組なので、それぞれの番組のスタンスというものがある。どの番組の放送の仕方が「正解」であるというつもりはない。

 麻生発言をいっさい報じなかったTBS「NEWS23」は、財務省の文書改ざん問題で自殺した職員の遺族が国を提訴した事件について、この日報道陣に公開された遺書の内容をくわしく伝えていた。それはそれで一つの見識だと思う。

 だが、開催するのかどうかが国民的な話題になっていて、参加する選手たちも含めて固唾を呑んで見守っているときに「呪われたオリンピック」という不用意な発言をしてしまう副総理が、今世界経済や日本経済がかつてない危機に瀕しているタイミングで日本の経済政策のかじ取りを任された最高責任者なのである。この事実を私たちは冷静に見つめる必要があるだろう。