「女性天皇・女系天皇」をテレビはどう報じたのか【テレ朝「報ステ」”もう遅すぎる!”】

5月1日 テレビ朝日「報道ステーション」から

5月1日 テレビ朝日「報道ステーション」の冒頭
5月1日 テレビ朝日「報道ステーション」の冒頭

(菅義偉官房長官・5月1日) 

「女性皇族の婚姻等による皇族の減少等は皇族方のご年齢かた先延ばしにできない重要な課題であると認識している。」

5月1日 テレビ朝日「報道ステーション」
5月1日 テレビ朝日「報道ステーション」

 

 5月1日、新しい天皇の即位を受けて、菅義偉官房長官は安定的な皇位継承について今年の秋以降、検討を本格化させる考えを示した。

 これに対して、テレビ朝日「報道ステーション」は強い危機感をにじませて、「このままでは「天皇の血筋が)途絶えてしまう懸念がある」と迅速な対応を促す報道をした。各テレビ局の中でも、この問題についての危機感をいちばん滲ませる形で報道している。

 天皇陛下の即位に関する一連のニュースの後半、番組では富川悠太キャスターが皇族のうち皇位継承資格者の顔写真と血縁図を示した上で解説した。「報ステ」の特長はVTRの後でのスタジオトークに他の番組以上に時間をとっていることだ。

 どんなやりとりがあったのか、再現したい。

女性天皇・女系天皇については?

(富川悠太キャスター)

「そもそも皇位継承できるのは、男系男子。つまり父方が天皇の血筋をひく男性に限られている。今、こうして見ると、皇嗣・秋篠宮さまとそのご長男の悠仁さま、それに常陸宮さま(上皇さまの弟)の3人しかいない。

 

==このまま行くと(血筋が)途絶えてしまうのではないかという懸念がある。

 そこで議論されてきたのが「女性天皇」と「女系天皇」なんです。==

 女性天皇が認められれば、愛子さま、眞子さま、佳子さまらも天皇に即位することができるようになります。そして、女系天皇が認められるとはどういうことかというと、母方が天皇の血筋をひく子ども。これが男性でも女性でも天皇に即位すれば認められる。その子は女系の天皇になる。女系天皇も女性天皇も今の皇室典範では認められていないということですね。」

(徳永有美キャスター)

「女性天皇については前々からいろいろな考え方がありますね」

(富川キャスター)

「確かに過去にも女性天皇はいましたし、推古天皇や持統天皇が有名ですけど、そういった女性天皇や女系天皇をどうするかといった議論はずっと進んできてはいるんですね。進んできてはいるけど、河西さん、そういった議論が止まってしまっているような感覚を覚えてしまうんですねど・・・。

(ゲストの河西秀哉・名古屋大学大学院准教授=歴史学者 象徴天皇制を研究)

「そうですね。反対する人たちがいるということですね。それはつまり、男系・・・天皇の血を男性から継いでいるという男系が伝統であって、海外にはないものであって日本の根幹であると考えている人たちがいる。」

(富川キャスター)

「日本独自だから、そのまま続けていった方がいんんじゃないかという指摘ですか?」

(河西准教授)

「そういうことですね。そういう考え方があると。なおかつ、女性天皇を認めるとけっきょく女系天皇につながってしまう。つまり今言ったような伝統的な男系でずっとつないでいるのだから、女性天皇を1回、認めてしまえば、女系にけっきょくなってしまうのではないかと心配する人がいる。」

(富川キャスター)

「もし愛子さまが天皇に即位されたら、女性天皇ということになるわけですね?」

(河西准教授) 

「男系女子ですね」

(富川キャスター)

「(愛子さまに)お子さまができた時には「女系」ということに?」

5月1日 テレビ朝日「報道ステーション」に出演する河西秀哉名古屋大学大学院准教授
5月1日 テレビ朝日「報道ステーション」に出演する河西秀哉名古屋大学大学院准教授

(河西准教授)

「そうですね。その子は男性であっても、女性であっても、女系ということになってしまう。そうなると、これまでの皇室とは違うものになってしまうということで(反対する人は)反論するということですね」

(徳永キャスター)

「後藤さん、安倍政権、秋から本格的に検討を進めるということですが、どういうことになっていきそうですか?」

(後藤謙次・共同通信 客員論説委員・白鳳大学特任教授)

「私はもう遅すぎると思いますね。

これは実は2005年の小泉内閣の時代に皇室典範にい関する有識者会議というのができまして、そこで明確に回答を出しているんですね。

『女性天皇を認めます』『女系天皇も認めます』と。男女にかかわりなく、最初に生まれた第一子が皇位を継承すると。第一順位だというのが決まっているわけです。

 ところがその後に悠仁さまがお生まれになって、急速にその空気はしぼんでしまう。

 そこにまた安倍総理大臣が誕生する。男系男子の天皇制に対する強い気持ちをもっている安倍さんが就任する。・・・ということで、

もう14年間、このまま店ざらしにいなっている状況が続いている

わけです。

 でも、政府の公式な見解ですから、それから作動すれば十分可能なわけです。

 私は2013年にイギリスの王室典範が改正されて、男女にかかわりなく、第一子が王位継承第1位だということになった。そのことを踏まえて、安倍総理にそれを直接、聞いたことはあるんです。『日本はどうされるんですか?』と。そしたら非常に強い貴重で否定されました。

 ところが安倍総理は男系男子(の制度)を守るというお考えを示しているんですが、『ではどうやって守りますか?』という具体的なお話はこれまで一度もされたことがないわけです。ですから今回の特例法ができて、付帯決議ができている。

 で、大島衆議院議長も『早く議論してくださいよ』と、この4月にも督促をしているんですね。

 ですから、政治はとりかからなければ・・・。

 天皇陛下の側からこれについてとやかく言うことは憲法上できないわけですから。

 

政治の責任というのは非常に大きくて、時間を、スピードを上げていかなければいけない。

5月1日 テレビ朝日「報道ステーション」に出演する後藤謙次・共同通信客員論説委員
5月1日 テレビ朝日「報道ステーション」に出演する後藤謙次・共同通信客員論説委員

 この表(皇族の構成)を見ていただければわかりますし、きょうの『剣璽等継承の儀』。あそこに立ち合われた皇族、お二方でしたよね? 成人男性は皇嗣・秋篠宮さまと常陸宮さま。あの映像が表した、憲法第1条が危機にあるのだと、たぶん国民のみなさんも感じたと思うんですね。ぜひ、政治がスピードアップしてもらいたいと思います。」

(富川キャスター)

「まさに今の状況だと、このままだと(天皇の血筋が)途絶えてしまう懸念がありますが、今まさに議論しないと・・・、河西さん」

(河西准教授)

「このままでいくと、残るのは一人(悠仁さま)になってしまう。

そうすると、悠仁親王の結婚相手というのは、この後、過重な負担、つまり、

公務を行いながら、男子も産まなきゃいけないという負担、過重な負担をかけてしまいます。」

(徳永キャスター)

「それはとても大変なことですね。その人に対する非常に、かなりの負担になってしまう」

5月1日 テレビ朝日「報道ステーション」に出演する河西秀哉名古屋大学大学院准教授
5月1日 テレビ朝日「報道ステーション」に出演する河西秀哉名古屋大学大学院准教授

(河西准教授)

「もうひとつ言うと、私は(前の天皇陛下=現上皇さまの)2016年の、あの退位をにじませたビデオメッセージですね。

 あの時に実は、

『象徴天皇の務めが常に途切れることなく、安定的に続くことをひとえに念じ』

とおっしゃっていたと思う。

 あれは実はこういうことを想定して、たぶん、ああいうメッセージを出されたのだと思う。

 私たち、実はあのメッセージの後で『退位』の問題については話しましたが、『皇位の安定的継承』については基本的に議論しなかった。そのままにしておいたんですね。それをふまえて、私たち自身がどういうふうに考えるのか。もう少しちゃんとやっていかないとこれからいけないと思いますね。」

 象徴天皇と政治との向き合い方、憲法第1条とのかねあい、前の天皇陛下の心情など、様々なことを想像し、理解できるような骨太で多角的な報道だったと評価できる。