早くもハマる人が続出! 『あまちゃん』と『まれ』11の共通点

『ごちそうさん』も良かったし、『花子とアン』もまずまず。先日終わった『マッサン』も、何度か泣かされた。 

『あまちゃん』以来、朝ドラは完全に自分の生活の一部になってしまった。

 

『ごちそうさん』『マッサン』も、戦争の残酷なリアリティを出していて心を揺さぶられる回が何度かあったが、それでも『あまちゃん』で薬師丸ひろ子が歌う「潮騒のメモリー」のシーンほどの感激には残念ながらほど遠かった。

 その時のことは熱にうかされたように、しつこいほど記事を書いた。

 

「あまちゃん」は史上最高の朝ドラ!? なんてったって「テレビ的」なのだ

出典:ヤフーニュース個人

 誰しも自分の「ベスト朝ドラ」があると思うが、今でも『あまちゃん』は私の「ベスト朝ドラ」である。

 さて、新番組としてスタートしたばかりの朝ドラ『まれ』である。

 放送はまだ3回見た段階だが、意外に良い感じで面白い。

 で、その理由を週刊誌のライターに尋ねられて考えていたら、『あまちゃん』と共通点が多い、という点がいくつも浮かび上がった。

ぱっと思いついただけで共通点は11もある。

 これは『あまちゃん』と同じ”勝利の方程式”なのかもしれない。

 

●『あまちゃん』と『まれ』の共通点(1)

オープニングタイトルでヒロインが走る!

どちらもオープニングタイトルを見ていて飽きない。

勢いがある。若さがある。すがすがしさがある。なぜだろうと考えたら、どちらもオープニングタイトルでヒロインが走っている。

『あまちゃん』のオープニングでは、ヒロイン天野アキ役の能年玲奈が防波堤を走った!

『まれ』のオープニングでは、ヒロイン津村希(まれ)役の土屋太鳳(たお)が能登の村を走っている!

 なぜ「走る」映像は人を惹き付けるのだろう?

 考え出すと不思議だが、とにかく若い女性が走っている映像というのは見ているだけで元気をもらえる。

『あまちゃん』では、大震災で破壊された北三陸鉄道が復旧を果たしたシーンで、車両とともに近隣の住民たちが手を振りながら走っていた場面が思い出される。 

 走っている場面は感動をもたらす。 

 それが最初の共通点である。

●『あまちゃん』と『まれ』の共通点(2)

ヒロイン役の女優が若い!

『あまちゃん』が始まった時、ヒロイン役の能年玲奈は19歳だった。

『まれ』の土屋太鳳は20歳。

『ごちそうさん』の杏が当時27歳、『花子とアン』の時の吉高由里子が当時25歳、『マッサン』のシャーロット・ケイト・フォックスが29歳。

 それと比べてもかなり若い。

 若いというだけで画面上のフェロモンが強まっていくのがテレビというメディアの特徴だ。

 瞳は輝き、肌も表情も生き生きしてくる。そうしたオーラがあちこちに出てしまう。どちらの番組も若さがみなぎっているし、それを武器にした作りをしてもいる。

●『あまちゃん』と『まれ』の共通点(3)

脇の配役がシブい!

 『あまちゃん』では、親友役に橋本愛、「夏ばっぱ」を演じた宮本信子のほか、アキの母親役の小泉今日子。アキが付き人をした女優役の薬師丸ひろ子、海女軍団の役で、渡辺えりや片桐はいり。アイドルグループのプロデューサー役で古田新太。父親役で尾美としのり。その他に恋人役の福士蒼太、マネージャー役の松田龍平、祖父役に蟹江敬三など、豪華なキャストが脇を固めた。

『まれ』でも、ヒロインの父親役に大泉洋、母親役に常磐貴子、祖母のような役に田中裕子、祖父のような塩田職人役に舞踏家の田中泯、ユーモラスな隣人にガッツ石松、塚地武雅、板尾創路、篠井英介、ヒロインの同級生に門脇麦と今、見たいと思わせる役者たちが顔をそろえる。

これからきっと味を出してくることだろう。

 連続テレビ小説は初めての出演となる田中泯は、ヒロイン一家が借金で自己破産してやってきた能登半島の村で、塩田で塩を作る職人を演じる。桶に入れた海水を塩田にぱーっとまく仕草の時に着物から太ももが見えた。それがまるで本物の塩田を守っている人のように鍛えられた筋肉で美しかった。

 そんな小さなリアリティを備えたキャスト陣だ。

●『あまちゃん』と『まれ』の共通点(4)

笑いポイント多数。基本はコメディ!

 そのキャスト陣で鍵を握るのが、夢を追いかけては失敗してばかりのダメな父親を演じる大泉洋だ。

 彼が出てくるだけでコメディになってしまうが、大量の荷物を抱えて歩いて移動した時の疲れた表情やぼそっとつぶやいた言葉、娘の希に嫌われて呆然とする時の表情など、彼がらみで笑えるシーンが数多い。

 基本はコメディなのだが、笑いの中にある哀しみや感動、というテイストは『あまちゃん』に近い。

 ただし、『あまちゃん』の方が毎回毎回「小ネタ」は多かったけど。

●『あまちゃん』と『まれ』の共通点(5)

ダメなお父さん、強いお母さんという構図!

 この大泉洋演じる父親が途方もない夢を追いかけるダメ人間。それも一山当ててカネもうけばかり考えている。

 一方の母親役の常磐貴子は、そんなダメ夫を支える「強い母親」を演じている。

 思えば『あまちゃん』も、小泉今日子演じるアキの母親の天野春子が強い女を演じ、独立したアキの事務所の社長になって、その夫(尾美としのり)は時に浮気をしたり、妻の社長の下でずっと運転手をやっていたりとダメ夫の役だった。

●『あまちゃん』と『まれ』の共通点(6)

前半は地方、後半は首都圏、という流れ!

『あまちゃん』では、アキは岩手県北三陸市で高校に通ったり海女をやったりする「北三陸編」と、東京に出て「アイドルグループ」の研修生となって芸能界入りする「東京編」の2つに分かれていた。大震災があったため、再び北三陸へ戻る『北三陸編』が始まる。

『まれ』も『能登編』では子どもから大人になって公務員になるまでを見せるが、首都圏に移ってケーキ職人を目す後半の『横浜編』に分かれている。

●『あまちゃん』と『まれ』の共通点(7)

音楽がすこぶるいい!

『まれ』を見ていると、音楽のセンスが良いことがわかる。

『あまちゃん』では大友良英が音楽を監修していた。これが『潮騒のメロディ』をはじめとして数々の感動につながった。

『まれ』では音楽の担当は澤野弘之。

音楽にくわしいソニーミュージックの友人に言わせると、「今一番の作曲家」だという。

元気のいい主題曲も彼が作曲している。

ちなみに主題曲は歌なっているが、作詞は主人公を演じる土屋太鳳だという。

彼女はソニーミュージックの事務所に所属しているそうだ。

●『あまちゃん』と『まれ』の共通点(8)

「地方」の暮らしの美しさを大事にしている!

『あまちゃん』では、岩手での北限の海女たちによる「地域の仕事」の厳しさや美しさが描かれ、北三陸鉄道の駅長たちや市役所の職員、地元の高校教師ら地域に根付いた人々の善良さを伝えていた。

ヒロイン、天野アキは東京でアイドルとして成功していたのに、3・11で傷ついた故郷、北三陸に戻ることを決意する。

『まれ』でも3話までを見る限りでも、塩田を守る職人役の田中泯の淡々とした仕事の美しさが周到に描かれている。塚地武雅らの善良な郵便局員らが一家を見守る構図で、「地域の人間」の描き方は共通している。

●『あまちゃん』と『まれ』の共通点(9)

ナレーターのキャスティングがうまい!

『あまちゃん』は夏ばっぱを演じた宮本信子。『まれ』では、女優であり声優でもある戸田恵子。

最近の朝ドラでは、『花子とアン』での美輪明宏のナレーションが話題を呼んだ。「ごきげんよう」でのシメのバリエーションの数々が味わいを与えた。戸田恵子はどんな味わいを与えてくれるのか楽しみだ。

●『あまちゃん』と『まれ』の共通点(10)

架空の場所で実在の人物がいない現代劇!

朝の連続テレビ小説では、『花子とアン』の村岡花子や『マッサン』の竹鶴政隆とリタ夫人のようにかなり古い時代の話で実在のモデルがいることが少なくない。

 『あまちゃん』は脚本を担当した劇作家の宮藤官九郎が作り上げたまったくのオリジナルの登場人物だったが、今回の『まれ』も脚本家の

篠崎絵里子のオリジナルの人物で、どちらも現代劇だ。

また、『あまちゃん』は舞台が岩手県「北三陸市」。

『まれ』は野遠半島の石川県「外浦村」。どちらも架空のマチだ。

 架空のマチゆえの自由さがありそうだ。

『あまちゃん』と『まれ』の共通点(11)

テーマは「現代の日本」へのアンチテーゼ!

『あまちゃん』はヒロインが東京でのアイドルとしての成功を捨てて故郷と親友を選びとる物語だ。

誰もがうらやむ成功を捨てて、自分が愛する「地域」や「人」の大切さをじわりと伝えてくる。

『まれ』は第1回からヒロイン(子役の松本来夢)が「夢なんか大嫌い。地道にコツコツ」と語る。

一発当ててやろうとして安易な夢ばかり追い求める父親に反発するヒロインの姿は、現代日本に対するアンチテーゼでもある。

2話と3話では、地道に塩田を守る老職人(田中泯)に対して、一発逆転をねらう父親が塩田をブランド化して高額所得者向けにビジネスすることをもちかけて強く反発される。地域で職人として伝統を守ってきた人のプライドを土足で踏みにじるような父親の姿に希は幻滅する。

そんな1シーンにも、カネの力がすべてという今の時代の日本人への警鐘が潜んでいる。

あー、楽しみ。

 土屋太鳳はまだドラマの本編には登場せず、まだオープニングタイトルやエンドのとりきり写真でしか出てこない。

 だが、それなのに子役の松本来夢の名演もあってグイグイと引き込まれる。

 土屋太鳳が出て来るようになると、これはかなり面白くなりそう…。

 そんな感触が日増しに強くなっている。

 

『あまちゃん』と『まれ』に共通する”勝利の方程式”は最後まで持続するのだろうか。

 興味はつきない。