【映像でみせる】福島第一原発 進歩したのはピンクのマスクだけ?

事故後4年の福島第一原発の取材用のマスク(ハーフフェイス)

明らかに変わったのはマスクだけなのだろうか?

冒頭の画像は、2015年3月9日に福島第一原発の内部を取材に訪れた時の筆者の装備である。

下記の1年前(2014年)の取材時のものと見比べてほしい。

2013年3月の福島第一原発取材時の筆者
2013年3月の福島第一原発取材時の筆者

1年前は目も防護する形の全面マスク(フルフェイスのマスク)だったのに比べ、今回のマスクはハーフマスク。

色もピンクと派手になった。

目の部分はそのまま残されて(眼鏡をつけていない人はゴーグルは必要)、マスクが覆っているのは口と鼻の部分だけだ。

これは原子炉建屋などの高線量の場所に行く人間を除いて、通常の作業員たちが身につけるものと同じ装備である。

それだけこの1年間の間に福島第一原発構内の放射線量は比較的下がっている。

放射線量が下がった理由の1つは、がれきが撤去されたことがある。

高線量の廃材や木材などのがれきは専用の集積場に移されて、現在、日々7000人もの作業員たちが作業を行なう主な現場からは撤去されている。

それに加えて、地表面をコンクリートで覆った場所を増やすなどで従業員の被爆線量も1年前と比べれば向上したということができる、

映像で示した港側の護岸エリアの場所もコンクリートで覆ったことで放射線量が下がったという説明だった。

ヤフーニュース個人のオーサーたちによる福島第一原発の取材。

原発内での滞在時間は大幅に超過して昨年よりも1、5倍ほどになってしまったが、それぞれの被爆線量は昨年よりも下回った。

特に防護服や防護マスクによる暑さが厳しかった夏場の作業など、作業員にとっては働く環境を整える設備も準備を進めつつある。

作業員にとってはより環境が向上しつつあるわけだが、そうしたなかで今年1月に起きた作業員の死亡事故はどうすれば防止できたのかなどを徹底的に検証する必要がある。

さて、気になったことがある。

筆者は福島第一原発の事故が起きて初めて、原発という設備が「外部からの電気」で動く仕組みになっていたことを理解した。

1号機などの「全電源喪失」という事態も非常用電源の設置位置の問題などがあったものの、そもそも電気が来なくなってしまったのは外から電気を供給していた鉄塔が倒壊したからである。

外部からの鉄塔が耐震性が弱く、いざという時に電源喪失に陥りかねないことは、再三、国会でも追及されていたにもかかわらず、当時の経済産業省は「問題ない」とし、東京電力も改善策を取らなかった。 これは他の原発について改善はされたのだろうか。

今回も原発内を取材していて、倒れた鉄塔が目についた。

5号機、6号機用に外部からの電源を運んでいた鉄塔だという。

現在、福島第一原発では廃炉作業に向けてあちこちで大量の電気が使われている。

以下の映像で、カメラがズームインしている先は「凍土壁」を作るために冷却液を入れるためのパイプである。

冷却剤はマイナス30度ほどで循環し、汚染された地下水を土ごと凍結させるという。

1号機から2号機、3号機、4号機が建てられている陸側や海側に総延長1500メートルにわたってこのパイプを埋める工事が進んでいる。

汚染水が凍り、流出が防げるようになると、最大で家庭1万3000軒分の電力を使い続ける。

素人考えと言われるかもしれないが、この電気=外部電源が再びの大地震その他で、「喪失」という事態になる可能性はないのだろうか。

すうすると、(うまく遮蔽壁が機能したとして)いったんは止まるはずの地下の汚染水はまた流水となる。

だったらいっそのこと、

「氷」ではなく「コンクリート」や「金属」などの固体の方が安心できるのではないのか。

素人はそう考えてしまう。

素人ではあっても、電気に頼る設備はいざ電気が切れると大変なことになるということを4年前の原発事故で学んだつもりだ。

電気がなくても地下水の流出を止められるなら、その方法がベターであるし、何よりも今の状況では(仮に凍土壁に効果があったとしても)いつまで稼働することになるのかわからない。

「凍土壁」についての過去の記事を検索してみたところ、新聞もテレビもほとんどが「疑心暗鬼」なスタンスのがわかる。

これがベストの選択肢だと自信を持って断言しているメディアは身あたらない。

とにかく「やってみるしかない」から、やってみる、というスタンスなのだ。

すでに凍土壁については、すべて完全には凍らないので、一部コンクリートなどを使う、とか、はたして効果があるのか疑問視するような専門家などからの意見も出されている。

本当はこの3月に稼働を開始するはずだったが、作業員の死亡事故などで遅れている。

そういう意味では1年ぶりに福島第一原発に足を踏み入れてみて、確かな変化は全面マスクが半分のマスクで済むようになったこと。

それ以外は大丈夫なのかという不安ばかりだ。改めて、テレビでも新聞でも報道されていないことが多すぎると感じた。

なお、この記事の画像および映像は、ヤフーニュース個人オーサーによる代表撮影によるものです。