後藤健二さんの死で大学総長の田中優子さんが発した確かな”言葉”

 後藤健二さんは1991年に、法政大学社会学部を卒業しています。

 

 現在、私自身も教鞭をとっている学部です。

 彼の死をどう受け止めるべきなのでしょうか。

 事件について、子どもたちにどのように教えるべきなのでしょうか。

 私たちはいったい何ができるのでしょうか。

 悩んでいる親も、先生たちも少なくないでしょう。 

 

 日頃、若者たちを教えている立場でいうと、この事件は私たち教員にも、学生たちにも、あまりにも重い「問い」を残したと思います。

 

 NHKの柳澤秀夫キャスターが番組のなかでコメントした「言葉」に共感の輪が広がっています。

 私たちがこの事件の後で大事にすべきことは、柳澤さんのように、知的で確かな「言葉」で語ることなのだと思います

 

 

 私の社会学部の同僚でもあり、大学総長でもある田中優子さんがメッセージを発信しました。

 後藤さんへの敬意と哀悼の表明など、読む者の心に静かに響く、確かな「言葉」が綴られています。

 人それぞれにいろいろな考えはあるかもしれませんが、大人が何をすればいいのかを考えるうえで示唆に富んでいます。

多くの人たちの目に触れればと願い、一部転載します。

 いかなる理由があろうと、いかなる思想のもとであっても、また、世界中のいかなる国家であろうとも、人の命を奪うことで己を利する行為は、決して正当化されるものではありません。暴力によって言論の自由の要である報道の道を閉ざすことも、あってはならないことです。

法政大学は戦争を放棄した日本国の大学であることを、一日たりとも忘れたことはありません。「自由と進歩」の精神を掲げ、「大学の自治」と「思想信条の自由」を重んじ、民主主義と人権を尊重してきました。さらに、日本の私立大学のグローバル化を牽引する大学として、日本社会や世界の課題を解決する知性を培う場になろうとしています。その決意を新たにした本学が、真価の問われる出来事にさらされた、と考えています。

なぜこのような出来事が起きたのか、この問題の本当の意味での「解決」とは何か、私たちは法政大学の知性を集め、多面的に考えていきたいと思います。

まず全学の学生・生徒・教職員が人ごとではなく、この世界の一員として自らの課題と捉え、卒業生としての後藤さんの価値ある仕事から多くを学びつつ、この問題を見る視点を少しでも深く鋭く養って欲しいと、心から願っています。

法政大学総長 田中優子

(法政大学 公式ページ http://www.hosei.ac.jp/gaiyo/socho/message02.html)

 

 

「この問題の本当の意味での『解決』とは何か」という問い。

 それぞれの立場の人たちがどんな「言葉」で何を語っていくのか。

 

 ざらざらした感情的なものではなく、静かに心に響くもの。

 そうした「言葉」をこそ、大事にすべき時が来ていると思います。