【テレビのミカタ】”集団強姦”容疑で「逃走中の男」 身柄確保の映像でNHKが圧倒的! フジも大健闘

テレビニュースの現場では、決定的な瞬間の「映像」があるかどうかで勝負が決まる

生々しい映像を撮影したり、生で放送したり、入手したりすればカメラマンも記者も「勝った!」と喜び、他のテレビ局が持っている映像がなければ「負けた…」と唇を噛んで下を向く。 

端から見ると滑稽なほど、そんな”勝ち負け”が行動原理になっているのがニュースの現場の実態だ。

集団強姦の容疑で逮捕された男が川崎で取調中に逃走して行方をくらましていた事件。

首都圏の住民たちを震撼させていたが、逃走からまる2日近くたってようやく男の身柄が確保された。

このニュースの現場で、圧倒的に勝利したのはNHKだった。

NHKは午後0時58分に容疑者とみられる男が確保されたと速報テロップで流した。

その後、「1時のニュース」の中でヘリコプターからの空撮で、横浜市泉区にある公園隣接の雑木林を大勢の警察官に囲まれて連行されている容疑者の姿を生中継した。

警察の意図なのか、容疑者は比較的目立つ白い服を来て、両脇を複数の警察官に押さえられながら歩き、やがてパトカーに乗せられた。

パトカーはしばらくは動かないままだったが、その後、横浜地検川崎支部に容疑者を移送するために走り出した。

その一部始終をNHKでは上空からの生映像で伝えた。

同じ時間に他のチャンネルにはこの映像はいっさいなく、視聴者はNHKの映像に釘付けになった。

容疑者連行の映像で”圧勝”したNHK

NHKのウェブニュースのホームページに行くと、その時の映像も編集されているニュース映像を見ることができる。

容疑者は横浜地検川崎支部で、パトカーから降ろされて地検の建物に入るが、車から降ろされる際に、警察官に首を押さえられる様子も映っている。警察はわざと容疑者の顔をカメラに撮らせているようにも感じる。

ただし、この映像は後述するように身柄確保の直後のものでなく、他のテレビ局にもある映像だ。

だから、NHKはあくまで「容疑者が映っている空撮映像」を撮影し、それをリアルに生で放送したという点で他の局を圧倒したといえる。

7日、川崎市にある横浜地方検察庁川崎支部の取調室から、集団強姦や強盗などの疑いで逮捕された20歳の男が逃走した事件で、警察は丸2日近くたった9日午後1時前、横浜市内の公園近くの雑木林で男の身柄を確保し、逮捕しました。

7日午後2時過ぎ、川崎市川崎区にある横浜地方検察庁川崎支部から、集団強姦や強盗などの疑いで逮捕されていた川崎市多摩区の無職、杉本裕太容疑者(20)が走って逃げました。

杉本容疑者は、今月2日未明、川崎市麻生区の路上で別の男と共謀して女性を車に連れ込み乱暴したうえ、現金15万円を奪ったなどとして今月6日、警察に逮捕されていました。

警察は全国に指名手配し行方を捜査していましたが、丸二日近くたった9日午後1時前、地検川崎支部から南西におよそ20キロ離れた横浜市泉区和泉町の公園近くの雑木林で杉本容疑者の身柄を確保し、あらためて集団強姦などの容疑で逮捕しました。

杉本容疑者は1人でいたということで、警戒中の警察官が声をかけたところ、本人であることを認めたということです。

杉本容疑者は7日は検察官の取り調べを受けるため横浜地方検察庁川崎支部に来ていて、6階の取調室で弁護士と接見していた際、立ち会っていた警察官らの隙を見て逃走していました。

出典:NHK首都圏ニュースWEB

以下のURLからもNHKの続報を見ることができる。

特に容疑者が大勢の警察官に囲まれて連行される「空撮映像」に注目して見てほしい。

NHKにしかない映像だ。

http://www.nhk.or.jp/shutoken-news/20140109/4371453.html

http://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20140109/4371459.html

雑木林付近の容疑者を撮影できなかった民放各局

さて、民放各局はどうだったか?

日本テレビは、昼の情報番組「ヒルナンデス!」が午後2時過ぎてから、ニュースのコーナーで容疑者を乗せたパトカーが走っている映像を生中継した。

まだ動く前のパトカーの映像のVTRも挿入されたが、容疑者が車に乗りこんだ後だったので表情などはほとんど分からない映像だった。

テレビ朝日は、午後4時53分に始まる夕方ニュース「スーパーJチャンネル」が始まると同時にこのニュースを流した。

横浜地検川崎支部に到着したパトカーから警察官に首を押さえられて降りる容疑者の表情をスローモーションのVTRで流した。

この映像は他の民放も同様で、雑木林で身柄を確保された容疑者がパトカーに乗せられた後の空撮の映像はあったものの、当然ながら、容疑者の顔は映っていない。

身柄を確保された現場を連行される映像はNHK以外の撮影できなかった社は、けっきょくパトカーが地検支部の前にやってくるのを待ち構えて、到着したところで一斉に撮影した、ということだろう。

TBSも夕方ニュース「Nスタ」で同様の映像。フジテレビも夕方の「スーパーニュース」で同じような映像を放送していた。

NHKは容疑者の逮捕が近いことを民放各社よりも早くつかんでいたに違いない。

ヘリを現場周辺に飛ばせて、生中継して、決定的な瞬間の映像を生放送で視聴者に届けることが出来た。

記者が情報をつかみ、カメラマンがヘリに乗って現場上空に向かった判断が他社よりも早かったから出来た「独自映像」だ。

NHKのスタッフは後で上司から褒められたはずだ。。

最後に意地を見せたフジテレビ

さて、夜のニュースはどうだったか。

NHK「ニュースウォッチ9」は、昼近くの容疑者が連行される空撮の映像から、容疑者の地検への到着、住民らの声などを放送していた。

やはり空撮の映像は身柄確保の直後のリアルさがあって強い。

ただ、この時間になると、容疑者が地検支部に到着して建物に入って行く、容疑者の顔が分かる映像を、NHKも含めてテレビ各社がすでに撮影しているので、編集されたVTRの「違い」が明確に分かる人はテレビ関係者ぐらいだろう。

午後1時の段階での生の空撮映像は、午後9時にVTRとしてみると、もはや迫力は感じられない。

やはりテレビは生放送が命なのだ。時間が経つと独自映像も「ありがたみ」はなくなっていく。

日テレ「NEW ZERO」もVTRで、地検支部に入っていく容疑者の顔を中心につないでいた。テレ朝「報道ステーション」も、TBS「NEWS 23」も、同じような映像。

さて、フジテレビは?と思って、録画していたニュースを見てみると、民放他社はもちろん、NHKも放送していない「独自映像」が放送されていた。

フジテレビの「LIVE2014 ニュースJAPAN&すぽると」は、ニュースのタイトルも「友人の車に乗り込む映像入手」となっていた。

雑木林で身柄を確保される前に、近くで2人の男が乗っている白い軽自動車に逃走中の容疑者が乗り込んでいく映像を放送したのだ。

場所は横浜市瀬谷区。確保された場所に近いという。

白い車が止まっている映像。中には2人の男がいる。

そのうち一人が車の外に出てきて様子をうかがいながら周囲を歩き、また車の中に戻っていく。

その1分後。逃走中の杉本容疑者と思われる男がやってきて車に乗り込み、すぐに車が走り去っていった。

集団強姦(ごうかん)などの疑いで逮捕された20歳の男が7日、神奈川・川崎市の横浜地検川崎支部から逃走した事件で、神奈川県警は9日午後、横浜市泉区で男の身柄を確保し、午後1時前に逮捕した。

確保現場の近くで9日午前6時すぎ、逃走中の杉本裕太容疑者(20)が、友人の車に乗り込む様子をとらえた防犯カメラの映像を、FNNが独自入手した。

まだ日が昇り切っていない午前6時22分ごろ、横浜市瀬谷区内の路上に、1台の白い軽自動車が現れる。

中には、2人の男が乗っていた。

すると、1人の男が車の外に出て、何かを探すようにうろうろしたあと、車に戻る。

そのおよそ1分後、車の後方から杉本容疑者が現れて乗り込み、車は走り出す。

この車は、周辺をしばらくうろうろしたあと、別の車が来たため、立ち去った。

杉本容疑者は、友人の車で潜伏先を探していた可能性があり、警察は、この友人2人から事情を聴いている。

出典:フジ・ニュース・ネットワーク

この映像が物語っていることは、杉本容疑者が2人の男と連絡を取り、逃走を手助けしてもらった疑いが強いということだ。

防犯カメラの映像だという。

フジテレビの記者は、身柄確保の現場近くなら、容疑者が映っている映像が防犯カメラなどに残っているだろうと考えて、片っ端から探したのかもしれない。

これはお見事だった。

良い悪いは別にして今のテレビニュースは「映像競争」の連続だ。

決定的な瞬間を撮影できるか。

可能ならそれを生で放送できるか。

あるいは、独自に、他社が持っていない映像を入手して放送することができるか。

テレビ報道の記者やカメラマンらはこうした「映像競争」に日々さらされている。

NHKのヘリでの生放送も(それを可能にした情報の入手や生カメラを出した判断も含めて)スタッフは局内表彰の対象になるだろう。

フジテレビの独自映像も同様に「局長賞」程度はもらえるに違いない。

このようにテレビニュースの現場では「自分の局だけの映像」を放送するべく、スタッフは懸命に汗をかけている。

もっともフジテレビが発掘した「防犯ビデオ」の映像など、出元が分かれば、他のテレビ局や新聞社、警察なども殺到して、他のチャンネルでもすぐに見られるようになるはずだが。

そうなるとこちらも「ありがたみ」は、もはやなくなってしまう。

そんな繰り返しだ。