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問題の浮気男をどう思う?反響続く映画「おろかもの」の若き3人の女優が本音を語る

水上賢治映画ライター
「おろかもの」より

 結婚を間近に控えた兄が婚約者とは別の女性と関係を続けている現場を押さえた女子高生の妹。兄を軽蔑するようになった彼女が、おなじように軽蔑するはずだった浮気相手の女性となぜか心が通じ合い、破談計画を企てる。

 こんな危うい状況に立った女性たちのスリリングな物語が展開し、田辺・弁慶映画祭をはじめ数々の映画祭で受賞を重ねた、芳賀俊と鈴木祥の共同監督による話題のインディーズ映画「おろかもの」の出演女優3人、笠松七海、村田唯、猫目はちの鼎談の最終回。第一回第二回と「おろかもの」の世界についていろいろと話していただいたが、今回は、彼女たちが演じた洋子、美沙、果歩が取り囲むことになる、問題児・健治の話から。

問題児・健治を正直どう思うか?

 正直、彼のことを本音でどう思っただろう?

猫目「じゃあ、私からいきます(笑)。

 個人的なことで言うと、優しい人だなと思います。同時に、バカだなとも思います。

 ただ、前回お話しましたけど、果歩としては最後に自分の元へ戻ってきてくれれば、問題ない。なので、戻ってくるので、『よしよし』といったところでしょうか(笑)」

笠松「もう映画で描かれている洋子から見たお兄ちゃんが全て。兄の行為に同意はできないけど、愛情がないわけでもない。

 ただ、家庭環境を考えると、洋子は兄ちゃんにそうとう助けられてきたことは確かなので感謝の気持ちはある。

 だから、セリフでありますけど、『兄ちゃんのこと、嫌いになりたくない』という一文に思いが集約されていると思います」

村田「私個人としては、なんか憎めない人ですね。

 美沙としてはやはり好きということに尽きるのかなと思います。

 映画の中で描かれているわけではないですけど、今まで美沙が付き合ってきた男性とは違う。妹を一人で育ててきたっていう男性として、美沙に対しても誠実な面はあったとは思うんです。

 それから、演じたイワゴウサトシさんの魅力ですよね。あの笑顔で許される、美沙としては許してしまうところがある。ただ、その笑顔に嘘はないんです。

 あと、これは私の願望でもあるんですけど、ここまでの騒動になったら、健治はきっともう果歩さんだけを大事にして生きるはず。そうあってほしい。

 もともと健治は人を大事にできる人だから、この騒動を経て、果歩さんに気持ちがひとつになって向くんじゃないかなと思います」

「おろかもの」より
「おろかもの」より

お互いの印象は?

 最後は、作品から少し離れて、お互いの印象をきいた。

笠松「唯さんは、すごく隙があるように見えて実はまったく隙のない人だと思っています。

 それは美沙にも通ずるところがある。

 一緒に話をしていると、失礼ですけど、けっこう抜けてるところがある。

つけ入る隙だらけにみえるんですけど、いざそこに攻め入ってみると、全然入れなかったり。これまであまり出会ったことのないタイプの人だと思っています。

 隙があると思わせて、ない人。だから、唯さんに隙があると思って軽々しく触れると、ちょっと痛い目をみると思います(笑)。

 猫目さんは、ふだんずっと『猫』って呼んでいて、プライベートでも親しくさせていただいています。

 ある意味、私と猫の関係は、洋子と果歩さんとしてまだ続いているというか。たぶん、猫はどっかで私のことを洋子ちゃんって思っているし、私も猫に対して、果歩さんにあるような安心感を求めているし、感じてる。

 劇中の洋子と果歩の関係性と近いまま、今も続いてる感じがします」

村田「私から見て、七海ちゃんは、すごく感覚や感性が鋭くて、本能のまま、あるがままのところがあるので、動物みたいなんです。

 たとえば言葉にならないことがあるとすると、それを絶対的に感じ取ってなにかしらの形として出せる。それぐらい感覚が鋭い。

 だから、七海ちゃんに会うたびに、印象が違うんです。くるくる印象が変わる。でも、どれもまぎれもなく笠松七海で、いつも不思議な人だなと感じます。ただ、危ういところもあって、目が離せない存在でもあります」

「おろかもの」より
「おろかもの」より

猫目「わたしは、七海ちゃんはやはり洋子として会ったのが初めてだったので、今もずっと、成長を見ていきたいみたいな、ちょっと親心があります(笑)。

 仲はいいんですけど、そんなに頻繁に連絡も取ったりするわけではないんですよ。会ったときにはめちゃくちゃいろいろなことを話すけど、でも、頻繁に連絡しなくてもつながっていることが感じられる、そんな不思議な関係です。

 村田さんは今泉(力哉)監督の映画『退屈な日々にさようならを』で初めて出会いました。

 私としては、『退屈な日々にさようならを』でこの業界に入ったので、もう村田さんはすごい大先輩で。当時、家も近かったので、よく遊んでいただきました。

 監督もやれば女優もする村田さんを、私は真似ているところがあって。もう、私の中では村田さんは、お姉さん的な存在です。かっこいいし、気骨があるところに惚れています」

「おろかもの」より
「おろかもの」より

村田「私の中で猫目さんは、出会ったときからとても気になる存在でした。

 『退屈な日々にさようならを』は、本番に入るまでにワークショップがあって、そこでエチュードでお芝居をしたりしたんです。

 で、猫目さんと一緒に演じる機会があったんですけど、そのときから、すごく興味がありました。

 というのも、猫目さんが考えてることや、書かれた詩にものすごく共感する一方で、これはどういうことを言っているのか、まったくわからないときがある。そう感じられる人で、いまもすごく猫目さんには興味があります。

 さっき七海ちゃんに危ういところがあるといいましたけど、猫目さんも危ういところがあると思っていて。その危うさがたぶん、今後の猫目さんの表現ですごく生かされていくと思います。まだまだ秘めた力を持っていそうな人だと思っています」

「おろかもの」ポスタービジュアル
「おろかもの」ポスタービジュアル

「おろかもの」

監督:芳賀俊・鈴木祥 

脚本:沼田真隆

出演:笠松七海 村田唯 イワゴウサトシ 猫目はち 

葉媚 広木健太 林田沙希絵 南久松真奈

全国公開中

4月9日(金) 新文芸坐 にて19:50より一夜限りのレイトショー決定。

ポスタービジュアル及び場面写真はすべて(C)2019「おろかもの」制作チーム

映画ライター

レコード会社、雑誌編集などを経てフリーのライターに。 現在、テレビ雑誌やウェブ媒体で、監督や俳優などのインタビューおよび作品レビュー記事を執筆中。2010~13年、<PFF(ぴあフィルムフェスティバル)>のセレクション・メンバー、2015、2017年には<山形国際ドキュメンタリー映画祭>コンペティション部門の予備選考委員、2018年、2019年と<SSFF&ASIA>のノンフィクション部門の審査委員を務めた。

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