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新規感染が2日連続1000人超え。中国でコロナ再燃の危機

宮崎紀秀ジャーナリスト
感染拡大を受け長春では住民に対しPCR検査(2022年3月13日吉林省長春)(写真:ロイター/アフロ)

 中国で新型コロナの感染拡大が再燃している。衛生当局によれば、3月13日の新たな感染確認は1400人を超えた。前日には1900人以上。ゼロコロナ政策を堅持する中国としては、正念場と言える局面を迎えた。

 中国の国家衛生健康委員会の発表によれば、3月13日の新たな感染確認は、1437人に達した。これ以外に新たに確認された無症状感染者は906人。

 新規感染者のうち海外からの流入者が100人に対し、中国国内での感染者が1337人。国内での感染者が圧倒的多数を占めている。その傾向は無症状感染者でも同様。

 中国はコロナ対応として「海外からの流入を防ぎ、国内での再燃を防ぐ」という方針を掲げてきた。厳しい水際対策を続けると同時に、国民に対し大規模なPCR検査の実施やワクチン接種を進めてきたが、市中感染の拡大の危機に直面している。

 13日を見れば、国内での新規感染者が最も多いのは東北地方の吉林省。大都市長春も含め、同省内で895人の新規感染者が確認された。更に山東省(68人)、広東省(79人)などと続くが、感染の拡大は広範囲に亘っており、北京や上海の大都市でも少数だが新規感染者が確認されている。

 ちなみに前日の新規感染者は1938人、前々日には588人。この数日で感染者が急増しており、13日の段階で中国全土の感染確認者は8531人に上った。

 中国はゼロコロナ対策を堅持する。そのためには強権的な手段も辞さない。

 感染の拡がりが最も深刻な吉林省を含め、各地でコロナ対策にかかわる幹部らが処分された。また吉林省の省都で、900万の人口を抱える長春は11日より市内全域で企業活動などを停止、学校は休校とし、地下鉄などの公共交通機関の運行を停止した。また、団地などからの住民の出入りを制限する「封鎖式管理」を実施。その統制下におかれた住民は、基本的には2日に1回、各家庭で1人だけが生活必需品などを買いに行くことが許可される。

 北京冬季オリンピック、パラリンピック、全人代と立て続けに大きなイベントを終えたばかりの中国にとって、次の喫緊の課題はコロナ再燃への対応になりそうだ。

ジャーナリスト

日本テレビ入社後、報道局社会部、調査報道班を経て中国総局長。毒入り冷凍餃子事件、北京五輪などを取材。2010年フリーになり、その後も中国社会の問題や共産党体制の歪みなどをルポ。中国での取材歴は10年以上、映像作品をNNN系列「真相報道バンキシャ!」他で発表。寄稿は「東洋経済オンライン」「月刊Hanada」他。2023年より台湾をベースに。著書に「習近平vs.中国人」(新潮新書)他。調査報道NPO「インファクト」編集委員。

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