コロナ禍で「大きな襟」がファッショントレンドに 人気の理由は?
ポジティブ気分の装いが支持される中、注目されているディテールが「大襟」です。胸に掛かるほどの特大サイズの襟は、顔周りを華やかに印象づけてくれます。背景にあるのは、服に懐かしいムードや陽気な雰囲気を求める気持ち。朗らかで印象的な大襟は、コロナ禍の時代に安らぎやユーモアをもたらしてくれるところもありそうです。
ニューノーマル生活ではオンラインの画面でおしゃれに見える、上半身映えのトップスが人気です。袖がたっぷりした「袖コンシャス」のブラウスが先にヒットしましたが、その次に期待されているのが大きな襟のトップス。首にボリュームがあると、顔周りに華やぎが加わり、顔が小さく映るような効果も期待できます。
有力ファッションブランドからは相次いで大襟をあしらった服が提案されています。レースやフリルを使って、優美に見せるアレンジが巧みです。後付け可能な「付け襟」なら、手持ち服のイメージチェンジにも役立ちます。この春夏に向けて、人気が高まっていきそうな「大襟」の魅力を探っていきます。
「華やかさ×きちんと感」 ボトムスで別テイストを
欧米のファッショニスタたちは早くも「大襟」を取り入れ始めています。たとえば、写真のように、花柄の刺繍が施された、大人かわいい雰囲気の大襟はレディーライクな上品さを印象づけています。襟に加えて、ふんわりと膨らませたパフスリーブの「袖コンシャス」も、エレガントとキュートの両方を掛け合わせています。
大襟ブラウスに合わせたボトムスは、紫のショートパンツ。ブラウスの淑女感とショートパンツのアクティブ感が響き合って、上下のコントラストが際立つミックスコーディネートに仕上がっています。
「大襟」の特長は、かつての宮廷女性を思わせるような、クラシックな風情を醸し出す点です。落ち着いた雰囲気やきちんと感のあるムードにもつながります。
トップスにインパクトがある分、デニムパンツやスニーカーでカジュアル感を添えるような、あえてボトムスでテイストをずらすようなスタイリングが効果的。気品やレディー感が備わっているので、ボトムスはカジュアル寄りのコーデでも格上イメージに仕上がります。
「付け襟」が人気 プロからの引き合いも多く
大襟のもう一つの魅力は小顔効果です。常識外れのジャンボ襟は、意外なボリュームがあるおかげで、相対的に顔が小さく映ります。目の錯覚を利用した一種のトリックですが、実に効果的な小顔マジックを引き出してくれます。
ミラノ発のブランド「Melampo(メランポ)」は色違いで二重の大襟を2021年春夏コレクションで披露しました。ルル・ポレッティ、アンナ・ポレッティの姉妹がデザインする、気鋭のブランドです。
大襟への関心は既に日本でも盛り上がりつつあるようです。「メランポ」を担当するPRマネージャーの野口結花さん(H3O Fashion Bureau)は「大襟ブラウスや付け襟は雑誌やスタイリストさんから貸し出しの依頼や問い合わせが多くなっています。サンプルはずっと貸し出し状態が続いています。付け襟に関しては、先シーズンあたりからトレンドに浮上する兆しが見えていて、今シーズンも勢いが継続しているようです」と述べています。
H3O Fashion Bureauのジェイソン・リー・コーツ(Jason Lee Coates)代表は「ビデオミーティングで見ることができるのは、トップスや首周りだけなので、そこにフォーカスしたファッションに変化してきました。『メランポ』が提案するテイラードシャツにバロックテイストの付け襟の組み合わせは、この時代にぴったり。今シーズンのアイテムの中では、断然、付け襟が最も多くの買い付け注文を受けています」と、大襟とウィズコロナの親和性を説明してくれました。
「襟を正す」感覚で、その日の気持ちを盛り上げるツールに
「襟を正す」という慣用句があるように、襟はその人のしぐさや人柄を象徴する部分と言えます。襟に凝ったデザインは、着る人のイメージを方向づける効果も期待できそう。特大の襟には、刺繍やフリルなど、様々なディテールを施すことができるから、さらに表現力が高まります。
ほかにも、二重の襟や、色切り替えのタイプ、ピーターパン風の星形、円形のピエロ襟、中世肖像画に見られるひだひだ式、プリーツ襟など、様々な主張を盛り込んだタイプが登場しています。これから薄着になっていく春夏の装いに、アクセサリー感覚で大襟ファッションを取り入れて、その日の気持ちを盛り上げてみるのもいいかもしれません。
(関連サイト)
Melampo(H3O Fashion Bureau)