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バレンタイン前必見!『レゴ』で分かる深層心理

宮下幸恵NY在住フリーライター
レゴ・シリアス・プレイで作った『今の夫婦関係』

NASAも取り入れる画期的思考メソッド

世界中の子供を虜にするデンマーク産まれのカラフルなプラスチックのおもちゃ「レゴ」。1人で熱中して何かを作り上げるだけではなく、大人にとっても子供にとっても、ちょっとユニークなコミュニケーションツールとして使えるのを、ご存知だろうか?

清楚美人な船山和泉さん。
清楚美人な船山和泉さん。

先日、NY在住の日本人女性の学びの場となっている式部会http://ameblo.jp/ny-shikibu/で開かれたのが、このレゴを使った大人向けワークショップ。講師を勤めたのは、日本人ではまだ珍しいレゴ・シリアス・プレイメソッド認定デザイナーであり、ファシリテーターの船山和泉さんhttp://www.coachnoizumi.com/index.htmlだ。

この和泉先生、早大卒業後に広告代理店勤務を経て留学渡米。テキサス大学オースチン校コミュニケーション学部大学院で博士号を取得し、元熊本大学准教授という輝かしい経歴ながら、どこか奥ゆかしさを感じさせる清楚で美人の才媛なのだ。

レゴ・シリアス・プレイとは、頭だけではなく手も使って考えることで新しい知識の構築につながるという理論に基づき、レゴ社が2000年代初頭に開発した革新的な思考法だ。

言葉だけでは何やら難しそうだが、グーグルやヒューレット・パッカードなど世界的企業のみならず、NASA(アメリカ航空宇宙局)もよりよりチーム形成のために導入しているというのだから、その効果はお墨付き。

同じブロックを使っても2つと同じものは出来ないし、自分であまり分からなかったイメージが、手で感じて目で見る事によってはっきりするというから驚きだ。

大人もレゴに夢中に!

とにかく、レゴを手にしないと始まらない! 本来はビジネス向けのメソッドを、この日は和泉先生が女性向けにアレンジ。「今の自分」と「理想の自分」をテーマに、心の奥を探る事になった。

目の前にあるのは、赤、黄色、緑、黒、灰色の14個のブロック。まずはレゴ慣れするため、自由にレゴを組み立て、何回か練習を挟みます。

「レゴに身をゆだねて下さいね〜」。心地よい和泉コーチの声さえ聞こえなくなるほど(いや本当に!!)大人の自分も熱中してしまうからビックリ。そして、いよいよ本題へ・・・。

左が今の自分、右が理想の自分
左が今の自分、右が理想の自分

最初に、『今の自分』を作る。私が作ったのはコレ(左部分)。中央にいるのが、机に向かってパソコンを打っている自分(なんて自己中心的・・・)。右奥が娘で、左奥は背丈はあるが、なんとも薄っぺらく安定感のない旦那。仕事をしている自分を家族が暖かく見守ってくれている。

そして『理想の自分』が右部分。なんとなくイメージは「小春日和の昼下がり」で、バラバラに立っていた家族が1つになり、庭には綺麗な花が咲き乱れ、暖かい春風に木々がそよぎ、家の前の道から車で出かけようとしているところ。と、空想がどんどん広がっていくから不思議だ。

セミナーでは、それぞれ自分が創ったレゴの風景を言葉で説明していく。岐路を2つに分かれる道で表現している人もいれば、理想の自分へ階段を上って行くイメージで高くレゴを積み上げて行く人も・・・。同じブロックを使っても、決して同じものは出来ない。そこが面白い。

楽しむための4ステップ

このユニークな手法を楽しむためには、欠かせない大事な4つのステップがあるという。

  • 1つ目は、考えすぎず、ただ手を動かすこと!
  • 2つ目は、出来上がりは気にしない! プロセスを楽しむこと!
  • 3つ目は、創るものは具体的でも抽象的でもオッケー!
  • そして最後は、リラックスすること。

レゴはあくまで手段であって、大事なのは「それをもとに語ったり、コミュニケーションする事で、曖昧だったり隠れていた考えや感情などが表出していくのが肝」(和泉コーチ)だそうだ。

夫と夫婦イメージを共有

さっそく、夫にも試してみた。結婚5年、子供が出来てからは特に子供中心の会話ばかりで、出張ばかりの夫の誕生日を忘れてしまうという典型的(?)夫婦(私がダメ嫁なだけ?!)。夫にメソッドを簡単に説明し、レゴ慣れするように何回か好きに組み立ててもらってからいざ本番!

「仕事」「自分」「夫婦関係」の3つのうちどれが良いか選んでもらったら、「夫婦関係」をレゴで現す事に。

今の夫婦関係
今の夫婦関係

そしてこれが夫の作品。奥にでんと構えているのが私。なんで黒い棒を持っているのか?と聞いたら、「家で戦ってるイメージ」だそうだ。その横にちょこんといるのが娘。どうやら母娘タッグは強いらしい。分かりにくいが、四角くはめ込まれている緑のブロックの中は空間があり、出張ばかりの自分と母娘は距離があるという。

それが、「理想の夫婦関係」になるとどう変わるのか?

理想の夫婦関係
理想の夫婦関係

ちゃんと家族3人分の目の黄色いブロックがあり、距離がなく1つにまとまっている。しかし、母娘タッグは変わらず、私だという左の目玉さんの頭の上に乗っている灰色のものは、「今やっている仕事が上手くいっている」という証なのだそうだ。夫に意識はなかったが、理想の夫婦関係のほうが土台が黄色とオレンジで出来ており、なんとなく明るいイメージに。

今の夫婦関係と理想の夫婦関係を融合
今の夫婦関係と理想の夫婦関係を融合

そしてその2つを合体させたイメージがコレ。それぞれ大きな変化はなく、「今やっている事が実を結んで、明るい将来につながる」そうだ。

会話のない夫婦にこそ効果的?

私自身も将来のイメージで、家族の距離が縮まっていたので、会話が少なくとも夫が同じように思っていると分かり、内心ちょっとうれしかったりもする。

そして夫婦が思い描く未来は明るく花が咲き、心地よい風に木の葉がなびくイメージも、娘がすくすくと育っているイメージも一緒だった。夫に感想を聞いてみたら、

「いつもは夫婦関係について話す事はないから面白かった」と満足げ。

和泉コーチも言う。「“私たちの事について話そう”というより、ブロックの事を話すとなるとグッとハードルが低くなる」。会話のない夫婦の皆さん、ぜひお試しあれ!

子供の心も見える?!

もちろん夫婦関係だけではなく、子供でも大丈夫。実際に和泉コーチは8歳の息子さんに「お母さんと仲良くしているイメージは?」と「お母さんと喧嘩してる時のイメージ」を作ってもらったという。

仲良くしているイメージでは、レゴで作ったワクのなかに透明でキラキラしたレゴがいくつもあり、それを人間(=自分)が見ているという構図。しかし、喧嘩しているイメージでは、人間(=自分)がキラキラしているものにくるっと背を向けていた。「キラキラしたものを分かっているけど、背を向けているんだな」と分かったという。

厳しく叱り、くるっと背を向けた我が子に、「なんで分からないの?」とさらに怒りを増長させるより、お母さんの優しさ、楽しい気持ちは忘れていないけど、それに今は背を向けたいだけなんだ、と思えたほうが、ママの気持ちは楽になりませんか? レゴを使ったシリアス・プレイは、子育てに悩む親子の気持ちを確認する手法にもなり得るのだ。 

バレンタイン前、意中の人の真意を測れるか?

夫、子供の気持ちを確認できるのなら、バレンタイン前、意中の人が自分をどう思っているかにも使えるのか?? さっそく和泉コーチに“秘策”を聞いて見ると・・・。

「レゴを使って深層心理を探ることは、私にはできません」ときっぱり。ただ、「直接的ではない質問をする事は可能なのでは?」。

「あくまで一女子として」と前置きした上で「私ってどんな人なのかなって考えてみて。そのことについてお話しが出来るようなものを作ってみてね、とか。でも、そんなモノを作ってくれる時点ですでに『良いセン』いってるのでは?」という答えが返ってきた。

確かに。レゴを一緒に囲む時点で同じ空間にいるわけだし、いきなりレゴを渡されても首をかしげるだけかもしれない。

メソッドでは専用のレゴブロックを使っているが、家にあるレゴを使ってもよし。ただし、「いろんな種類のレゴが入っていたほうがいい」という。さらに、「○○を作って」は禁句!レゴで作ったイメージを語る事が目的なのだから、「○○な気持ちを想像してみて」→「それについて話せるものを作ってみて」と2段階に分けてアプローチするのが効果的だそうだ。

古代ギリシアの哲学者、プラトンはいう。

「You can learn more about a person in an hour of play than you can from a lifetime of conversation」

(人は一生分の会話より、1時間遊ぶことのほうが相手の事をよく知る事が出来る)

年に1度のバレンタインはもうすぐそこ! 夫や子供、友人と普段話さないトピックを話し合うきっかけには、なるかもしれない。

NY在住フリーライター

NY在住元スポーツ紙記者。2006年からアメリカを拠点にフリーとして活動。宮里藍らが活躍する米女子ゴルフツアーを中心に取材し、新聞、雑誌など幅広く執筆。2011年第一子をNYで出産後、子供のイヤイヤ期がきっかけでママ向けコーチングの手法を学ぶ。NPO法人マザーズコーチ・ジャパンの認定コーチに。『「ダメ母」の私を変えたHAPPY子育てコーチング』(佐々木のり子、青木理恵著、PHP文庫)の編集を担当。

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