スーパーマンのプレミアに韓国三・一運動、中止相次ぐ ニューヨークに広がる新型肺炎

(写真:ロイター/アフロ)

 新型肺炎コロナウイルスの影響が、これまで他都市に比べて限定的だったニューヨークにも広がってきた。今月に入り初めて州内で感染者が報告され、3日には2人目が発覚。同日ニューヨーク市北部ブロンクス区の学校が予防措置として閉鎖されるなど、状況が変わりつつある。

 相前後して、映画「スーパーマン」シリーズのプレミアや、例年行われてきた韓国の「三・一独立運動」の集会が急きょキャンセルとなった。多種多様な人、文化が息づく街で、影響が多方面に出始めている。

平静保った2月

 コロナウイルスの感染予防とマスクの有効性をめぐっては、既にさまざまな報道がなされているが、ニューヨークではマスク姿の人はほとんど見掛けない。もともと感染予防のためにマスクをする習慣がなく、米疾病対策センター(CDC)や市保健当局もそれを推奨していないためだ。

 感染拡大が世界的に深刻化し始めた1月下旬以降、本来なら旧正月で祝賀ムードに沸くはずの世界各地の中国人コミュニティーだったが、パリやフロリダ州マイアミで計画されていた旧正月のパレードは相次いで中止が決まった。そうした中、ニューヨークでは2月に予定通りパレードを決行、平静を保っているかのように見えた。

来した変調

 3月に入り、ニューヨークでも初めて感染者が報告された。イランから帰国したマンハッタン在住の30代女性、現在は隔離されている。クオモ州知事は「何も驚くことはない。当初から言っていたように時間の問題だった」とし、冷静な対応を呼び掛けている。

 ニューヨーク市では新たに1人の陽性が確認され、3月3日現在、感染者は2人(1人は市外在住)となった。

ニューヨーク市保健当局のサイトより
ニューヨーク市保健当局のサイトより

 今のところ、通勤や通学の人の流れに特段大きな変化は見られない。ただ、マンションの廊下やエレベーターにコロナウイルスに関する注意書きが張り出されたり、不特定多数が集まる場所での予防対策が強化されたりと、市民の警戒感は日増しに高まっているように感じる。また、マスクなどが品薄となっているドラッグストアやスーパーも一部にはある。コメの買い占めが起きているお店もあるようだ。

スーパーマンのプレミアが中止に

 当然ながら、多くの人が集まるイベントなどの主催者側は神経をとがらせる。危機管理を一段と強める企業も出始めた。

 ハリー・ポッターなどの作品で知られる米映画大手、ワーナー・ブラザースは、3月16日にトランプタワーにほど近いマンハッタンの劇場「The Director’s Guild of America」で予定していた「スーパーマン:レッド・サン」のプレミアを中止すると決めた。コロナウイルスの影響を踏まえ、従業員、俳優、ファンの健康に配慮したという。

 この作品は旧ソ連で成長したスーパーマンが主人公の物語で、プレミアを楽しみにしていたファンも多かったようだが、感染拡大を前に、ワーナーの措置にはネット上で賛意が寄せられた。一方、これに倣って他のプレミアが中止になることを心配する声もあった。

101年目の独立運動集会中止に

 また、1919年3月1日、日本の植民地支配下にあった朝鮮半島で起きた「三・一独立運動」の集会も急きょ取り止めとなった。今月1日にマンハッタンで開く予定だったが、キャンセルの知らせが前日、関係者に届いたという。

三・一運動の集会キャンセルの知らせ
三・一運動の集会キャンセルの知らせ

 昨年2019年はその運動から100年の節目ということもあり、マンハッタン・ミッドタウンに約200人が集まって横断幕を掲げるなどしていた。しかし今年はコロナウイルスの感染拡大を案じて断念、他の関連イベントも軒並みキャンセルとなった。

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 中華系の人が大勢暮らし、中国との人や物の往来が多い市内のチャイナタウンでは、客足が遠のき、以前の活気が失われていると聞く。中国に限らず、さまざまな国から多くの人々が集まるニューヨーク。感染者が出たと言って過剰反応することなく、今後の影響を注視していく必要がある。予防に努めつつ、早期終息を願うばかりだ。