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12月としては最強の寒波が週末襲来 北極の寒気が放出

三ヶ尻知子気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
2021年1月上越市(写真:アフロ)

「最強寒波がやってきます。」というニュースがあるたびに、「いつも最強だよね」と思う方も少なくないと思います。

季節が進むごとに寒気が強くなってくるので、「この冬最強寒波」になるのは当たり前と言えば当たり前のことです。

しかし、今週末に到来する寒波はいつもの最強ではありません。過去の12月の記録を更新するような12月史上最強クラスの寒波が日本にやって来る予想です。このため、25日(土)から27日(月)にかけて、日本海側の地方は大雪、猛吹雪になる大荒れの天気で、交通機関にも影響が出るおそれがあります。

最強寒波は25日(土)から27日(月)にかけてがピーク

上空3000メートル付近の気温がマイナス20度以下になると、地上で大雪になりやすいと言われています。25日(土)から26日(日)は、上空3000メートル付近で、秋田ではマイナス30.6度、松江でマイナス24.5度の寒気が流れ込む見込みです。これは過去の12月の記録に匹敵、更新するような強い寒気です。まだ予想降雪量は出ていませんが、過去に、今回と同程度の寒気が12月に流れ込んだ時は、24時間の降雪量が1メートル近くになった所もありました。

また、シベリアの高気圧が強く、強い冬型の気圧配置になるため、暴風も予想されます。吹雪いてホワイトアウトになるおそれもあります。今後、気象庁から発表される大雪や暴風雪の情報に十分ご注意ください。

画像 ウェザーマップ提供
画像 ウェザーマップ提供

負の北極振動が原因

強い寒波の原因は、負の北極振動が発生するためです。

画僧 ウェザーマップ提供
画僧 ウェザーマップ提供

北極振動は北極付近で寒気を溜めこんだり、放出することを繰り返す現象です。

北極付近に寒気を溜め込むときは、北極付近は低気圧になり、日本を含む中緯度は高気圧になって暖かくなります。反対に、寒気が放出されるときは、北極付近は高気圧になって、日本付近は低気圧になり日本に寒気が流れ込みます。少し専門的な話になりますが、前半の現象を「正」の北極振動。後半を「負」の北極振動と呼びます。今回は「負」の北極振動で日本が寒くなるパターンです。

上図は上空5500メートル付近の高度です。北極付近はオレンジ色の高気圧、日本付近はブルー色で低気圧になっています。これは北極から寒気が日本にむかって、放出され、寒くなるパターンの「負」の北極振動です。「負」の北極振動が一旦現れるとなかなか解消されません。今回の寒波のピークは25日(土)から27日(日)ですが、その後年始にかけても、次々に寒気が流れ込むでしょう。いつもより寒い年末年始になり、日本海側は雪が続く見込みです。

年始にかけて、文字通り、波のように次から次へと寒波が押し寄せてくるため、帰省の足にも影響が出そうです。

今年は久しぶりに帰省をされる方も多いと思います。雪道に慣れていない方はもちろん、雪道に慣れている方でも、大雪による車の立ち往生に巻き込まれる可能性があります。国土交通省によると、冬用タイヤ、チェーンのいずれも万能ではなく、新雪の深い路では走行困難になるそうです。最新の気象情報、道路情報をチェックし、場合によっては予定をずらしたり、経路を検討するようにしてください。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

1996年に気象予報士の資格取得。大分県出身。日本テレビ、NHKを経て、現在は、TBSテレビ気象キャスター。南国から雪国まで住んだ経験を活かし、主婦目線、母目線で天気を解説。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など

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