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ラグビー新リーグ「リーグワン」キックオフ。D2では”日野旋風”が吹くか

松瀬学ノンフィクション作家(日体大教授)
会見で日野自動車のロゴマークのポーズをとる日野RDの堀江恭佑主将=撮影・筆者

 ラグビーの新リーグ『NTTリーグワン』がいよいよ、開幕する。参加24チームは3つに振り分けられ、新型コロナウイルスの影響で開幕戦が中止となった1部(ディビジョン1)は8日に実戦がスタート。2部(ディビジョン2)は9日のスカイアクティブ広島―日野レッドドルフィンズ(広島)で始まる。

 6チームで戦う2部のキャッチコピーは勇ましい。こうだ。

 <ラグビー戦国時代、いざ、開戦~昇るか、堕ちるかー。決死の”ディビジョン2”>

 日野レッドドルフィンズ(日野RD)のナンバー8、堀江恭佑主将は「もうワクワク。開幕が楽しみです」と声を弾ませた。

 「いい試合をしてディビジョン2を盛り上げたいし、やっぱりディビジョン1に昇格したい。新たなチャレンジです」

 日野RDは7日、スタッフが朝から日野市・日野グラウンドを雪かきした後、チーム練習に取り組んだ。年末、所属部員1名に新型コロナ陽性反応が出たが、他の部員全員のPCR検査結果(陰性)を受け、チーム活動を再開した。チーム状態は悪くはない。

 同リーグには、マツダスカイアクティブ広島ほか、釜石シーウェイブスRFC、花園近鉄ライナーズ、三重ホンダヒート、三菱重工相模原ダイナボアーズが並ぶ。堀江主将はこう、続ける。

 「どのチームも、そう簡単に勝てる相手ではない。これまで作り上げてきた自分たちのパフォーマンスをどれだけ出せるかです」

 日野RDは昨季の最後のトップリーグでは9位タイだった。でも、リーグワンで1部(12チーム)には入れなかった。悔しさを押し隠し、堀江主将はポジティブにとらえる。

 「個人的には、今まで所属するチームが昇格するということを経験したことがない。だから、昇格という喜びを味わいたい。すごくうれしいだろうなと想像するんです」

 堀江主将(元ヤマハ発動機)のごとく、日野RDには他チームからの移籍選手が多い。多士済々。ダイバーシティ(多様性)の象徴のようなチームだ。そこに、U18オーストラリア代表だった198センチのロック、20歳のゼファニア・トゥイノナらが新戦力として加入した。昨季の課題だったラインアウトの改善を狙う。チーム最年長、43歳のプロップ久富雄一らが組むスクラムの強さには定評がある。

 セットプレーが安定すれば、チームの目指す『アタック・ザ・スペース』も威力を発揮しそうだ。堀江主将は言った。

 「他のチームより、キックは多く蹴っていくと思う。そこをしっかりチェースして、ディフェンスにスペースが空けばそこをしっかり突いていく。セットプレーからいかに効率よくトライに持っていくのか、ボールをどう大きく動かしていくのか。1試合1試合、日野のチームらしく戦っていきたい」

 新リーグのターゲットのひとつに地域密着がある。日野RDは以前から日野市と連携協定を結ぶなどし、地域に密着し愛されることを目指してきた。拠点エリアが日野市や八王子市および周辺地域。昨年、子どもを対象とした日野レッドドルフィンズラグビーアカデミーを開校した。日野RD選手も指導の応援にいくこともある。

 堀江主将は期待する。

 「アカデミーの子が将来、日野レッドドルフィンズでプレーするのが楽しみですね」

 そういえば、日野市は江戸時代末期(幕末)の新選組の土方歳三の出身地で「新選組のふるさと」としても知られる。実はチームには新選組絡みのサインプレー名もあるそうだ。31歳の堀江主将は言った。

 「新選組といえば、旋風のイメージですよね。いろんな人が集まって、ひとつのチームになって、天下のためにからだを張るんです」

 なるほど。新リーグでは、ディビジョン2にもご注目を。“日野旋風”が巻き起こるかもしれない。

ノンフィクション作家(日体大教授)

早稲田大学ではラグビー部に所属。卒業後、共同通信社で運動部記者として、プロ野球、大相撲、五輪などを担当。4年間、米NY勤務。02年に同社退社後、ノンフィクション作家に。1988年ソウル大会から2020年東京大会までのすべての夏季五輪ほか、サッカー&ラグビーW杯、WBC、世界水泳などを現場取材。人物モノ、五輪モノを得意とする。酒と平和をこよなく愛する。日本文藝家協会会員。元ラグビーワールドカップ組織委員会広報戦略長、現・日本体育大学教授、ラグビー部部長。著書は近著の『荒ぶるタックルマンの青春ノート』(論創社)ほか、『汚れた金メダル』『なぜ、東京五輪招致は成功したのか』など多数。

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