花冷えの5日、7人制ラグビーの日本代表女子『サクラセブンズ』がようやく花開いた。男子の東京セブンズの合間、エキシビションとして行われたオランダ代表戦。4試合目にして22-7の初勝利を挙げたが、日本の浅見敬子ヘッドコーチは「何も満足していないです」と厳しい顔付きだった。

 「最後の試合を最初からやらないと、ほんとうの勝負では勝てない。選手たちの力を最初から出してあげられなかったのは、私たちスタッフの責任です。もう一回、気持ちのところからやりたいなと思います」

 女子7人制の国内初の国際試合の相手となったオランダは日本同様、来年のリオデジャネイロ五輪出場を目指して強化が進められている成長中のチーム。からだが大きい。日本はコンタクトエリアであおられ、4日の2試合(●7-15、●7-22)、冷たい雨中戦となったこの日の1試合目(●5-29)といずれも敗れていた。

 でも、最後の4試合目の前、選手同士のミーティングを開くなどして、原点に戻ることを確認し合った。それは、日本の強みである「走ること」と「ヒットの低さとはやさ」である。「サポートプレー」の意識である。

 結果、「(タックルされての)寝て起きてのはやさが圧倒的に変わった」と浅見HCは評価する。さらに個々のプレーの予測や反応がよくなり、ボールポイントのはやさと激しさが増した。セブンズの特徴だろう、試合によってリズムがガラリと変わる。

 例えば、日本の前半の最初のトライ。ボールをテンポ良く連取し、左オープンに回した。左ライン際をライテことマテイトンガ・ボギドゥラウマイナダヴェが走り、タックルされたけれど、いったんダウンボールして手を離し、すぐにピックして前に持ち出した。

 次にはタックルされながらも立って踏ん張り、内側にフォローした谷口令子にパス。そのまま、左中間に走り込んだ。その2分後、今度は谷口の東京学芸大の後輩となる19歳の成長株、小出深冬がトライを重ねた。

 後半中盤の日本のトライもよかった。相手にトライを返されて5点差となった後、ラックサイドを主将の中村知春が持ち出して斜めに引っ張り、鋭角に走り込んできた小出にクロスパス。イッキに約60メートルを走り切った。これで勝負の流れが決まった。

 中村主将が「あれは、“あ・うん”の呼吸です。300日近く一緒に練習しているので、ああいう連係プレーがジャパンの強さだと思います」と言えば、小出は「しんどかったです。でも、あれだけ走っても、気持ちよかったです」とあどけない笑顔を浮かべた。

 攻めでボールを継続できたのは、もちろんラックがよかったからでもある。とくに「寄り」である。2枚目(2人目)までならパワフルな相手のプレッシャーに押されるけれど、3枚目(3人目)までがはやく寄れば、スムーズにボールを出せるのだった。

 つまるところ、ジャパンは「走り勝つ」しかないのである。トライシーンだけではない、ディフェンスもからだを張った。中村主将のしつこく泥臭いタックル、後半から入った小柄な鈴木陽子の足元タックル…。

 浅見HCのコトバ通り、なぜ1試合目からこんなゲームができないのか。オランダのモチベーションやコンディションの関係もあろうが、日本としては、個々のゲームの入り、チームとしての入りが課題である。

 確かにサクラセブンズは、実力も人気も上り調子にある。先の香港女子セブンズでは世界の強豪を倒し、決勝まで勝ち上がった。毎週のように合宿を重ね、フィットネス、フィジカルを継続強化してきた成果だろう。でも、中国など他国も同じように強化を推し進めているのである。

 ことしの最大の勝負は、11月のリオ五輪アジア予選。ライバル中国もサイズがある。スピード、パワーもある。

 今後も遠征、合宿が続くことになる。コンディションに留意しながら、どう持ち味の体力をアップさせていくか。スピード、俊敏性、連係プレーにどう磨きをかけていくか、である。

 浅見HCは言う。「選手のパフォーマンスとコンディションを見ながら、11月にほんとうにタフな12名のチームがつくれるように最大限努力します。1日も無駄にできない」と。

 サクラセブンズにとっては、リオ五輪出場が決まって初めて、“サクラ満開”ということになる。