日本バレーボール協会は6日、全日本男子の監督交代を発表した。昨年3月、「嵐を巻き起こせるから」と、初めて外国人監督の招請に踏み切った同協会だが、1年足らずで日系米国人のゲーリー・サトウ氏を解任することになった。異例の監督交代はなぜ。

まずは結果責任ゆえである。東京が2020年五輪パラリンピックの開催地に決まった昨年9月7日(日本時間8日)、世界選手権アジア最終予選で全日本は韓国にストレートで完敗した。それまで14大会連続で出場していた同選手権への出場権を初めて逃した。

開催国枠で出場できる20年東京五輪でのメダル獲得は大丈夫なのか。いや、次の16年リオデジャネイロ五輪の出場権確保はできるのか。強化サイドはそういった不安に襲われたようだ。日本協会の荒木田裕子・強化事業本部長は「ものすごく、ひどいショックを受けた」と述懐する。

強化事業本部では、ワーキンググループがサトウ監督の指導力の検討を進めることになった。その後もチーム力は浮上せず、昨年11月のワールドグランドチャンピオンズカップでも5戦全敗と最下位に終わった。同本部ではサトウ監督と意見交換をするほか、選手たちのヒアリングも行った。

結果、監督交代もやむなし、との判断に至った。苦渋の決断だった。荒木田本部長は説明する。「日本のバレーとアメリカのバレーを融合するためには、まだ時期尚早、かなり難しい部分があるんじゃないか。それが全体の考えでした」

つまりは、監督の指導方針と選手の力とのかい離である。サトウ前監督は、1988年ソウル五輪優勝時など米国黄金時代のコーチ。頭で考える「スマートバレー」を標榜し、全日本でも同じようなスタイルで指導しようとした。でも黄金時代の米国と今の日本では、選手のスキルや体力が違えば、精神面、ハングリーさも違う。練習スタイルも違う。理想と現実、その競技文化の違いと言ってもいい。

全日本の選手は、相対的にまだ未熟なのだ。強化事業本部には、もっと厳しい練習が必要と見えたようだ。結果論として、前強化体制下でのサトウ氏起用は失敗だった。外国人ということもあり、日本協会の羽牟裕一郎会長は「コミュニケーション不足であったり、アメリカと日本のバレーボール観というものにちょっと隔たりがあったりしたかもしれない」と口にした。

リオ五輪の世界最終予選を考えた場合、監督交代に踏み切るとしたら、「今しかない」と荒木田本部長は悲壮感を漂わせる。リオ五輪の出場権をとるためには、ここが、ぎりぎりのタイミングだった。

もちろん、外国人監督だからダメだったというわけではない。要は日本の競技文化を理解しているかどうかだろう。外国人監督でも、サッカーやラグビーなど、うまくいっているケースもある。

サトウ氏の後任監督には、V・プレミアリーグ男子、パナソニックの南部正司監督が決まった。若手強化はともかく、リオ五輪出場が至上命令となる。「時間」との戦いだ。南部新監督同様、協会も大きな責任を負うことになる。