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復帰のジョーンズHC、日本らしさでトップ10へ

松瀬学ノンフィクション作家(日体大教授)

ラグビー日本代表のエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC)が29日、元気に復帰会見に臨んだ。顔色もよく、「アイ・ラブ・ラグビー。ラグビーをコーチすることが大好きなのです」と人懐っこい笑顔をふりまいた。

軽い脳梗塞のため、約40日間、都内の病院に入院していた。後遺症の有無を聞かれると、「(しびれは)ラグビーを見る時だけです」とジョークで記者を笑わせ、「特にありません。これまで以上に体調はよくなっています。はやくコーチがしたいという気持ちでいっぱいでした」。53歳は身ぶり手ぶりを交え、熱っぽい口調で現場復帰を熱望した。

ジョーンズHCはコーチを始めて、もう17年が経つ。日本代表のHCとしては2年目。ほぼラグビー漬けの毎日を送ってきた。「初めてブレイク(休み)をとりました。いままでやってきたことを振り返る時間がありました」という。

日本代表のニュージーランド戦や欧州遠征の試合はパソコンなどの映像で観戦したそうだ。「スコットランド戦はフラストレーションを感じました。50分はよかったけれど、そのパフォーマンスを80分間しないといけません」。ただ総じて日本代表のプレーを評価し、とくにスクラム、ラインアウトのセットプレーの成長に目元を緩めた。「スクラムに関しては、世界でも戦えるチームになっていけると思います。ラインアウトも大幅に改善されました。もっともっと、よくなることができます」と期待する。

「日本はオーソドックスなラグビーをしてはいけないということを感じました。ポゼッション(ボール保持)をベースにし、勇気を持って、他国とは違う“ジャパン・ウェイ”(日本らしさ)を遂行することが必要になってくると思います」

目標は、2015年ワールドカップ(W杯)での『トップ10』入りである。

「現在は、ランキングが下のチームには勝っている。これからはフィジーやトンガ、イタリアみたいなチームに勝っていくことが大事になります。もっとフィットネスを上げ、もっとはやくプレーすることをやっていかないといけません。経験値も増やしていかないといけない。(2015年W杯までに)やるべきことはたくさんあります。今後、1分1秒も無駄にできません。来年は、アタックもディフェンスも引き続き、成長させていきたい」

もちろん、自身の体調管理も重要となる。「睡眠はもうちょっととろうと思っています。それで、前よりももっといい状態でいられると思います」。ジョーンズHCは来年3月の合宿から、再び日本代表の指揮をとることになる見通しだ。

ノンフィクション作家(日体大教授)

早稲田大学ではラグビー部に所属。卒業後、共同通信社で運動部記者として、プロ野球、大相撲、五輪などを担当。4年間、米NY勤務。02年に同社退社後、ノンフィクション作家に。1988年ソウル大会から2020年東京大会までのすべての夏季五輪ほか、サッカー&ラグビーW杯、WBC、世界水泳などを現場取材。人物モノ、五輪モノを得意とする。酒と平和をこよなく愛する。日本文藝家協会会員。元ラグビーワールドカップ組織委員会広報戦略長、現・日本体育大学教授、ラグビー部部長。著書は近著の『荒ぶるタックルマンの青春ノート』(論創社)ほか、『汚れた金メダル』『なぜ、東京五輪招致は成功したのか』など多数。

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