憲法は同性婚を要請「成立し得る」衆院予算委員会

立憲民主党・尾辻かな子議員(筆者撮影)

25日の衆議院予算委員会第三分科会で、衆議院法制局は、同性婚の法制化が憲法によって要請されているといった考えは「十分に成り立ち得る」と、立憲民主党・尾辻かな子議員の質問に対し答弁した。

憲法は同性婚を禁止していない

憲法24条1項で「婚姻は両性の合意のみに基いて成立」と書かれていることから、「憲法は同性婚を禁止している」といった誤解が未だ社会に残っている。

憲法ができた当時、世界で同性婚を法制化している国はどこにもなかった。「両性の合意」は、それまで家長に決められていた「結婚」を、当事者二人の合意でできるようにするために明記されたものだ。こういった趣旨から、憲法24条は同性婚については禁止はしていないという立場が憲法学者などの中でも一般的となっている。

政府もこの立場にたっており、同性婚は「禁止されている」とは言わず、17日の予算委員会でも、菅首相は「(同性婚は)我が国では憲法上想定されていない」という従来通りの答弁を繰り返すにとどめている。

つまり、少なくとも憲法ではなく婚姻に関する「民法」の改正によって、同性婚、婚姻の平等は実現する。既に野党は共同で2019年に「婚姻平等法案」を提出済みで、国会で成立すれば、すぐに同性婚は法制化できる状況だ。

しかし政府は「(同性婚は)我が国の家族のあり方の根幹に関わることなので、極めて慎重な検討をする必要がある」という答弁を繰り返し、一向に法制化しようとはしない現状だ。

そこで、2019年2月以降、複数の同性カップルらが国を相手取り「結婚の自由をすべての人に訴訟」を全国で提訴している。

訴訟では、憲法14条で「法の下の平等」が保障されているにもかかわらず、異性間のみ婚姻ができるのは不合理な差別ではないか。また、憲法24条1項や憲法13条から「婚姻の自由」が保障され、同性カップルの婚姻も憲法上保障されているのではないか、といった主張がなされている。3月17日に札幌地裁で初めての判決が出る予定だ。

憲法は同性婚を要請「十分成立し得る」

25日の衆議院予算委員会では、立憲民主党の尾辻かな子議員が衆議院法制局に対し「同性婚をめぐる憲法解釈」について質問した。

衆議院法制局は、議員立法の内容などについて憲法解釈が論理的に可能かどうかを検討する補佐的な機関だ。

担当者は「あくまで中立的な法制度設計の専門家としての参考意見」としつつ、「少なくとも、憲法は同性婚を法制化することを禁止はしていない、すなわち認めているとの『許容説』は、十分に成り立ち得る」と答えた。

さらに、「(個人の尊重や法の下の平等を定める)憲法13条や14条などを根拠として、同性婚の法制化は『憲法上の要請である』とする考えは、いずれも十分に成り立ち得る」と答弁した。

上川陽子法務大臣(筆者撮影)
上川陽子法務大臣(筆者撮影)

繰り返される「想定していない」

しかし、内閣の法令等への審査や解釈などを行う内閣法制局は、政府と同様に「(憲法は同性婚を)想定しないというそれ以上でも以下でもない」という答弁にとどめた。

上川法務大臣も「政府としては、現時点で同性婚の導入を検討していないため、具体的な制度導入を前提として、それが憲法に適合するかという検討もしていない」と答弁。

尾辻議員は、同性婚の法制化を検討していないのは、「立法不作為」つまり国の怠慢であることを指摘。「結婚の自由をすべての人に訴訟」の東京原告のひとりが先日亡くなったことに触れ、「死ぬまでに法律上ふうふになりたいと、でもその意志はかないませんでした」と声を震わせながら話した。

「パートナーと15年以上一緒にいたのに、結局病院が連絡したのはパートナーではなく(血縁者である)妹さんでした。こういうことが起こるからこそ、日本政府は同性婚を認める議論を始めなければならない。なのに、検討していない。本当にこのまま放置していいのでしょうか。この間にも多くの当事者が結婚できないために不利益を被っています」

上川法務大臣は「(亡くなった原告について)思いに対してしっかりと(心を)よせていくということが大事だと改めて思う次第です」としながらも、「同性婚を認めるかということについては、我が国の家族のあり方の根幹にかかわることで、きわめて慎重な検討が必要」というテンプレートの答弁を繰り返した。