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斎藤慎太郎八段(29)2敗キープで名人挑戦権争いに踏みとどまる A級7回戦、稲葉陽八段(34)に勝利

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 1月13日。大阪・関西将棋会館において第81期順位戦A級7回戦▲斎藤慎太郎八段(29歳)-△稲葉陽八段(34歳)戦がおこなわれました。

 後手の稲葉八段は3三金型の角換わりを選択。斎藤八段は腰掛銀に構えたあと、自陣に角を打って局面の打開をはかりました。

 稲葉八段が動いて本格的な戦いが始まり、難しい中盤戦が続きます。

 稲葉八段が3枚の桂で迫るのに対して、斎藤八段は冷静に対応。次第にリードを広げていきます。

 99手目。斎藤八段は自陣に歩を打ち、自玉をにらむ稲葉八段の角筋を止めます。これが冷静な好手で、斎藤八段が優位を確かなものとしました。

 斎藤八段は手堅い指し回しでゴールを目指します。残り時間は少ないものの、斎藤八段は誤るところがありませんでした。

 141手目、斎藤八段が飛車を逃げた手を見て、稲葉八段は投了。23時57分、終局となりました。

 2年連続で名人挑戦の斎藤八段。今期ここまで5勝2敗で上位をキープしています。

 稲葉八段は3勝4敗となりました。次戦で糸谷哲郎八段(1勝6敗)に勝てば、その時点で残留が決まります。

 A級7回戦はあと1局、1月18日の▲藤井聡太竜王(5勝1敗)-△豊島将之九段(4勝2敗)戦を残すのみとなりました。

 もし豊島九段が勝つと、5勝2敗で藤井竜王、斎藤八段、豊島九段、広瀬章人八段、菅井竜也八段の5人が並ぶ大混戦となります。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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