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【年度内六冠ロード】藤井聡太竜王(20)11月3日、棋王戦準決勝で佐藤天彦九段(34)と対戦

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 11月3日。東京・将棋会館において第48期棋王戦コナミグループ杯本戦トーナメント準決勝、藤井聡太竜王(20歳)-佐藤天彦九段(34歳)戦がおこなわれます。

 棋王戦はベスト4以上において、将棋界では独特な敗者復活戦が設けられており、ここから先は2敗失格システムとなります。

 藤井竜王は今年度すでに叡王、棋聖、王位の三冠を防衛。これから竜王、王将の二冠を防衛し、さらには棋王挑戦、獲得となれば、今年度最大六冠に達します。

 藤井竜王は今期、中川大輔八段、久保利明九段、豊島将之九段に勝ち、初のベスト4進出を果たしました。

 一方の佐藤天彦九段は2015年度、渡辺明現棋王に挑戦した実績があります。今期は高野智史六段、郷田真隆九段、糸谷哲郎八段に勝ってベスト4進出となりました。

 藤井竜王と佐藤九段は過去に3回対戦し、藤井3連勝です。

 両者は居飛車党で、本局もおそらく相居飛車の現代最新形が予想されます。ただし2020年の王将戦リーグでは、佐藤九段が先手で中飛車の作戦を取ったこともありました。

 両者は今年度、棋王戦のほかに、NHK杯3回戦、A級順位戦6回戦(通例では12月中)でも当たります。

 藤井竜王の今年度成績は21勝5敗(勝率0.808)です。

 佐藤九段の今年度成績は10勝8敗(勝率0.556)です。

 なお佐藤九段はすでに報道で広く伝えられている通り、10月28日のA級順位戦において、過去に例のない形で「反則負け」の裁定がくだされています。

 佐藤九段は11月1日、提訴した旨を発表しています。

 大変難しい問題ではありますが、まずは本局において、佐藤九段が盤上でベストを尽くせるよう願うばかりです。

 なお本局の勝者は11月5日におこなわれる羽生善治九段-伊藤匠五段戦の勝者と、勝者組決勝で対戦します。

 羽生九段-伊藤五段戦もまた、大注目の好カードです。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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