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藤井聡太竜王「自分としてはあまり2日制が得意という印象ではない」(なお12勝1敗)会見コメント全文

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

――今日の一局(王将リーグ最終日、永瀬拓矢王座戦)を振り返って。

藤井聡太竜王「(永瀬王座先手で戦型は相掛かり)こちらが動いて、歩損の代償を得られるかどうかという将棋だったかなと思うんですけど。手堅く受けられてちょっとこちらが、自玉の薄さが出てしまったのかなと思います。ただちょっと中盤以降、粘り強い手を少し選ぶことができなかった場面が続いたと思うので。うーん、ちょっとそうですね、なんか反省点の多い内容だったかなと感じています」

――改めて挑戦権を獲得したことについて。

藤井「本局、敗れてしまったのは残念ですけど、全体としては自分の実力以上の結果が出せたのかなあというふうには感じています」

――七番勝負開幕時に19歳5か月というのは王将戦の最年少挑戦者。以前の記録は20歳の豊島将之六段(現九段)。

藤井「豊島さんが挑戦されたシリーズは、自分もそのときは将棋を始めていたので少しだけ覚えています。年少記録ということに関してはまったく意識はしていないですけど、こうして挑戦できることになったので、シリーズを盛り上げられるようにがんばりたいと思います」

――七番勝負の日程、開催地はもう聞いた?

藤井「あ、いや、まだ。第1局だけうかがっています」(1月9日・10日、静岡県掛川市・掛川城二の丸茶室)

――いまざっと聞いて、ここが楽しみだな、という場所は?

藤井「いま聞いた中ではおそらく栃木、佐賀、島根、新潟というのはいずれもまだ行ったことがないので、このシリーズで行くことができるのは楽しみです」

――王将リーグで印象に残る対局、ターニングポイントになった対局は?

藤井「4局目の羽生九段との一戦は、中盤、かなりきわどい局面が続いたので。その一局を勝つことができて、少し挑戦に近づけたのかな、という感触がありました」

――渡辺明王将とのタイトル戦番勝負は今回で3度目。2日制では初めて。

藤井「渡辺王将との2日制の対局は今回が初めてになるので、どういう感じになるのかわからないところもありますけど、やはり渡辺王将はとても作戦巧者という印象がありますので、そこで差をつけられないようにして、熱戦にできればというふうに思っています」

――2日制のタイトル戦は4度目。これまで3度での成績は12勝1敗。2日制のタイトル戦に強い理由は? どのような点を重視して臨んでいる?

藤井「自分としてはあまり2日制が得意という印象ではないんですけど・・・。初めて2日制の対局をしたのが去年の王位戦だったんですけど。そのとき、2日制の対局は疲労がたまるというか、けっこう、特に2日目はそういう点があるかと思ったので、1日目の封じ手のあとにあまり局面のことを考え過ぎずに、比較的早く寝るようにはしています」

――王将というタイトルについてのイメージは。

藤井「王将戦は歴史のあるタイトルで。けっこう、局後の写真であったり、他の棋戦とはけっこう違った形で盛り上げていただいている面もある棋戦かなあと思います。今回、もちろん対局が第一ではありますけど、そういったところも楽しみながらやれればなというふうにも思っています」

――改めて、勝者の撮影について。

藤井「どんな感じなのかはまったくわからないんですけど、とりあえず勝たなければそれもないので。まずはそれを一回経験してみるというのも、最初の目標にはなるかな、と思います」

――初めて冬のタイトル戦に臨むことになる。

藤井「これまでのタイトル戦は夏におこなわれるものが多かったので、今回の王将戦にあたって和服をまた仕立てることになるのかな、とは思います。また、冬のタイトル戦っていうことについてですけど、どちらかというと暑がりな方なので、気候的にはどちらかといえば冬の方がいいのかなと個人的には思っていますし。王将戦でもこれまでと変えずにというか、同じような気持ちで臨めればいいのかな、というふうには思っています」

――王将位を獲得すると十代で五冠となる。

藤井「それについては現時点で意識することではまったくないと思っているので。七番勝負でいい内容の将棋にして、番勝負を盛り上げられるようにという意識で臨めればと思っています」

(11月24日夜、東京・将棋会館にて)

(記者からの質問は短くまとめ、適宜情報を補った)

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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