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「これからも全力を尽くして熱戦を指せれば」藤井聡太新叡王(19)記者会見コメント全文(2)

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

――豊島竜王との連戦で得たものは?

藤井「今回、豊島竜王と王位戦とこの叡王戦で対戦する機会が得られて。本当に自分にとって得るものの多いシリーズだったのかな、というふうに思っています。特に、序盤や中盤の形の認識といったようなところで、その精度に差をつけられてしまうような場面がけっこうあったと思うので。そのあたりを今回の対戦で強く感じたところではあったので。改善して次につなげていきたいというふうに思っています」

――長期的に見て、豊島竜王はどのように向き合っていく存在?

藤井「自分にないものを多く持たれている方かな、と思うので。対戦する中でそういったところを自分としては勉強して、取り入れていけたらいいのかな、というふうに思っています」

――三冠はこれまで一時代を築いてきた名棋士たちが成し遂げてきた偉業。19歳で三冠に達した気持ちは?

藤井「過去に三冠になられた方は本当に偉大な棋士の方ばかりなので、その点、光栄に思っています。ただ、それはやっぱり、自分自身の今後がさらに問われるということでもあると思っているので。むしろいままで以上に取り組んでいく必要があるのかな、というふうにも思っています」

――一時代を築く棋士になるという責任感、プレッシャー、意識はある?

藤井「うーん、そうですね(苦笑)。今回、三冠という立場になって身の引き締まる思いではあるんですけど。うーん・・・。そうですね、あまり責任感を感じるというわけではない。将棋は個人競技なので、自分の将棋にしっかり向き合っていきたいという気持ちが強いです」

――叡王戦の前身はソフト対棋士の電王戦。思うことは?

藤井「叡王戦のルーツに電王戦があるということで。本当に電王戦というのは将棋界の枠を超えて注目していただいた棋戦だと思うので、大きな意義があったのかなというふうに思いますし。今後は人間の方がコンピュータの長所を取り入れて強くなっていくことを目指すという段階だと思うので、自分がそういった将棋を体現できればいいな、というふうには思っています」

――瀬戸市民への喜びのメッセージを。

藤井「瀬戸市の皆様にはいつも応援いただいて、大変な励みになっています。今回、叡王獲得というよいご報告ができることをうれしく思いますし、今後も楽しんでいただけるような将棋を一生懸命指していけたらというふうに思っています」

――竜王戦の抱負を。

藤井「竜王戦でも豊島竜王とのシリーズになるので。これまで王位戦と今回の叡王戦の経験やその反省というのをしっかり活かしてがんばっていきたいというふうに思っています」

――充実していた叡王戦のおやつについて。

藤井「今期から主催の不二家様に、対局中におやつを提供いただくという形になって。自分自身も毎局楽しみにしていましたし。実際対局中にそういったお菓子をいただくことでリフレッシュして対局に臨むことができたのかなあ、というふうに感じています」

――このあとどれぐらい経ったら叡王獲得の実感はわく?

藤井「うーん、難しいですね(苦笑)。先ほど花束やペコちゃんのお人形をいただいて少しそういった時間がわいてきた部分もあったんですけど。ただやっぱり現状の立場に満足してしまってはよくないというところもあると思うので。あまりそういったことはこれからも意識せずに前を向いていけるというのがいちばんいいのかな、というふうに思っています」

――視聴者に一言。

藤井「ご視聴いただきまして、ありがとうございました。今回、叡王獲得することができてとてもうれしく思っています。今回の五番勝負で非常に勉強になったところが多いシリーズだったかな、というふうに思うので、それを今後、竜王戦はじめ今後の対局に活かしていけたら、というふうに思っています。これからも全力を尽くしてなんとか熱戦を指せればというふうに思っていますので、どうぞよろしくお願いします」

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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