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「最高峰の舞台なのでそれにふさわしい将棋を指したい」竜王位挑戦を決めた藤井聡太二冠、記者会見コメント

松本博文将棋ライター
2017年、竜王戦本戦で勝ちデビュー以来29連勝を飾った藤井四段(撮影:筆者)

――勝って竜王挑戦権を獲得した本局を振り返って

藤井「序盤からバランスを取るのが難しい将棋だったのかな、というふうに思います。けっこうそのあと、激しくなったんですけど、そこで結果的に、けっこうこちらの玉の遠さが活きる形になったのかな、という気がします。

――竜王位初挑戦についての感想は

藤井「竜王戦、決勝トーナメントにはこれまでも出ていたんですが、なかなか、そこで結果を残せていなかったので。今期、挑戦という結果を出すことができたのは、とてもうれしく思いますし。七番勝負も盛り上げれるようにせいいっぱい戦えればと思います」

――豊島竜王について、改めてどのような棋士か

藤井「豊島竜王は、まず序盤の研究というのがとても深くて、その上で、中終盤でも局面の急所を的確に、常にとらえられているという印象があります」

――竜王戦七番勝負の抱負は

藤井「竜王戦も王位戦と同じ持ち時間(2日制8時間)の戦いになりますけど、王位戦ではけっこう、序盤で遅れをとってしまうような展開の将棋が多かったので、そのあたりを修正して熱戦にできればな、というふうに思っています」

――竜王戦そのものに関する印象は

藤井「竜王戦というとデビュー戦(2016年、6組1回戦・加藤一二三九段戦)からいろいろな対局があって、その中でいい経験をさせてもらっているのかな、という印象があります。けっこう竜王戦で印象に残る対局というのはとても多いので。将棋界の最高峰のタイトルでもありますし、自分にとっても思い入れのある棋戦です」

――2017年度に6組で優勝した際には羽生竜王復位。そうした場に臨む感慨は?

藤井「竜王戦については就位式の方もこれまでランキング戦の優勝者として参加させていただいたんですけど。その中で竜王というものに対する気持ちを年々、強くなっていったというところもあるので、今回挑戦する機会を得られたことはとてもうれしいことかな、というふうに思ってます」

――王位戦は4勝1敗で防衛。結果よりも内容を重視しての反省?

藤井「そうですね。内容的には押されていた印象があるので、今回の竜王戦ではそこを修正していかないと厳しいのかな、というふうには思ってます」

――簡単には満足しない?

藤井「もちろん防衛できてうれしいという気持ちもとてもあるんですけど。結果と内容は別なので、やっぱり反省すべきところはしっかりする必要があるのかな、というふうに思っています」

――竜王戦で印象に残る自身の対局は?

藤井「やっぱりデビュー戦の加藤一二三九段との対局も印象深いですし。△7七同飛車成、▲4一銀といった、けっこう話題にしていただいた手も竜王戦の対局だったので。そのあたりの対局は特に自分にとっても印象に残っています」

△7七同飛成

2018年・竜王戦5組決勝、石田直裕五段戦、76手目

▲4一銀

2021年・竜王戦2組準決勝、松尾歩八段戦、57手目

――19歳にして最高峰の舞台に立つという思いは

藤井「やはり最高峰の舞台なので、それにふさわしい将棋を指したいという気持ちはあります。また、相手が豊島竜王ということで、やはりまたこうして番勝負で対戦できるというのも、とてもうれしいことなので。その機会をまた、自分にとってしっかり活かしていければな、というふうにも思ってます」

――年齢がどう、という意識はない?

藤井「そのことは意識せずに、自分にとっていいものにできればな、という思いと、またやっぱり、ファンの人にも楽しんでいただけるような内容にしていきたいな、という気持ちが強いです」

――視聴者に一言

藤井「いつもご観戦いただきまして、ありがとうございます。今日の結果で竜王戦に挑戦することができて、自分としてもとてもうれしく思っています。(10月8日の)開幕までにまだしばらく時間があるので、その間(かん)に、しっかり準備をしていって、七番勝負を盛り上げていければというふうに思っています」

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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