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地球代表・深浦康市九段(49)逆転で藤井聡太二冠(18)を降し20連勝を阻止

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 5月6日。東京・将棋会館において第69期王座戦本戦1回戦▲深浦康市九段(49歳)-△藤井聡太王位・棋聖(18歳)戦がおこなわれました。

 10時に始まった対局は21時30分に終局。結果は105手で深浦九段の勝ちとなりました。

 深浦九段は2回戦で飯島栄治八段と対戦します。

 藤井二冠は今期王座戦はこれで敗退。半年ほど負けなしで続いていた19連勝も、ここでストップしました。

 藤井二冠は史上初の20連勝2回は惜しくも達成できませんでした。また羽生善治棋王(現九段)が1992年に達成したタイトルホルダーとしての最多記録22連勝の更新もなりませんでした。

深浦九段、実力発揮で将棋星人を止める

 先手の深浦九段は矢倉を選びました。

 藤井二冠は雁木に組みます。深浦九段が動いたのを見て、藤井二冠も動いてきました。コンピュータ将棋ソフトが示す評価値は、わずかに藤井二冠がリードしたまま、中盤は進んでいきました。

 18時、藤井二冠は金を上がって深浦九段の攻めをかわしたところで夕食休憩に入りました。

 72手目。藤井二冠は26分を使って深浦玉を寄せにいきます。持ち時間5時間のうち、残りはわずかに5分。対して深浦九段は1時間8分を残しています。時間は大差。そして盤上の形勢もこのあたりで入れ替わりました。

 優位に立った深浦九段。時間を使って考え、慎重に勝ちへと進んでいきます。

 藤井二冠が84手目を考慮中、記録係から声がかかりました。

「藤井先生、これより一分将棋でお願いします」

 自身の非勢を悟っていた藤井二冠。ここでがっくり肩を落としました。以前に深浦九段に敗れたときを思い起こさせるようなシーンでした。

 藤井二冠は深浦玉に迫ります。しかしきわどくつかまりません。深浦九段は一手の余裕を得て反撃。相手の居玉をとがめて2枚の角を王手で続けて打ち、勝勢を確かなものとしました。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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