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地球代表・深浦康市九段(49)矢倉で19連勝・藤井聡太二冠(18)を迎え撃つ 王座戦本戦1回戦

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 5月6日。東京・将棋会館において第69期王座戦本戦1回戦▲深浦康市九段(49歳)-△藤井聡太王位・棋聖(18歳)戦が始まりました。

 本局がおこなわれるのは高雄の間。藤井二冠は9時35分には部屋に入り、床の間を背にして上座に着きました。

 藤井二冠はペットボトルのサントリー「伊右衛門」を飲みます。

 続いて深浦九段が姿を見せます。こちらは伊藤園「カテキン緑茶」をお盆の上に置きました。

 伊藤園は現在、お~いお茶杯王位戦のスポンサーです。深浦九段は王位3期。本局は元王位と現王位の対戦でもあります。

 振り駒の結果、「歩」が2枚、「と」が3枚出て、先手は深浦九段と決まりました。

 対局開始前、深浦九段は気合を高めているように見えます。

「地球代表! 朝から画面越しに気迫が伝わってきますね!」

 ABEMA解説者の豊川孝弘七段はそう声をあげました。「地球代表」とは深浦九段の近年の愛称です。Twitter「深浦一門」アカウントのヘッダーには地球をバックにした深浦九段と佐々木大地五段の画像が使われています。

 10時。記録係が定刻になったことを告げ、両者「お願いします」と一礼。対局が始まりました。

 深浦九段はプラスチックのカップに注がれたお茶を飲みます。そして7筋の歩を手にして、一つ前に進めました。注目の初手、深浦九段は角筋を開けました。

 藤井二冠は紙コップを口にし、ていねいにハンカチで手を拭きます。そして飛車先の歩を一つ前に進めました。

 深浦九段が選んだ序盤作戦は得意の矢倉でした。対して藤井二冠は形を決めず、急戦、持久戦、どちらにも移行できる布陣に構えます。

豊川「来ましたよいきなり、同飛車大学!」

 深浦九段は早めに飛車先の歩を前進させ、同歩、同歩、同飛車と歩を交換しました。

 時刻はそろそろ11時。藤井二冠は同飛車の次、24手目を考えています。

 王座戦本戦トーナメントの持ち時間は各5時間(チェスクロック形式)。昼、夕、各40分の休憩をはさんで、通例では夜に決着します。

 本局の勝者は大阪でおこなわれている▲久保利明九段-△飯島栄治八段戦の勝者と2回戦で対戦します。▲久保-△飯島戦は、久保九段が三間飛車に振りました。

 また東京でおこなわれている▲佐藤康光九段-△西田拓也五段戦は、西田五段の三間飛車です。そちらの勝者は2回戦で三枚堂達也七段と対戦します。

 現在継続中の連勝は1位が藤井二冠の19連勝。2位が三枚堂七段の9連勝。もし両者このまま連勝で突き進んで準決勝で当たれば、連勝者同士の対戦の記録となるかもしれません。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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