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昇級は元叡王・高見泰地七段か? 公認会計士試験にも合格した船江恒平六段か? 3月9日、C級1組最終戦

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 3月9日。東京、大阪の将棋会館においてC級1組順位戦最終11回戦がおこなわれます。

 前節10回戦では高崎一生七段(9勝0敗、23位)と増田康宏六段(8勝1敗、11位)の昇級が決まりました。

 C級1組はこれまでずっと昇級枠が2人でした。今期からはそれが3人に増えたため、あともう1枠が残されています。

 昇級の可能性があるのは高見泰地七段(8勝1敗、30位)と船江恒平六段(7勝2敗、13位)のみ。両者の対戦カードは以下の通りです。

▲高見泰地七段(8勝1敗)-△高崎一生七段(9勝0敗)

△船江恒平六段(7勝2敗)-▲村田顕弘六段(5勝4敗)

 高見七段は「自力」で有利な立場。自身が勝つか、あるいは競争相手の船江六段が敗れれば昇級です。

 高見七段は現在27歳。C級2組在籍中に叡王のタイトルを獲得したことからも明らかな通りの若手実力者です。

 高見七段は前期まではC級2組。今期はC級1期目にして昇級のチャンスをつかみました。

 高見七段と高崎七段は過去に5回対局し、高見3勝、高崎2勝という成績が残されています。高崎七段はすでに昇級を決めていますが、勝つか負けるかでは来期B級2組での順位にも影響してくるため、消化試合ではありません。

 船江六段は「他力」あるいは「キャンセル待ち」と呼ばれる逆転をねらううポジション。自身はまず勝つよりなく、その上で高見七段が敗れれば逆転昇級です。

 船江六段はC級2組を1期で通過。C級1組は今期が9期目となります。2018年度には9勝1敗の好成績をあげながら、次点に泣きました。

 船江六段は今期前節、昇級を争う増田六段に快勝。2敗をキープして望みをつなぎました。

 最終戦で当たる村田顕弘六段とは過去に9回対戦し、船江5勝、村田4勝という拮抗した数字が残されています。

 村田六段はすでに昇級にも降級点にもからまない立場。しかしもちろん、来期の順位をかけて最後まで全力で戦うのが順位戦です。

 前節の▲高崎七段ー△村田六段戦は深夜までどちらが勝っているのかわからない大熱戦。最後は高崎七段が村田玉を即詰みに討ち取って勝ちました。

 船江六段は最近、公認会計士試験に合格したことがニュースになりました。

 棋士として活躍しながらの快挙。さらにB級2組昇級ともなれば、また話題となるでしょう。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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