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永瀬拓矢王座(28)対局数ダントツ54!藤井聡太二冠(18)勝率異次元0.814!!記録4部門終盤戦

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 2020年度(2020年4月-2021年3月)の将棋界は終盤の3か月を迎えています。

 対局数でトップを走るのは永瀬拓矢王座(28歳)です。今年度成績は35勝17敗2持将棋(勝率0.673)。

 永瀬王座は棋王戦五番勝負登場はなりませんでしたが、王将戦七番勝負では挑戦を決めています。

 永瀬王座は王将戦第1局が終わると対局数は55で、2位の豊島将之竜王(45局)に10差をつけることになります。この部門の1位はほぼ当確なのかもしれません。

 勝数部門では藤井聡太二冠(18歳)が35勝で永瀬二冠に追いつきました。こちらは最後までデッドヒートが続きそうです。ちなみに両者の今年度対戦成績は永瀬1勝、藤井3勝となっています。

 両者は朝日杯で勝ち進めば、準決勝で対戦することになります。

 勝率部門では藤井二冠が8割に復帰。今年度成績は35勝8敗(勝率0.814)となりました。

 藤井二冠の8割独走は、ひとり異次元世界の旅を続けているような感があります。過去に年間8割以上を3回達成した棋士は、羽生善治九段と藤井聡太二冠の2人しかいません。もし4回目となれば棋界新記録です。

 連勝部門は澤田真吾七段(29歳)が14連勝で依然トップ。澤田七段の今年度成績は20勝6敗(勝率0.769)で勝率2位にもつけています。

 藤井二冠は今年度10連勝、9連勝と達成して、現在は8連勝中です。澤田七段の記録に追いつくことはあるでしょうか。

 ちなみに「将棋大賞」が制定された1973年度以降、同一年度で記録4部門をすべて制覇したことがあるのは、羽生九段(4回)と藤井二冠(1回)の2人だけです。

 改めて、羽生九段の実績もまた異次元と言うよりなさそうです。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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