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「まだ実感がないというのが正直なところです」藤井聡太新棋聖(17歳)終局直後インタビュー全文まとめ

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

藤井聡太新棋聖「(一局を振り返って)バランスの取り方が難しい将棋で、途中からは自信のない展開なのかなと思っていました。(戦型は矢倉で)序盤は第2局と似たような形だったんですけど、玉の薄い形が続くので、難しい将棋かなと思っていました。常に先手に手段が多いような感じだったので、自信が持てないというふうに思っていました。最後までどうかわからなかったです。(初タイトルは)獲得できたのは非常にうれしいですし、渡辺先生と五番勝負で対局して、非常に勉強になったところが多かったと思うので、またそういったところを活かしていきたいと思います。(タイトルを獲得した気持ちは)今はあまりまだ実感がないというのが正直なところです。責任ある立場になりますので、よりいっそう精進して、いい将棋をお見せできるようにがんばっていきたいと思っています。(終局直前の気持ちは)最後まできわどいと思っていたので、局面以外のことはあまり意識してなかったです。(五番勝負4局のうち印象に残る将棋は)第3局でこちらが気がつかない好手を多く指されて、そのあたり、非常に勉強になったなと感じました。(第2局でAI超えの神の手を指したというような報道をされていることは)どちらも手が広い局面だったので、いろいろあったかなと思うんですけど、その中で自分なりに考えて指せたのはよかったかなと思います。(今日は関西将棋会館での対局で)昔から指してきた場所なので、それで対局に落ち着いて臨めたところはあったと思います。(地元愛知県のファンに)いつも応援していただいて、ありがとうございます。これからも楽しんで見ていただけるような将棋が指せるように精進していきたいと思っています。(3日後の18歳誕生日に最高のプレゼントという見方もあるが)うーん、誕生日は自分は気にしていないんですけど(笑)一つ結果を残せたというのは、非常にうれしいです。(3年前の29連勝時が第一次藤井ブームだとしたら現在は第二次藤井ブームという声もあるが)こうやって注目していただいて、多くの方にご観戦いただけるとは非常にありがたいことだなと思いますし、これからもそれに応えられるような将棋を指せるようにしたいなと思っています。(棋聖獲得後の次の目標は)今回の五番勝負で得たものがいろいろあったと思うので、そういったことを成長につなげられるようにしたいなと思っています」

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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