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早熟のスーパールーキー藤井聡太七段(17)棋聖と王位は挑戦までそれぞれあと2勝 ダブル挑戦の可能性も

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 藤井聡太七段(17歳)が公式戦対局の場に戻ってきます。緊急事態宣言が全面的に解除され、延期されていた対局が次々とおこなわれるこの6月。勝ち進めば、藤井七段にとっては怒涛の対局日程となります。

 「聡太ロス」に悩まされていたファンの皆さんは、一転して目を離す暇もなく、来る日も来る日も、藤井七段の対局を見守り続けることになるかもしれません。

 まず6月2日。ヒューリック杯棋聖戦、本戦準決勝の佐藤天彦九段戦があります。

 もし準決勝を勝てば4日に挑戦者決定戦。そこでも勝てば渡辺明棋聖への挑戦権獲得。藤井七段はトーナメントであと2勝すれば史上最年少でのタイトル挑戦を達成することになります。

 そして8日には棋聖戦五番勝負が開幕します。

 将棋界では挑戦者決定戦から番勝負第1局まで、ある程度の期間が置かれるのが通例です。今期棋聖戦のように、中3日は異例中の異例と言っていいでしょう。筆者が知る限りでは、1979年の名人戦(3月9日に挑決、13日・14日に七番勝負第1局)ぐらいしか他の例はないと思われます。

 藤井七段が棋聖戦で挑戦権を獲得できるかどうかは、もちろんまだ誰にもわかりません。

 棋聖戦五番勝負があわただしく始まると、次はほどなく王位戦リーグ最終戦です。

 藤井七段は王位戦でもまたあと2勝で挑戦権獲得という位置につけています。

 リーグ白組最終5回戦で阿部健治郎七段に勝てば5戦全勝で優勝し、挑戦者決定戦進出。もし敗れれば羽生善治九段-菅井竜也八段戦の勝者とプレーオフで戦い、勝てば挑決進出となります。

 リーグ白組を勝ち抜けば、紅組優勝者と相まみえる挑戦者決定戦は23日に予定されています。もしここでも勝てば王位挑戦権獲得です。

 史上最年長の46歳で初タイトルを獲得した木村一基王位と、史上最年少でのタイトル獲得(あるいは史上最年少での二冠達成)の可能性のある藤井七段がもし七番勝負を戦うとなれば、大変に盛り上がることでしょう。

 藤井七段はもし23日に王位戦挑決を戦うとなると、翌24日に予定されているB級2組順位戦開幕の佐々木勇気七段戦は2日続けての対局となります。それはさすがに回避されるのか、どうなのか。

 杉本昌隆八段との師弟戦となった竜王ランキング戦3組決勝も、ほどなく日程が発表されることでしょう。

 さらには王座戦二次予選決勝、大橋貴洸六段戦もどこかに入ってきます。

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 藤井七段にとってはもちろんのこと、観戦する側にとっても、なんともあわただしくなりそうな6月です。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『あなたに指さる将棋の言葉』(セブン&アイ出版)など。

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