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王位通算18期のレジェンド羽生善治九段(49)今期リーグ白組で稲葉陽八段(31)との対局開始

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 4月8日10時。大阪・関西将棋会館において王位戦リーグ白組▲羽生善治九段(49歳)-△稲葉陽八段(31歳)戦が始まりました。

 羽生九段先手で、戦型は角換わりとなりました。竜王戦1組準決勝▲羽生-△稲葉戦では、羽生九段はめずらしく早繰り銀を採用しています。本局では現在の将棋界でよく指される腰掛銀を選択しました。

 42手目、稲葉八段も5筋四段目に銀を上がって、腰掛銀に構えます。ここで先手からは中段に桂を跳ね出していく仕掛けもよく指されます。

 本局では羽生九段はやわらかく銀を引き、銀矢倉を作りました。稲葉八段の銀が盤の中央、天王山に進んだのを見て、羽生九段は3筋から歩を突っかけ、中盤の戦いが始まりました。

 稲葉八段の銀は羽生九段の桂と交換になります。駒割では羽生九段が得をしました。稲葉八段は取った桂をすぐに羽生玉の上の歩頭に打ち込みました。局面は中盤を通り越し、一気に終盤戦を迎えたかのようです。

 羽生九段は歩で桂を取って、駒割は銀得になりました。この後は稲葉八段の猛攻が予想されます。午前中からなんとも激しい展開となりました。

 王位戦リーグは持ち時間4時間。12時から12時40分までの昼食休憩をはさみ、夕食休憩はなく、通例では終局は夕方から夜頃となります。

非常時の囲碁、将棋界

 新型コロナウイルスの感染拡大にともない、本日から開幕予定だった名人戦は延期が発表されました。

 一方で東西の将棋会館でおこなわれる対局は、変わらずおこなわれています。

 特に羽生九段は大阪まで遠征しての対局ということで、多くのファンが心配をしているのではないかと思われます。

 お隣の囲碁界では、本日8日から当面の間、一般的な公式戦の対局は延期されるそうです。

 

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『あなたに指さる将棋の言葉』(セブン&アイ出版)など。

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