Yahoo!ニュース

名人戦七番勝負は4月8日から5月19日に開幕延期決定 新型コロナウイルス感染拡大のため

松本博文将棋ライター
名人戦で使われる「名人駒」(記事中の写真撮影・画像作成:筆者)

 4月8日・9日におこなわれる予定だった第78期名人戦七番勝負第1局・豊島将之名人(29歳)-渡辺明三冠(35歳)戦は延期が発表されました。

 予定されていた第1局から第3局までの日程は中止。5月19日・20日に予定されていた第4局を第1局として、七番勝負は始められ、その後の詳細などは今後決められるようです。

画像

 現在の実力制名人戦は1935年に開始されました。1940年の第2期七番勝負では、頂点に君臨する名人に対して、予選を勝ち抜いた最強の棋士が挑戦する、現在にまで続くスタイルが確立します。

 戦時中、および終戦後には何度かイレギュラーな運営方式となりました。そうしたいくつかの例外をのぞけば、ほぼ毎年、名人戦七番勝負はスケジュール通りに開催されてきました。日程が延期されるのは、異例のことと言えるでしょう。

 4月8日に予定され、中止された第1局では、山崎隆之八段と千田翔太七段が副立会人を務める予定でした。その両者ともに最近、健康問題で大事を取って対局が延期されています。

 将棋の対局は棋士にとって最も重要な務めです。

 しかし新型コロナウイルス感染拡大が続く中、棋士や関係者の身体にもしものことがあってはいけません。

 名人戦の対局延期もまた、現状では仕方のない決定なのでしょう。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

松本博文の最近の記事