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菅井竜也八段(27)王位戦リーグ白組3連勝 藤井聡太七段(17)に並んで次戦両者直接対決

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 3月27日。大阪・関西将棋会館において王位戦リーグ白組▲菅井竜也八段(27歳)-△阿部健治郎七段(31歳)戦がおこなわれました。

 10時に始まった対局は17時53分に終局。結果は137手で菅井八段の勝ちとなりました。

 菅井八段はこれで3連勝。藤井聡太七段(17歳)と並んで白組トップです。次戦の両者の対決が王位挑戦権の行方に大きく影響することになりそうです。

 阿部七段は3連敗で、残念ながらリーグ陥落が決まりました。

菅井八段、しのいで勝利

 2010年新人王戦準決勝・阿部四段-菅井四段戦(段位はいずれも当時)は阿部四段の勝ち。阿部四段は決勝三番勝負も制して優勝を飾っています。

 2013年度C級1組順位戦1回戦・阿部五段-菅井五段戦(段位はいずれも当時)は菅井五段の勝ち。菅井五段はこの期、8勝2敗の好成績をあげながら順位で及ばずに昇級できませんでした。

 過去2戦はいずれも菅井先手で、戦型は相振り飛車になっています。

 本局では菅井八段の中飛車に対して、阿部七段は居飛車で臨みました。

 阿部七段は早めに角交換をして、金を飛車のそばに上がるバランス重視の構えを見せます。

 菅井八段はオーソドックスに美濃囲いを組み、中段に飛車を浮きます。そして相手の飛車先の歩を突き上げて、戦いが始まりました。

 飛車交換の後、阿部七段は玉側の桂を相手陣に成り込むという戦果をあげます。一方で菅井八段は桂得の実利を得ました。

 阿部七段は成桂まで捨て、桂2枚の損ながら、猛攻を続けて菅井陣の攻略をはかります。

 一方で菅井八段は徹底抗戦で強靭に受けを続けます。菅井八段は棋界を代表する早指しの名手の一人。考えれば難しそうな局面で決断よく指し進めていきます。そして一手でも誤ればそのまま負けとなりそうなところを、うまく耐え抜きました。

 阿部七段の攻めが一段落してみると、菅井八段の優勢がはっきりしたようです。また時間も阿部七段が切迫する中で、菅井八段は持ち時間4時間の半分ぐらいを残していました。

 菅井八段は自玉が安全になった後、自陣の飛車が攻めにはたらかせ、万全の態勢で寄せに出ます。そして阿部玉を受けなしに追い込みました。

 最後は阿部七段が持ち時間を使い切って一分将棋なのに対して、菅井八段は1時間51分を残しての勝利でした。

次戦、菅井ー藤井の3連勝決戦

 菅井八段はこれでリーグ3連勝としました。

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 次戦の菅井八段-藤井聡太七段戦は今期王位リーグ戦の天王山となるかもしれません。

 紅組の方は永瀬拓矢二冠が3連勝で、唯一の無敗を保っています。

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 永瀬二冠、菅井八段、藤井七段。どの棋戦でもよく勝っているというおなじみの顔ぶれでしょう。

 王位戦リーグの菅井-藤井戦の前に、棋聖戦でも両者の対戦が組まれています。

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将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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