Yahoo!ニュース

神童・藤井聡太七段(17)2019年度勝率も依然8割超え デビュー以来3年連続で勝率1位となるか?

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 藤井聡太七段(17歳)の快進撃が続いています。3月3日におこなわれたC級1組順位戦最終10回戦でも真田圭一八段に勝って10戦全勝を決めています。

 また順位戦がおこなわれていた同じ日の夜、銀河戦本戦トーナメントCブロック6回戦▲藤井聡太七段-△出口若武四段戦が放映されました。収録日は1月7日。棋譜は公式ページでも公開されています。

 戦型は後手番の出口四段が三間飛車。対して藤井七段は左美濃に組みました。

 出口四段が角を美濃囲いの上部に移動させたのに対して、藤井七段は角頭の弱点から歩をつっかけていきました。それを機に中盤の戦いが起こります。

 出口四段は決断の動きで、飛金両取りをかけます。部分的にはうまくいった形です。しかしその瞬間に藤井七段も強く反撃。この激しい戦いでポイントをあげたのは、藤井七段の側でした。

 互いに飛車を取り合った後の61手目。藤井七段は自陣に飛車を打ちました。これもまた好手だったようです。出口四段が要所に作った成銀の位置をずらし、その後で攻めに出ました。

 出口四段も藤井陣に飛車を打って寄せに出ます。藤井玉の周りからは金銀がすべて消え、危ない形になったようにも見えました。対して出口玉は美濃囲いの金銀3枚が健在です。

 しかし藤井七段はこれで大丈夫と見切っていたようです。寄せに転じると出口玉をあっという間に受けが難しい形に追い込みました。出口四段は藤井玉に迫ったものの詰みがなく、攻防ともに見込みなしと見て、投了しています。

 藤井七段の公式成績にはこの1勝が加えられ、現時点での今年度成績は45勝11敗(勝率0.804)です。ただ一人8割を超え、3年連続の勝率8割超え、および勝率1位も見えてきました。

画像

 本日3月9日には関西将棋会館において、出口四段との棋王戦予選の対局がおこなわれています。

画像

 こちらも注目です。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

松本博文の最近の記事