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初の女性棋士を目指す西山朋佳三段(24)三段リーグ9勝3敗で現在暫定4位

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 1月25日。大阪・関西将棋会館において奨励会の例会がおこなわれました。26日、将棋連盟のウェブページにて2019年度前期(第66回)三段リーグの最新結果が発表されました。

 女性会員として注目される西山朋佳三段(24歳)は、前節10回戦終了時点では、暫定2位でした。

 1月25日の例会の結果は1勝1敗。トータルでは9勝3敗で暫定4位となりました。上位陣が崩れずに星を伸ばしたため、やや後退となりましたが、依然昇級を狙える位置につけています。

 残すはあと6戦。上位2人の昇級枠をめぐって、まだまだ先の長い戦いが続きます。

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西山三段の競争相手

 トップを走る服部慎一郎三段は富山市出身。中田章道七段門下で、現在20歳。2017年後期(第62回)から三段リーグに参加し、今期が5期目です。

 1期目では14勝4敗の好成績を挙げながら、長谷部浩平三段、池永天志三段と同星で、服部三段が順位下位のために次点(3位)となりました。

 2019年、加古川青流戦に出場し、準々決勝で本田奎四段(現五段)、準決勝で今泉健司四段を破って決勝三番勝負に進出。最後は池永四段に1勝2敗で敗れましたが、現在の若手棋士と遜色のない実力を見せています。

 前回の2019年前期(第65回)三段リーグでは12勝6敗で4位でした。

 地元・富山県でも、服部三段の動向は注目されています。

魚津市出身の村田顕弘六段(33)以来13年ぶりとなる県出身棋士の誕生に期待が高まるが、服部さんは「プロになることだけを目指すのではなく、自分らしい将棋にこだわっていきたい」と静かに闘志を燃やす。

出典:「北日本新聞」2019年12月30日

 暫定2位の谷合廣紀三段は中座真七段門下。三段リーグは18歳の時、2011年度後期(第50回)からの参加で、今期が17期目となります。

 2016年度前期(第61回)は藤井聡太三段(当時13歳→14歳、現在17歳七段)が参加1期目にして13勝5敗で駆け抜けていきました。その時に藤井三段に勝ったうちの一人が、谷合三段です。

 2016年度後期(第60回)では杉本和陽三段と12勝6敗の同星で並びながら、順位の差で次点(3位)となっています。

 谷合三段は奨励会に在籍する一方で、東京大学工学部に進学。在学中に「棋譜取りくん」というプログラムを開発しています。

 また修士課程2年時の2018年、著書『Pythonで理解する統計解析の基礎』を出版しています。

 もし東大出身の棋士が誕生すれば、片上大輔七段(法学部卒、現在38歳)以来となります。また渡辺弥生女流初段(文2→経済学部卒→理1再入学→中退→女流棋士を目指す→女流棋士、現在40歳)も東大出身です。

 西山朋佳三段は慶應義塾大学環境情報学部に進学後、現在は休学中。慶應義塾大出身の棋士としては、上村亘五段(理工学部卒、現在33歳)の名が挙げられます。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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